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従来の電子スペックル干渉法、(ESPI)においては、定量化のアルゴリズムに位相シフト法を採用しており、変形前後の個々のスペックル位相を決定するために、光波長レベルで厳密に静止した状態を保持して複数(3枚以上)のスペックルパターンを撮像する必要があることから、動的変形過程を動いている状態で連続的に計測することができない。本研究で新たに提案した動的電子スペックル干渉法(DESPI)においては、独自の位相解析法を提案し、動的変形過程を連続的に撮像したデータに対して高精度位相解析可能な動的電子スペックル干渉法を提案し、動的スペックル干渉(DESPI)カメラとして試作した。3年間の成果の概要は以下の通りである。(1)変形の動的過程を時空間で解析可能な位相解析アルゴリズムとして、(1)和作法および(2)時間軸におけるヒルベルト変換法を新たに開発した。(2) 高精度位相解析機能をそなえたDESPIカメラを試作した。試作機の主な性能は以下の通りである。(1)引張試験および疲労試験を想定し、面内変形2成分の変形の差画像法による実時間観察可能、(2)和作法およびヒルベルト変換法による高精度位相解析、解析精度は20ナノメータ、(3)撮像速度は毎秒 1000フレームまで可能(3)試作DESPIカメラによる材料劣化診断における成果は以下の通りである。(1)アルミ合金の引張り試験において、塑性変形の脈動的進展の定量解析がなされた、(2)ステンレスUSU304の引張り試験において、局在するひずみ伝播現象が観察され、これが応力誘起変態の空間的伝播現象であることがX線解析およびホールセンサによる解析から明らかにされた、(3)炭素綱の引張り試験において、リューダース帯の生成の初期過程および伝播過程の詳細が明らかにされた、(4)ステンレスSUS304の疲労試験において、可視的きれつ発生以前の予兆現象を捉えることに成功し、劣化の早期診断の可能性が示された。(4)植物の開花における花弁の変形過程の定量解析に成功し、開花の非一様な進展が明らかにされた。(4) 顕微鏡下におかれた物体の変形解析を可能につるマイクロDESPIを試作した。成果は以下の通りである。(1)線膨張係数の異なる素材からなる接合材(ステンレスとセラミックを銅の薄層ではさんだ構造)の熱変形を時空間で定量解析を行い、接合部の非一様な変形解析に成功した、(2)MEMS(微小電子機械システム)の一つであるスクラッチドライブアクチュエータの動作解析を行い、従来法では予知できなかった動作不正を検出し、解析することに成功した。これらデバイスは、SEMなどによる形態計測は進んでいるが、動作解析については点計測に頼らざるを得なかったが、本研究が2次元視野における動作解析のツールとして有効であることが示された。
I．学術論文等（著者氏名，論文標題，学会誌名，巻，ぺ一ジ，年）1. Field theoretical interpretation on dynamics of plastic deformation - Portevin-Le Chatelie effect and propagation of shear bandAuthor(s): Yoshida S, Toyooka SSource: JOURNAL OF PHYSICS-CONDENSED MATTER, Volume:13 Issue:31, Pages: 6741-6757, Published: AUG 6 2001 (公開不可のため削除)2. Dynamic ESPI with subtraction-addition method for obtaining the phaseAuthor(s): Madjarova V, Toyooka S, Widiastuti R, Kadono HSource: OPTICS COMMUNICATIONS Volume: 212 Issue: 1-3 Pages: 35-43 Published: OCT 15 2002 (公開不可のため削除)3. Dynamic electronic speckle pattern interferometry (DESPI) phase analyses with temporal Hilbert transformAuthor(s): Madjarova VD, Kadono H, Toyooka SSource: OPTICS EXPRESS, Volume:11 Issue:6, Pages:617-623, Published: MAR 24 2003 (公開不可のため削除)4. Blooming processes in flowers studied by dynamic electronic speckle pattern interferometry (DESPI)Author(s): Madjarova V, Toyooka S, Nagasawa H, Kadono HSource: OPTICAL REVIEW, Volume:10 Issue:5, Pages:370-374, Published: SEP-OCT 2003 (公開不可のため削除)5. V. Madjarova, H. Kadono, S.Toyooka, "Dynamic ESPI with Hilbert Transform Method for Studies of Thermal Expansion of Joint Materials" (投稿予定）II. 国際会議プロシーディング等（発表者氏名，論文標題，会議録名，巻，ぺ一ジ，年）1. S.Toyooka, "Laser speckle technique for dynamic deformation analysis", 151 INTERNATIONAL CONFERENCE ON LASER APPLICATION, p.l27-134 (2001). (著作権不明のため削除)2. S.Toyooka and H.Kadono, "From Speckle Interferometry to Statistical Interferometry", 151 RCC INTERNATIONAL LASER SYMPOSIUM, p.73-76, (2001) (著作権不明のため削除)3. V. Madjarova, H. Kadono, Satom Toyooka, "Hilbert transform method for analysis of ESPI for the studies of dynamic events", Proc. Speckle Metrology 2003, p.189-193(2003). (著作権不明のため削除)4. V.Madjarova, S.Toyooka, H.Nagawawa, and H.Kadono "Dynamic out-of-plane ESPI for quantitative evalusation of displacement field of flowers", Proe. Of Asian Symposium on Biomedical Optics and Photonics, 21-23, p.266-26 (2003). (著作権不明のため削除)5. S.Toyooka, V.Madjarova, and H.Kadono, "Dynamic ESPI for Non-Destructive Testing", 11th Asia-Pacific Conference on Non-Destructive Testing, 3-7, (2003) (著作権不明のため削除)III. 紀要、資料，解説等（著者氏名，標題，雑誌名等，巻，ぺ一ジ，年）1. 豊岡了, 動的電子スペックル干渉法(DESPI)によるアルミ合金の塑性変形過程の観察とそのメゾ力学的解釈, 非破壊検査 52(3),p.122-126,20030301 (ISSN 03675866) 2．豊岡了, ダイナミック電子スペックルパターン干渉法(DSPI)による動的全視野計測, 実験力学 : journal of JSEM, 2(1),p.20-25,20020301(ISSN 13464930) (日本実験力学会問合わせ中のため削除)3．豊岡了, 門野博史, バイオ計測の新しいツール : スペックル干渉法の新展開, 非破壊検査, 51(9), p.561-566, 20020901 (ISSN 03675866) 4．豊岡 了，門野博史，三輪 誠，高精度光波干渉技術を用いた植物の動態計測，埼玉大学紀要工学部, 第37号, p.39-46（2004）IV．国内講演会，シンポジウム等1．豊岡 了, 冨永 学, 電子スペックルパターン干渉法(ESPI)による動的全視野計測, 日本実験力学会研究発表講演会講演論文集1, p.137-140,20010626(ISSN 13464922) (日本実験力学会問合わせ中のため削除)2．V. Madjarova, S. Toyooka, and H. Kadono, Addition-subtraction method for phase analysisof dynamic ESPI (DESPI)，第28回光波センシング技術研究会講演論文集，p.63-69（2001）． 3．長澤光，V．Madjarova，豊岡了，門野博史，ディジタルスペックル干渉法（DSPI）による開花に伴う花弁の動きの動的観察と計測，第33回応力ひずみ測定シンポジウム講演論文集, p.75-80, (2002). 4．豊岡 了，マジャロバ・ヴィオレッタ，門野博史，DESPIによるアルミ合金の塑性変形過程におけるPLC効果の動的全視野計測，日本機械学会2002年度年次大会講演論文集(II)，p.29-30．5．山田興治，豊岡 了，鉄鋼材料の電磁的非破壊評価，日本機械学会2002年度年次大会講演論文集(II)，p.31-33．6．冨永 学，豊岡 了，山田興治，品川昭吉，小野賀順之，加藤 寛，SUS304引張試験における変態誘起塑性変形の局在性と伝播挙動の観察，日本機械学会2002年度年次大会講演論文集(II)，p.34-35．7．長澤 光，V.Madjarova，豊岡 了，門野博史，動的電子スペックル干渉法（DESPI）による植物の変形の動的観察と計測，第29回光波センシング技術研究会講演論文集，p.85-89，(2002)．8．坂本輝夫，冨永 学，谷山久法，豊岡 了，古谷 渉，高原健二，白石知久，ダイナミック電子スペックル干渉法（DESPI）による炭素鋼の引張試験の動的観察，第34回応力ひずみ測定シンポジウム講演論文集，p.97-102，(2002)． 9．V．マジャロヴァ，門野博史，豊岡 了，日本非破壊検査教会平成15年度春季大会講演論文集，p.163-164（2003）．10．白石知久，豊岡 了，新井尚機，動的電子スペックル干渉法によるステンレス鋼(SUS304)の疲労過程観察，日本非破壊検査教会平成15年度春季大会講演論文集，p.165-166（2003）． 11．門野博史，V．Madjarova，豊岡 了，ヒルベルト変換法による動的ESPIの位相解析，第31回光波センシング技術研究会講演論文集，p.41-46，(2003)． 12．豊岡 了 ; Madjarova,Violeta ; 門野,博史, 動的スペックル干渉法(DESPI)におけるヒルベルト変換法による位相解析, 日本実験力学会講演論文集(3), p.27〜30, 2003(ISSN 13464922) (日本実験力学会問合わせ中のため削除)13．冨永 学，古谷 渉，佐々木嗣音，谷山久法，豊岡 了，金属材料における不均一変形の動的ESPI観察，日本実験力学会講演論文集，3，p.173-176(2003). (日本実験力学会問合わせ中のため削除)14．マジャロバ ヴィオレッタ，門野博史，豊岡 了，接合材の熱変形に対する動的ヒルベルト変換法による位相解析，Optics Japan2003講演予稿集，p.418-419，(2003)．15．佐々木嗣音，冨永 学，押久保武，豊岡 了，第35回応力ひずみ測定シンポジウム講演論文集，p.155-160，(2003)．
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