家計の消費構造とCO2排出に関する時系列分析 : 1985年と1990年の環境分析用産業連関表による

• Material Type: 文書・図像類
• Title: 家計の消費構造とCO2排出に関する時系列分析 : 1985年と1990年の環境分析用産業連関表による
• Author/Editor: 鷲津, 明由
• Author Heading: 鷲津, 明由
• Publication, Distribution, etc.: 慶應義塾大学産業研究所
• Alternative Title: カケイ ノ ショウヒ コウゾウ ト CO2 ハイシュツ ニ カンスル ジケイレツ ブンセキ : 1985ネン ト 1990ネン ノ カンキョウ ブンセキヨウ サンギョウ レンカンヒョウ ニヨル; Kakei no shohi kozo to CO2 haishutsu ni kansuru jikeiretsu bunseki : 1985nen to 1990nen no kankyo bunsekiyo sangyo renkanhyo niyoru
• Periodical title: KEO discussion paper. G : 『アジア地域における経済および環境の相互依存と環境保全に関する学際的研究』
• No. or year of volume/issue: G-57
• Volume: G-57
• Text Language Code: jpn
• Subject Heading: 環境家計簿,CO2排出点数表,環境分析用産業連関表,時系列比較
• Target Audience: 一般
• Note (General): type:text; 1 はじめに先年の地球温暖化防止京都会議において、日本についてはCO2の排出を2008年～2012年に1990年水準より6%削減することが決定し,そのための解決策が各方面で議論されている。今後は産業界、民間を通じていっそうのCO2削減努力が求められていくことはいうまでもない。CO2は化石エネルギーの燃焼に起因して発生するが、現在のところ経済活動の基盤となるエネルギー消費の大部分は化石エネルギーによってまかなわれている。したがって、CO2問題は同時にエネルギー問題であり、経済の問題である。これはCO2削減対策を考えるうえで、経済学が注目される要因である。ところで、経済学に登場する主体には大きく分けて2つある。一つは企業に代表される生産の主体であり、今一つは家計に代表される消費の主体である。1つの経済体系はこれら2つの主体の相互依存関係で成り立っているわけであるから、CO2問題、ないしエネルギー問題を根本的に解決していこうとすればこれら全ての主体の行動を点検し直していく必要がある。図1は「エネルギー統計年鑑」でみた第2時世界大戦語のわが国のエネルギー消費量とその消費主体別構成比の状況を示している。この図から分かることは、生産主体である産業によるエネルギー消費構成比は戦後復興期から高度成長期にかけて大きく上昇しているが、オイルショック以後は徐々に低下している。一方、家計による消費を含む民生のエネルギー消費構成比は戦後の混乱期に著しく高かったが、高度成長時代にはその比率を低下させている。しかし、その後日本が先進諸国の仲間入りをし、世界でも有数の経済大国へと成長し豊かになる過程で、その構成比は上昇しその傾向は最近になって特に著しい。すでに環境意識が一般市民に浸透し尽くしていると思われる中で、その効果が一向にあらわれていない、というのが現状のようである。産業界ではオイルショックによりエネルギー価格が上昇したことが、コスト削減のための省エネルギー努力におおきな拍車をかけた。そのことにより、全業種あげてのさまざまな省エネ技術開発が行われ、それが結果的には今日の環境問題(CO2削減問題)対策につながってきている。すなわち、産業界ではコストミニマムという経済原則とCO2削減という環境目標が一致した結果、このような好ましい結果がもたらされたと言える。それに対して家計消費については、少し難しい問題があるようである。経済が豊かになり家計の所得水準が上がれば、人々はより高い満足を得ようとその消費構成を変化させていく。エンゲル係数は下がり、生活を豊かにするための耐久消費財などの消費割合が増加していく。しかしこのような耐久消費財は多くの場合、エネルギー消費的である。この「エネルギー消費的」ということばの意味には、単にその消費財を使う時のエネルギー消費だけをいうのでなく、その財を生産する過程に使われるエネルギーの量も含まれる。このように考えると財を使うことで直接間接に引き起こされる包括的なエネルギー消費量は、耐久消費財の場合かなり大きいであろう事は簡単に予想がつく。このように、家計消費の場合、家計が豊かになったとき満足(効用)を最大にするという経済原理に従うとエネルギー消費が上昇するという結果になってしまうわけである。いったい家計消費にともなうエネルギー消費を押さえるにはどうしたら良いのだろうか?もちろん人々が効用(満足)を得る度合を押さえて、エネルギー消費を引き起こすような財を使わないようにするというのはわかりやすい解決方法である。しかし効用を押さえるといっても限度があるし、消費が落ち込んで経済が停滞してしまうのも問題が多い。ここですべきことは、少なくとも耐久消費財のような財はそれを作る過程で多くのエネルギー消費が誘発されていることを消費者が認識し、もし同じような効用をもたらす2種類の財があれば、誘発エネルギー消費の大小を商品選択の基準とするというような、あらたな消費行動様式を取り入れていくことであろう。そうした木目細かい工夫の積み重ねによって、マクロで見たときのエネルギー消費量、およびCO2排出量が徐々に減っていくであろう。しかしながら現在のところ、われわれはこのようなあらたな消費行動様式を取り入れたくても取り入れる事ができない。というのは、各財を消費した時に引き起こされる誘発エネルギー消費量はどのくらいかについて、情報が広く知れ渡っている、という状態ではないからである。つまりエネルギー消費やCO2排出の量という環境因子を消費財選択の基準としたくてもそうできない、というのが現状である。そこで、このような情報をわかりやすい形で明らかにしようとして提示されたのが、「環境分析用産業連関表」ある。環境分析用産業連関表を使えば、経済に流通している財・サービスを作る過程(複数の工程に別れているかもしれないが)、流通させる過程、使う過程でどれだけのエネルギー消費ないしCO2排出が直接間接に引き起こされているかを、比較的簡単に推定できる。そこで本論では、この環境分析用産業医連関表の推計結果の分析を試みる。以下、第2節では環境分析用産業連関表について述べ、第3節では、1985年と1990年について計算された結果の比較を行う。家計の消費行動の変化とCO2排出状況の変化を並行的に観察することにより、現在の消費行動のどんな点が環境に対してもっとも問題が多いか、今後家計に対してどのような環境政策をおこなっていくことが有効であるか、を考察できるだろう。なお、1985年と1990年の推計結果を比較可能するには、多少基本データを加工する必要があった。どのような加工を行ったかについては、第2節で説明する。; 表紙上部に"日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業複合領域「アジア地域の環境保全」"の表示あり
• Source: https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=AA12113622-00000057-0001
• Access Restrictions: 限定公開
• Data Provider (Database): 国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース（IRDB）（機関リポジトリ）; https://irdb.nii.ac.jp
• Original Data Provider (Database): 慶應義塾大学 : 慶應義塾大学学術情報リポジトリ