外国の姓名を調べる
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人文総合情報室 作成
外国の姓名のカナ表記や原綴(アルファベット表記)、姓名の構成や由来などが調べられるツールを紹介します。
アジア諸国の姓名については、リサーチ・ナビ「アジア諸国の姓名」「中国・コリアの人名のローマ字表記について」を参照してください。
世界の歴史上の人物情報や人物に関する文献の調べ方については、リサーチ・ナビ「世界の歴史上の人物を調べる」を参照してください。
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1.カナ表記、原綴を調べる
下記で紹介する資料において、姓名の原綴がキリル文字やアラビア文字など非ラテン文字の場合、ほとんどがアルファベット表記に翻字されています。
1-1.全般
- 『新アルファベットから引く外国人名よみ方字典』(日外アソシエーツ 2013 【GK2-L2】)
姓・名のアルファベット表記約12万7千件、カナ表記約19万4千件を収録しています。
カナ表記にバリエーションのあるものは複数の表記を収録しています。日本で用いられているカナ表記を収録しているため、現地での発音とは大きく異なる場合があります。 - 『新・カタカナから引く外国人名綴り方字典』(日外アソシエーツ 2014 【GK2-L13】)
姓・名のカナ表記約15万1千件、アルファベット表記約19万4千件を収録しています。 - 石川敏男 編『5カ国語世界地名・人名表記辞典 : 英独仏伊西語対照』(ジャパンタイムズ 1992 【G64-E5】)
英独仏伊西の5か国語で表記が異なる地名・人名約2,000項目を収録しています。
排列はカナ表記の五十音順です。 - 初宿正典 編著『ドイツ語圏人名地名カタカナ表記辞典』(信山社 2021 【GG12-M1】)
ドイツ語圏の人名・地名について、現地の読みに近いカタカナ表記が分かる辞典です。アクセントの位置も確認できます。日本で現在一般的に用いられているカタカナ表記とは異なる場合があります。 - 松方冬子 編『オランダ語史料入門 : 日本史を複眼的にみるために』(東京大学出版会 2022 【GB381-M33】)
「各論1」に、オランダ語のカタカナ表記や発音について、人名や地名を例に取った解説があります。
1-2. 特定の人物
典拠データ
図書館資料の書誌情報である「著者名」や「件名」に、複数の表記方法や別名などがある場合、それら名称の使われ方を整理したものを、典拠データ(典拠ファイル、典拠録)と呼びます。本を出した人物、本のテーマとなる人物であれば、姓名表記を確認するツールとして、典拠データを活用できます。蔵書数の多い図書館の典拠データがとくに有用です。
- Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)
国立国会図書館の典拠データです。
カナ表記、原綴、別名などから検索できます。検索方法については典拠データを使った資料検索:Web NDL Authoritiesガイドも参照してください。 - VIAF バーチャル国際典拠ファイル(OCLC)
世界各国の国立図書館の典拠ファイルを横断検索できます。また各国における翻字されていない表記例を確認できる場合があります。
その他
- 『外国人物レファレンス事典』(日外アソシエーツ 1999-)
人物事典、百科事典、歴史事典などから抽出した人物を収録しています。
採録対象の事典の出版年によって「古代~19世紀」(~1998年刊行分、第2期:1999年~2009年刊行分、第3期:2010年~2018年刊行分)、「20世紀」(~2001年刊行分、第2期:2002年~2010年刊行分、第3期:2011年~2019年刊行分)などに分かれています。
排列はアルファベット順(漢字を除く)、カナ表記の索引巻があります。 - 『現代外国人名録』(日外アソシエーツ 1992-)※2002年版はCD-ROM
1992年以降、4年ごとに刊行されています。刊行時点で活躍中の人物を収録しています。
排列は五十音順です。 - 『西洋人著者名レファレンス事典』(新訂増補 日外アソシエーツ 2009)
1868年~2007年に国内刊行された翻訳図書の原著者・編者・脚本家・画家・写真家約13万5千人を収録しています。
排列はアルファベット順、第3巻はカナ表記の索引巻です。 - 『西洋人名・著者名典拠録』(新訂増補 日外アソシエーツ 2009)
1868年~2007年に国内刊行された翻訳図書の原著者・編者・脚本家・画家・写真家約13万5千人を収録しています。
排列はアルファベット順、第3巻はカナ表記の索引巻です。 - 『西洋人名・著者名典拠録』(新訂増補 日外アソシエーツ 2004)
歴史上の人物、現代の人物、1945年~2003年に国内刊行された翻訳図書の原著者約17万5千人を収録しています。
排列はアルファベット順、第3巻はカナ表記の索引巻です。 - 『西洋人名よみかた辞典』(増補改訂 日外アソシエーツ 1992 【GK2-E8】)
人物事典、百科事典、歴史事典などから抽出した人物約7万人を収録しています。アフリカ、中近東、インド、モンゴルの人物も対象です。
排列はアルファベット順、巻末に「カタカナ表記索引」があります。
2.姓名の構成、由来を調べる
以下のツールのほか、各国要覧や各国史事典の項目に「姓名」や「名前」が含まれる場合があります。
2-1. 全般
島村修治 著『世界の姓名』(講談社 1977 【G27-4】)
イスラム教、キリスト教など宗教を中心とした文化圏に大別し、30か国以上の国・地域別に、姓名の構成や命名方式などの解説があります。島村修治 著『外国人の姓名』(帝国地方行政学会 1971 【G27-1】)
姓が用いられるようになった経緯や姓名の特徴についての解説が約30か国についてあるほか、「英米人名短縮形一覧表」、「外国人の姓名構成表」などを収録しています。E.C.スミス[ほか]共編『西欧人名知識事典』(荒竹出版 1984 【G27-11】)
「西欧人名の知識」「事典-アメリカ人の姓の起源」の2部構成です。21世紀研究会 編『人名の世界地図 カラー新版』(文藝春秋 2021 【G27-M5】)
民族、宗教など人名の由来について、地図を添えて解説しています。
巻末に、男女別の「おもな英米人の名前」「ロシア人の名前」「インド人の名前」「アラブ人の名前」を収録しています。L.A.ダンクリング 著, 佐々木謙一 編訳『ギネスの名前百科』(研究社出版 1984 【G27-10】)
「姓の歴史」「名前の流行」「英米のファーストネームトップ50」(1700年~1981年)などを収録しています。索引があります。
"The Guiness book of names"【KE88-B7】の編訳です。
2-2. 英米
- G.R.スチュアート著, 木村康男 訳『アメリカ人名事典 : ファーストネームの由来と歴史』(北星堂書店 1983 【GH39-1】)
「名前の推移と概観」、「辞書の部」の2部構成です。 - 木村正史 著『英米人の姓名 : 由来と史的背景』(弓書房 1980 【GG43-2】)
英米における姓の上位20位、職業・クリスチャンネーム・ニックネームに由来する姓の解説、「アメリカにおける上位1,000姓一覧表」などを収録しています。 - 木村正史 著『英米人の姓名 : 由来と史的背景 続』(鷹書房弓プレス 1997 【GG43-2】)
ファーストネームの短縮形、男女名、民族姓についての解説、「ニックネームに由来する姓の代表例一覧表」「アメリカにおける上位1001姓~2000姓」などを収録しています。 - レズリー・アラン・ダンクリング 著, 中村匡克 訳『データで読む英米人名大百科』(南雲堂 1987 【GG43-3】)
おもなファーストネームについて分析しています。
和英、英和の人名索引があります。カナ表記はイギリスの発音がもとになっています。 - 松本安弘, 松本アイリン 共著『アメリカ人名おもしろ辞典』(北星堂書店 1995 【GH12-G1】)
英米の370の姓の由来を解説しています。 - “Dictionary of American family names / Patrick Hanks, editor.”(Oxford University Press 2003【GH12-B3】)
アメリカの姓の由来を調べることができる辞典です。また、第一巻(v.1)の巻頭に、ヨーロッパを中心とした世界各国の姓の特徴が記述されています。 - "The Oxford names companion / Patrick Hanks ... [et al.]"(Oxford University Press 2002 【KS12-B13】)
イギリスの名字・名前・地名の事典です。由来についても解説しています。
2-3. ヨーロッパ
- 梅田修 著『ヨーロッパ人名語源事典』(大修館書店 2000 【GG43-G5】)
聖書・神話・歴史などの背景の解説、「ヨーロッパの人名:男女各100名称」、「ヨーロッパ9か国の命名事情こぼれ話」などを収録しています。
英和対照表、索引があります。 - 梅田修 著『世界人名物語 : 名前の中のヨーロッパ文化』(講談社 2012 【G27-J9】)
欧米の一般的な人名について、言語的起源(ヘブライ、ギリシャ、ラテン、ゲルマン、ケルト、スラブ)から整理して解説しています。
上記『ヨーロッパ人名語源事典』を元にした文庫版です。 - 吉川直 著『外国語人名について』(吉川直 1978 【G27-5】)
「ラテン語人名について」(古代ローマ、中世~近代)、「ポーランド人名について」の2部構成です。 - 鳴海完造 編『ロシア・ソビエト姓名辞典 第2版』(ナウカ 1980 【GG811-5】)
巻末に「ロシア人の名前」「ロシア人に多い姓」「語尾からみた諸民族の姓の特徴」などの解説があります。
なお、辞典本文はキリル文字原綴の一覧で、アルファベット表記やカナ表記は併記されていません。 - 渡辺克義 著『ポーランド人の姓名 : ポーランド固有名詞学研究序説』(西日本法規出版 2005 【GG721-H8】)
語源、型、表記などの解説があります。 - 芝紘子 著『歴史人名学序説 = Antroponimia histórica hispana : 中世から現在までのイベリア半島を中心に』(名古屋大学出版会 2018 【GG561-L8】)
スペインの姓名システムについて分析しています。由来(地名、あだ名、職業)による解説、最頻10姓(2016年)を収録しています。 - "Dictionnaire étymologique des noms de famille et prénoms de France / par Albert Dauzat Ed. rev. et augm."(Larousse c1994 【GG8-A69】)
フランス語圏の姓名の由来や歴史について解説した事典です。 - "Historisches deutsches Vornamenbuch / von Wilfried Seibicke"(W. de Gruyter c1996-2007 【GG43-B12】)
ドイツ語圏の姓名について起源・由来や分布等を解説した事典です。