住宅金融公庫廃止後の融資スキームに関する一試案 : 資金循環分析からの提案

Material type: 文書・図像類

Author: 辻村, 和佑ほか

Publisher: Keio Economic Observatory

Publication date: 2002-03

Material Format: Digital

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Note (General)：: type:text2001年12月に政府は特殊法人等改革基本法に基づき、行政構造改革の一環として163の特殊法人及び認可法人を対象とする特殊法人等整理合理化計画を発表した。1997年12月にまとめられた行政改革会議最終報告にも指摘されているように、行政に関連する公的な事業を遂行するため、特別の法律に...

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Material Type: 文書・図像類
Title: 住宅金融公庫廃止後の融資スキームに関する一試案 : 資金循環分析からの提案
Author/Editor: 辻村, 和佑
溝下, 雅子
Author Heading: 辻村, 和佑
溝下, 雅子
Publication, Distribution, etc.: Keio Economic Observatory
Publication Date: 2002-03
Publication Date (W3CDTF): 2002-03
Alternative Title: ジュウタクキンユウコウコハイシゴノユウシスキームニカンスルイチシアン : シキンジュンカンブンセキカラノテイアン
Jutaku kinyu koko haishigo no yushi sukimu ni kansuru ichishian : shikin junkan bunseki karano teian
Periodical title: KEO discussion paper
No. or year of volume/issue: 71
Volume: 71
Text Language Code: jpn
Target Audience: 一般
Note (General): type:text
2001年12月に政府は特殊法人等改革基本法に基づき、行政構造改革の一環として163の特殊法人及び認可法人を対象とする特殊法人等整理合理化計画を発表した。1997年12月にまとめられた行政改革会議最終報告にも指摘されているように、行政に関連する公的な事業を遂行するため、特別の法律により設立された法人については、経営責任の不明確性、事業運営の非効率性、不透明性等の弊害が存在し、関連予算の肥大化とも相俟ってその改革は急務となっている。しかしながらもともと特殊法人は行政ニーズの多様化ならびに高度化に対応して、公共事業、政策金融、研究開発など幅広い分野において、各省庁等との緊密な連携のもと、様々な政策実施機能を果たすことを企図して設立されたものである。したがって特殊法人の中には長年にわたって社会に根付き、国民生活の不可欠な一部分となっているものも少なくない。とりわけ住宅金融公庫は長期かつ固定金利の住宅ローンを低利で供給することで、我が国の家計の持家率の向上に多大な貢献をしてきた。上述の整理合理化計画では住宅金融公庫の融資業務について、2002年度から段階的に縮小するとともに利子補給を前提としないことを原則とし、5年以内に廃止するものとされている。本稿では住宅金融公庫の段階的廃止計画や、同じく特殊法人等整理合理化計画で謳われている都市基盤整備公団の賃貸住宅新規建設の中止が、家計にいかなる影響を与えるかを統計資料により検討していきたい。住宅購入の際に問題になるのが住宅ローンの借りやすさである。長期かっ固定金利の住宅ローンを低利で供給してきた住宅金融公庫の事業に匹敵することを民間が肩代わりできるであろうか。現状ではもちろん不可能である。住宅ローンの借りやすさの条件は、第1に金利が低いこと、第2に長期固定金利であること、第3に万が一のときに返済猶予が受けられることである。これらの条件を兼ね備えた住宅ローン商品を用意するには、それなりの資金調達手段を考えねばならない。現存する長期の金融商品と言えば償還期限20年あるいは30年の超長期国債をおいて他にない。それどころか民間金融機関は最長預入れ期間10年の定額郵便貯金に対抗できる商品さえ準備していない。これでは期間対応の原則ひとつをとってみても、魅力的な住宅ローン商品の開発はとてもおぼつかない。我が国の金融機関の国際的な長期格付がせいぜいシングルAからトリプルBどまりの現状を考えると、多額の不良債権を抱えた現状で長期の金融商品を開発するのは不可能に近い。さりとて多額の政府債務を考えれば超長期国債を増発して、政府が民間金融機関に住宅ローン資金を供与すると言うのも非現実的であろう。これを回避するひとつの方策として、民間金融機関が既存の一般勘定とは独立に住宅ローン専用の特別勘定を設定し、この勘定が発行する住宅ローン債券に政府保証を付与することが考えられる。この住宅ローン債券の発行額に見合っただけ新規の国債の発行を抑制することとすれば、国は確定債務を偶発債務に転換することが可能になり、将来の利払い負担を軽減できるメリットがある。もちろん政府保証付の住宅ローン債券は長期の金融商品としては低利とは言え、3年物の定期預金などと比較すればはるかに利回りも高く設定できるから、ペイオフの解禁で資産運用に窮している高齢者などにとっても格好の投資対象である。しかも住宅貸付には繰上げ返済が不可避的に発生することを考慮すれば、政府保証住宅ローン債券に額面での買取消却条項を設けることで、個人の資金運用の利便性を格段に向上させることも可能かもしれない。これならまさに黄金時代の金融債の復活である。裏を返せば政府保証住宅ローン債券は、ペイオフの解禁で資金流出に歯止めをかけたい民間金融機関にとっても願ってもない新金融商品となろう。しかも特別勘定が発行する住宅ローン債券に政府保証が付くということは、金融機関の立場からしても万が一の場合に債務者に返済猶予を与えやすい。つまり住宅取得者の立場から見れば、低利の長期固定金利であることは当然として、借りやすい3つの条件がすべて揃うことになる。おそらく唯一の欠点は金融機関、債務者双方のモラルハザードを招きやすい点であるが、これさえ解決できれば特殊法人改革の良きモデルケースとなることが期待される。このような観点から住宅貸付勘定の設立が資金と実物にもたらす影響を分析するのが本稿の目的である。
DOI: 10.14991/004.00000071-0001
Source: https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=AA10715861-00000071-0001
https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?koara_id=AA10715861-00000071-0001
Access Restrictions: 限定公開
Data Provider (Database): 国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース（IRDB）（機関リポジトリ）
https://irdb.nii.ac.jp
Original Data Provider (Database): 慶應義塾大学 : 慶應義塾大学学術情報リポジトリ