雌クマムシが産生する雄を興奮・誘引する3つの化合物の同定とそれらの作用機序

• Material Type: 文書・図像類
• Title: 雌クマムシが産生する雄を興奮・誘引する3つの化合物の同定とそれらの作用機序
• Author/Editor: 松本, 緑
• Author Heading: 松本, 緑
• Publication, Distribution, etc.: 慶應義塾大学
• Publication Date: 2020
• Publication Date (W3CDTF): 2020
• Alternative Title: メス クマムシ ガ サンセイスル オス オ コウフン・ユウインスル 3ツ ノ カゴウブツ ノ ドウテイ ト ソレラ ノ サヨウ キジョ; Mesu kumamushi ga sanseisuru osu o kōfun yūinsuru 3tsu no kagōbutsu no dōtei to sorera no sayō kijo; Experimental investigations on the partner-finding behaviors of a dioecious tardigrade Paramacrobiotus sp.
• Periodical title: 学事振興資金研究成果実績報告書
• Text Language Code: jpn; eng
• Target Audience: 一般
• Note (General): type:text; 【目的】有性生殖を行うクマムシParamacrobiotus sp. TYO系統の交尾行動を初めて記載し、オスはメスに対して、首を振りながら追いかけ射精に至る様子を示した。また一匹のメスに何匹ものオスが群がる様子も確認されることから、オスを誘引するフェロモンの存在が示唆されている。そこで、クマムシのオス誘引フェロモンの単離と同定を目指した。 【方法】TYO系統メス10匹を一晩飼育したメス飼育液を用いた寒天小片を作成し、寒天小片に対するオスの行動を観察し、オス誘引率を測定した。またメス飼育液をSep-Pakを用いて20%、40%、60%、80%メタノールにより溶出し、その溶出画分を用いて寒天小片を作製しオス誘引率を測定した。さらに個体追跡ソフトUMA-Trackerなどを用いて、歩行速度、首振り回数などを計測した。 【結果】無添加の寒天小片に対するオスの誘引率は20%以下だったのに対し、メス飼育液を含む寒天小片では70%のオスが誘引された。よってメス飼育液にはオスを誘引するフェロモン物質が存在することが示された。また、個体追跡を詳細に行うと、メス飼育液中でのオスの歩行速度は、コントロールに対して有意に速く、加えてコントロールではほとんど首を振らずに歩くのに対して、メス飼育液では方向転換する様子が多く観察され、首振りの角度も大きかった。このことから、首振りを誘発する興奮フェロモンの存在が予想された。 Sep-Pakによる溶出画分を用いて寒天小片を作成し誘引率を測定すると、素通り画分と20%メタノール抽出液で強い誘引活性が見られた。よって、オス誘引物質は極性の高い分子であると考えられる。 さらに、溶出画分中で個体追跡による活性測定を行うと、60%、80%メタノール抽出液中に強い興奮活性が見られた。よって、オス興奮物質は疎水性の高い分子であると考えられる。 以上の結果から、メスから分泌される性フェロモンには、オス誘引活性とオス興奮活性の少なくとも2つの活性があることが示唆された。 Encountering of a male and a female is often intermediated with sexual pheromone. Secreting of chemicals which induces mating has been estimated in tardigrades, however, the experimental method for detecting the molecules was limited. In this study, we established a method for quantifying the attraction of a male tardigrade which is the species lay their eggs into the environment directly, then resulted that the males clearly reacted only to the water including the hypothetical pheromone which the female released. The reaction could be categorized as walking speed, head swing and accumulation. Our technique has a potential to be a basis to identify the chemical constitution of the released pheromone, via assay to the animals to monitor the chemical activity.
• Access Restrictions: 限定公開
• Data Provider (Database): 国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース（IRDB）（機関リポジトリ）; https://irdb.nii.ac.jp
• Original Data Provider (Database): 慶應義塾大学 : 慶應義塾大学学術情報リポジトリ