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博士論文
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国立国会図書館デジタルコレクション
デジタルデータあり
植物繊維およびその複合材料の熱劣化時の色特性と機械的特性に関する研究
- 国立国会図書館永続的識別子
- info:ndljp/pid/9278001
国立国会図書館での利用に関する注記
資料に関する注記
一般注記:
- 社会の化石資源依存率が高くなったことにより資源枯渇や地球温暖化といった環境問題が生じている.ものづくりの分野においては,その解決法の一つとしてバイオベース材料の成形素材としての活用が推進されており,中でも植物繊維であるセルロースの利用が注目されている.しかし,セルロースは加熱にともないその結晶領域や...
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書誌情報
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デジタル
- 資料種別
- 博士論文
- 著者・編者
- 哈, 斯
- 出版年月日等
- 2014-03-25
- 出版年(W3CDTF)
- 2014-03-25
- 授与機関名
- 京都工芸繊維大学
- 授与年月日
- 2014-03-25
- 授与年月日(W3CDTF)
- 2014-03-25
- 報告番号
- 甲第714号
- 学位
- 博士(工学)
- 博論授与番号
- 14303甲第714号
- 本文の言語コード
- ja
- 一般注記
- 社会の化石資源依存率が高くなったことにより資源枯渇や地球温暖化といった環境問題が生じている.ものづくりの分野においては,その解決法の一つとしてバイオベース材料の成形素材としての活用が推進されており,中でも植物繊維であるセルロースの利用が注目されている.しかし,セルロースは加熱にともないその結晶領域や非結晶領域の変性、高分子の分解による脱水、ガス放出、タール状物生成、炭化といった現象が生じ強度が低下する.また,このような熱による変化が生じる際,分子内の水酸基脱離反応などにともない高分子骨格中に共役二重結合が生成され可視光領域のエネルギーを吸収するようになり,変色が発生する.このようなセルロースの熱劣化による強度低下や変色の抑制技術の開発が大きな問題となっている.ここで両者の熱劣化現象は同じ原因に由来することから両者には高い相関があると考えられる.両者の相関関係を明らかにし,熱劣化による色変化の度合いから,材料の強度低下を判断することができれば,セルロース製品の寿命推測の一環として利用できる.また,強度に対する耐熱性の向上が得られれば変色の抑制にも繋がることが期待できる.そこで本研究では,熱負荷を受けるセルロース繊維の変色と強度変化を明らかにするとともに,それらの関係を明確にした.また,セルロース繊維のプラスチック複合材料の強化材としての応用を念頭に置き、汎用樹脂の融点付近である200℃程度の温度範囲におけるセルロースの化学処理による耐熱性向上を目指した.本論文は6章で構成されており,第1章の緒論では,前述のような研究の背景と既往の研究を取りまとめた.第2章では,セルロース繊維としてコットン,ラミーおよびケナフを試料として用い,これに熱負荷を与えて劣化試料を作製し,繊維の変色および単繊維の引張強度に与える影響や変色と引張強度の相関関係を考察した.その結果,3種の繊維とも加熱温度が高く,また加熱時間が長くなるほど強度が低下し,強度保持率で比較すると繊維素材の違いに関わらず,同じ熱負荷条件ではほぼ同じ強度保持率を示すことを明らかにした.また,3種の繊維について同じ条件で熱負荷を与えた際の色特性を検討した結果,いずれの繊維も加熱温度が高く,また加熱時間が長くなるほど熱負荷を与える前との色差が大きくなることを示した.さらに,3種の繊維について熱負荷を与えた際の強度変化と色変化の相関を検討したところ,実用的な熱負荷の範囲においては加熱による色差が大きくなるほど強度が直線的に低下することが示された.このことから,セルロース繊維に熱負荷が与えられた場合,色差を測定することによって強度変化の評価指標となりうることを明らかにした.第3章では,代表的な天然繊維であるコットンの耐熱性を向上させる目的でTEOSによる化学処理を行った.処理した繊維は180~220℃の範囲の熱負荷を与えた場合において,単繊維引張強度と引張弾性率の低下を抑制できることが明らかになった.また,そのメカニズムとして,分子内および分子鎖間のシロキサン結合の形成による加熱時の分子内脱水反応抑制の影響が示唆された.さらに,200℃前後の温度範囲における繊維の耐熱性は難燃性の研究でしばしばよく議論されているTGAにおける300℃以上の重量変化挙動とは必ずしも一致しないことが示された。第4章では,第3章の手法により得られた耐熱性コットン繊維を用いて繊維強化複合材料を圧縮成形し,その機械的特性を検討した.成形品の引張試験より,成形温度170~220℃,成形時間5~60分の条件において未処理コットン繊維を用いた成形品と比べて耐熱性コットン繊維を用いた成形品の成形時の熱負荷による強度低下が抑えられることを示した.また,耐熱性コットン繊維を用いることで繊維の熱劣化が抑制され,加熱成形により長い時間をかけることが可能になり,その結果,樹脂の含浸性を高めた機械的特性に優れた複合材料が成形できることを明らかにした.第5章では,耐熱性コットン繊維に熱負荷を与えた場合,および耐熱性コットン繊維を用いて複合材料を加熱圧縮成形した場合の変色特性を分析することにより,変色と引張強度との関連性を検討した.その結果,加熱温度160~240℃,加熱時間15分の熱負荷を与えた場合において,耐熱性コットン繊維の変色が未処理セルロース繊維より少ないことを明らかにした.また,耐熱性コットン繊維を用いて複合材料を成形した場合,成形温度170~220℃,成形時間15分の条件において耐熱性コットン繊維を用いることにより成形品の変色を低減できることが示された.さらに,繊維および成形品の強度と色差の関係より変色の程度が強度低下の評価指標となることが示唆された.第6章では,第2章から第5章までの総括と今後の課題および将来の展望をまとめた.本研究によりセルロース繊維の熱劣化による変色と強度低下の相関関係が明らかになり,さらなる,詳細な検討を加える必要はあるが,色差をセルロース繊維強化複合材料の成形加工プロセス中の製品の強度管理へ適用できる可能性もみいだせた.
- 国立国会図書館永続的識別子
- info:ndljp/pid/9278001
- コレクション(共通)
- コレクション(障害者向け資料:レベル1)
- コレクション(個別)
- 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
- 収集根拠
- 博士論文(自動収集)
- 受理日(W3CDTF)
- 2015-05-01T13:23:17+09:00
- 記録形式(IMT)
- application/pdf
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