Alternative Titleフランス ケンポウ ニ オケル ショクギョウ ノ ジユウ ニ ツイテ
Furansu kenpō ni okeru shokugyō no jiyū ni tsuite
About the freedom of economics in the constitutional law of France
Note (General)type:text
本研究は, 職業に関して詳細に統制していると考えられているフランスを対象国として, 日本における議論を問い直す意図で始められた。その際には, 国家と経済秩序の関係を根本から考察することから着手することを考えいていた。
しかし, 実際には, 日本憲法学において国家と経済秩序との関係を問い直すことそれ自体が非常に難儀なことであり, この一年ではさらに「職業の自由を問い直す」という具体的な問題を丁寧に跡付けて論じるところまで至ることはできなかった。
今年度達成できたことは以下である。まず, フランス公法学において強い影響力を有するとともに, 日本国憲法学においても隠れた影響力を有する公法学者モーリス=オーリウについて, その公法学および憲法学, ならびに国家論を学ぶことができた。その際, 彼の議論は法学にとどまらず, 当時の熱力学等の自然科学, 哲学, そして社会学の影響があることから, それらについても調べることになった。彼の国家論を調べたのち, 同年代のドイツの国家論につても触れ, さらに日本における尾高朝雄らの国家論についてもこれを理解することに努めた。
そのような国家論についての研究と並行して, 経済史, 経済学, 経済法についての基礎的な理解を深めるように努めた。具体的には, 金沢良雄の経済法等から戦間期の経済法概念について研究し, また市場というものについて思想家がどのように向き合ってきたのかの思想史についても研究した。
いずれも, 一つ一つが重厚なテーマであり, それを統合した先にある本研究は1年で終えることのできるものではなかった。もっとも, そのような研究の末に私なりの仮説を立てることができ, その仮説の具体的な検討として, 「試論」という形で書籍流通という経済秩序と国家との在り方を問い直す作業を行い, これを発表した(大野悠介「書籍流通制度と憲法理論・試論」慶應法学第39号(2018年)22頁)。
現段階ではまだ仮説ないし試論段階であり, 来年度はこれを理論的に洗練する予定である。
I intended to get critical idea to the freedom of economics, especially freedom of professions, in Japan, by comparing with in France, where it is said to be controlled. So, I would start this research by think about the relation between the State and the order of economics.
But, in fact, it is so difficult to question the relation in Japan that I can not sufficiently argue about the freedom of professions this year.
This year, I have reached that :
1 I studied about the Mauride Hauriou's theories of the public law, the constitutional law, and the State. He is the one of those who has great influence on the French and Japanese studies of the public law. I also studied about the natural science --thermodynamics, mathematics--, philosophy, and sociology, because they had some influence on his theories.
Then, I started to research the theories of the State in German, and Tomoo Otaka, who has fine theory of the State.
2 I tried to understand also the history, academic theory, and law of the economics. I studied the theory of economical law of Yoshio Kanazawa, and research the history of philosophy of the market.
3 Both of these studies is so difficult that I could not reach to the point of the problems that could be discussed based on these results. But I got a hypothesis. In that hypothesis, I have expressed my idea about the State's act in the market of books ("Essay on the Framework of Constitutional Law for Examining the Distribution System of Books", Keio Law Journal, No.39, February 2018, p.23).
I will refine this hypothesis.
Data Provider (Database)国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)