南満州鉄道(満鉄)について調べる
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アジア情報室 作成
戦前に旧満州で営業していた南満州鉄道(満鉄)株式会社とその主力事業である鉄道について調べるための資料をご紹介します。 なお、旧満鉄図書館で所蔵していた資料なども含む、資料群としての「満鉄関係資料」の調べ方については、満州国・満鉄に関する資料で紹介していますので、あわせてご参照ください。
【 】内は当館請求記号です。
1. 全般
- 『南満洲鉄道案内』(南満洲鉄道, 明42.12.【96-524】) (国立国会図書館デジタルコレクション)
『南満洲鉄道案内』(南満洲鉄道, 大正1【96-524イ】) (国立国会図書館デジタルコレクション)
『南満洲鉄道旅行案内』(南満洲鉄道, 大正13.【96-524ロ】) (国立国会図書館デジタルコレクション)
南満州鉄道各駅について、駅周辺の施設などを紹介しています。当館では明治42(1909)年版、大正元(1912)年版、大正13(1924)年版を所蔵しています。主要駅や名所の写真、路線図、大連や奉天(現在の瀋陽)など沿線に位置する主要都市の市街図を収録しています。いずれも国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開しているほか、明治42(1909)年版、大正元(1912)年版については、『シリーズ明治・大正の旅行. 第1期14』(ゆまに書房, 2014.11.【GD15-L18】)に復刻版を収録しており、国立国会図書館デジタルコレクションでは白黒で表示されている図版の一部をカラーで閲覧できます。 - 『日本鉄道旅行地図帳. 満洲・樺太』(新潮社, 2009.11. 【Y94-L30006】)
旧満州と戦前期の樺太の鉄道をビジュアル的に解説する資料です。旧満州については、pp.4-29に鉄道年表、エリア別の鉄道地図、大連や奉天(現在の瀋陽)など主要都市の市街図や写真を掲載しています。pp.38-65には、路線ごとの駅名一覧を収録しています。鉄道路線だけでなく、路面電車や地下鉄などの市内交通までカバーしているのが特徴です。
2. 社史
南満州鉄道株式会社は、明治39(1906)年の営業開始以降、終戦までの間は10年ごとに社史を発行していました。社史には、財務状況、内規、人事組織、部門別の事業内容などの情報を掲載しており、同社の運営状況を知るにあたって有用な資料です。当館で所蔵している社史は以下のとおりです。
- 『南満洲鉄道株式会社十年史』(南満州鉄道, 大正8.【331-130】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
複製版の『南満洲鉄道株式会社十年史』(原書房, 1974.【DK55-19】)(国立国会図書館デジタルコレクション)も所蔵しています。 - 『南満洲鉄道株式会社第二次十年史』(南満洲鉄道, 1928.【335.49-M494m2-(s)】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
複製版の『南満洲鉄道株式会社第二次十年史. 上巻』(国立国会図書館デジタルコレクション)『南満洲鉄道株式会社第二次十年史. 下巻』(国立国会図書館デジタルコレクション)(原書房, 1974.【DK55-15】)も所蔵しています。 - 『南満洲鉄道株式会社第三次十年史』(竜渓書舎, 1976.【DK55-24】)上(国立国会図書館デジタルコレクション)、中(国立国会図書館デジタルコレクション)、下(国立国会図書館デジタルコレクション)3巻と附図・附表の別冊
昭和13(1938)年刊の複製版です。附図・附表の別冊のみデジタル化されておらず、東京本館で所蔵しています。 - 『南満洲鉄道株式会社三十年略史』(南満洲鉄道, 1937.【335.49-M494m】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
複製版の『南満洲鉄道株式会社三十年略史』(原書房, 1975.【DK55-22】)(国立国会図書館デジタルコレクション) も所蔵しています。
戦後は、満鉄の元社員や家族から成る満鉄会(平成28(2016)年3月に解散)によって四十年史が発行されました。以下は、満鉄に関する多くの資料が散逸する中、できる限り情報を集めて編集した貴重な資料です。
- 『満鉄四十年史』(吉川弘文館, 2007.11.【DK55-H49】)
満鉄会が刊行した満鉄の通史です。原資料が十分にそろっていなかったために記述が不完全であった『南満洲鉄道株式会社第四次十年史』を補う目的で刊行されました。「本文編」と「資料編」からなります。「本文編」には満鉄40年社史、「資料編」には満鉄の会社設立に関する書類や各種の契約や協定、当時の周辺国との外交文書、満州国に関する条約など、重要文書を収録しています。 - 『南満洲鉄道株式会社第四次十年史』(竜渓書舎, 1986.10.【DK55-107】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
『満鉄四十年史』と同じく満鉄会によって刊行された社史です。それまでの社史に比べると記述が少なくなっていますが、当時残存していた資料をできる限り集めて編集されています。
3. 駅名一覧・路線図・時刻表
- 『鉄道停車場一覧』(【627-234】ほか)
当時の日本全国の鉄道駅一覧で、外地(旧満州、台湾、朝鮮)の路線も含みます。路線ごとの鉄道駅名一覧を収録しており、ターミナル駅からの距離や営業開始日などを調べることができます。旧満州と台湾については、南満州鉄道、台湾鉄道、台湾施設鉄道などの駅名を調べることができます。当館では下記の年号のものを所蔵しており、大正6年分(『鐵道停車場一覽. 大正6年3月31日現在』(鐵道院, [1917] 【Y994-J9249】 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)を除いて、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。インターネット公開分については、下記の年号をクリックすると全文にアクセスできます。
・大正15(1926)年 ・昭和2(1927)年 ・昭和9(1934)年 ・昭和12(1937)年 - 『満洲朝鮮復刻時刻表』(新人物往来社, 1999.11.【DK111-J15】)
旧満州や朝鮮などの外地で発行されていた鉄道時刻表を復刻したものです。旧満州については、昭和15(1940)年8月発行の時刻表と路線図が収録されています。満州国内の都市間交通だけでなく、空路や航路も含む日本からの交通案内とその時刻表も収録されています。 - 『復刻版戦中戦後時刻表』(新潮社, [2009]【DK111-G24】)
**東京本館で所蔵しています。**旧満州と朝鮮の鉄道時刻表の復刻版です。旧満州については、昭和17(1942)年7月、昭和18(1943)年3月、昭和19(1944)年4月、昭和19(1944)年10月の時刻表を収録しています。
4. 社員名簿
当館または戦前・戦中期日本関係機関資料(アジア経済研究所作成)で閲覧できる南満州鉄道株式会社の社員名簿をご紹介します。「国立国会図書館デジタルコレクション」や「戦前・戦中期日本関係機関資料」に収録されている名簿はインターネットで閲覧できるので便利です。
- 国立国会図書館デジタルコレクション
当館で所蔵される資料の一部は、「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されており、以下に引用があるものはインターネット公開されています。 - 『日本人物情報大系』(皓星社, 1999.10.【GB12-G22】)
「満洲編」には、戦前に満洲に在住した日本人や日本の機関に関係した中国人の情報を収録しています。満洲編6-7巻(通号16-17巻)に南満州鉄道の社員名簿を復刻・収録しています。その他の巻に収録される紳士録などにも南満州鉄道の社員情報が含まれている場合があります。満州編に収録される人物のうち、伝記や経歴などの詳細情報がある人物については、『日本人物情報大系. 別巻 11-20 (満洲編 被伝記者索引)』および皓星社ウェブサイト内の日本人物情報大系満州篇人物検索フォーム(フルネームで検索する必要があり、部分一致検索は不可)で検索できます。なお、これらの検索対象に満洲編6-7巻所収の南満州鉄道社員名簿に掲載されている人物は含まれていません。 - 戦前・戦中期日本関係機関資料(近現代アジアのなかの日本)
アジア経済研究所が作成するデータベース近現代アジアのなかの日本に収録されるコンテンツの1つです。明治42(1909)年から昭和10(1935)年までの名簿を収録しており、いずれもウェブ上で無料で閲覧できます。
「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録する社員名簿は以下のとおりです。
所蔵名簿 | 国立国会図書館デジタルコレクション(リンクをクリックすると本文を参照できます) |
昭和9(1934)年9月1日現在 | 『[南満洲鉄道株式会社]社員録. 昭和9年9月1日現在』 |
昭和10(1935)年12月1日現在 | 『社員録. 昭和10年12月1日現在』 |
昭和12(1937)年9月1日現在 | 『社員録. 昭和12年9月1日現在』 |
昭和15(1940)年7月1日現在 | 『社員録. 昭和15年7月1日現在』 |
以上の他に、東京本館でも下記の社員名簿を所蔵しています。関西館への取寄せや図書館間貸出はできませんのでご注意ください。
- 『満鉄刊行資料』 ( [国立国会図書館] (製作), 1970-1984.【YD-324】)
東京本館図書別室で閲覧可能 なマイクロフィルムです。南満州鉄道の社員名簿も多数収録しています。収録される名簿の種類は以下のとおりです。([ ]内はリール番号です。)
・明治42(1909)年3月1日現在 [MOJ1639] ・明治43(1910)年 [MOJ1640]
・明治44(1911)年-大正元(1912)年 [MOJ1641] ・大正2(1913)年 [MOJ1642]
・大正3(1914)年 [MOJ1643] ・大正7(1918)年 [MOJ1645]
・大正8(1919)年 [MOJ1646] ・大正9(1920)年 [MOJ1647]
・大正10(1921)年 [MOJ1648] ・大正11(1922)年 [MOJ1649]
・大正12(1923)年 [MOJ1650] ・大正14(1925)年 [MOJ1651]
・昭和元(1926)年 [MOJ1652] ・昭和2(1927)年 [MOJ1653]
・昭和3(1928)年 [MOJ1654] ・昭和4(1929)年 [MOJ1655]
・昭和5(1930)年 [MOJ1656] ・昭和6(1931)年 [MOJ1657]
・昭和8(1933)年 [MOJ1658] ・昭和9(1934)年 [MOJ1659]
・昭和10(1935)年 [MOJ1660] - 「満鉄会旧蔵資料」
東京本館憲政資料室で所蔵している**** 資料群です。昭和20年8月現在の社員名簿や、それをもとにした満鉄社員カードなどが含まれます。
※憲政資料室のご利用は研究又は調査の方に限り、ご利用の際は憲政資料室備付の閲覧許可申請書に調査目的・研究テーマを記入、提出していただきます。詳細は、「憲政資料室の利用案内」をご覧ください。
5. 写真集
満鉄に関する写真を掲載している主な資料には以下のようなものがあります。
- 『南満洲鉄道沿線写真帖』(南満鉄道, [昭和--] 【特268-87】) (国立国会図書館デジタルコレクション)
満鉄車両の外観や内装、主要駅の駅舎、大連、奉天(現在の瀋陽)、旅順など主要都市の市街の様子を収録する写真集です。 - 『全満洲名勝写真帖』(松村好文堂, 昭12.【647-269】) (国立国会図書館デジタルコレクション)
市街地や観光地の写真がメインですが、巻頭に路線図および特急「あじあ号」の写真を収録するほか、新京駅や吉林駅などの写真も収録しています。 - 『写真で行く満洲鉄道の旅 = TRAIN JOURNEY AROUND MANCHURIA 』(潮書房光人社, 2013.8.【DK55-L2】)新装版(潮書房光人社, 2023.6.【DK55-M28】)
満鉄関連の写真を収録する写真集です。当時使用された各種車両の外観、あじあ号の食堂車などの車内の様子、主要駅の駅舎、主要都市の街並み、関東都督府などの重要な建築物の写真のほか、大連、旅順、奉天(現在の瀋陽)、新京(現在の長春)、哈爾浜(ハルビン)の市街図も収録しています。新装版は東京本館で所蔵しています。 - 『満洲鉄道写真集 = Manchuria Railway Photograph Collection』(潮書房光人社, 2013.1.【DK55-L1】)
満鉄で使用された車種別の車両写真を中心とする写真集です。写真のほか、スペックや組立図などの情報も収録しています。 - 『アジア写真集. 5 (満鉄写真帖)』(大空社, 2008.4.【GE91-J13】)
昭和元(1926)年に南満州鉄道株式会社から刊行された『満鉄写真帖』の複製版を収録しています。駅舎や鉄橋などの設備を中心とする鉄道関連の写真と主要都市における人々の生活の様子を納めた写真です。 - 『外地鉄道古写真帖 : 台湾・朝鮮・樺太・満州』(新人物往来社, 2005.9.【DK55-H32】)
pp.109-133「満洲の鉄道」に路線別に駅舎や車両の写真を収録しています。