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正倉院文書を調べる

書誌事項末尾の【 】内は当館請求記号です。

1. 正倉院文書を読む

正倉院文書とは奈良時代に東大寺写経所で作成され、正倉院の宝庫で保管されてきた文書群です。内容は、東大寺の写経・造寺・造仏事業に関する史料のほか、写経文書等の裏(紙裏)に書かれた戸籍・計帳などを含む、日本古代史の基本史料です。現在は原則として宮内庁正倉院事務所で管理されており 、今日伝わる奈良時代文書のほとんどを正倉院文書が占めています。

原文書の閲覧はできませんが、下記に紹介する影印、翻刻、データベースなどで本文を読むことができます。「正集」「続修」「続修後集」「続修別集」「塵芥文書」「続々修」の類別、または編年順(『大日本古文書』)で構成されています。

正倉院文書のうち民間に流出した文書は庫外正倉院文書と呼ばれ、発見されたものの一部は博物館や大学図書館等に所蔵されていますが、こちらも展覧会等限られた機会を除いて原文書を閲覧することができません。展覧会の図録等を確認することで本文を読むことができます。

〈参考文献〉

1-1. 影印(写真版)

  • 正倉院宝物検索 文書検索Leave the NDL website. (宮内庁正倉院事務所)
    「正倉院宝物検索」>「文書検索」を選択することで、正倉院文書のマイクロフィルム画像を既刊全巻分から検索、閲覧できます。また東南院文書や、広義の正倉院文書に含まれる北倉文書(献物帳、曝涼・出納文書)も検索、閲覧できます。本文検索はできません(基となったマイクロフィルム複製版については当館未所蔵です)。
  • 宮内庁正倉院事務所 編『正倉院古文書影印集成』1~17(八木書店 1988-2007 【YQ5-248・H40・H103】)
    類別構成です。「続々修」は未刊です(2021年7月現在)。『大日本古文書』に未収のものも含みます。

1-2. 翻刻(活字版)・全文データベース

1-3. 索引

2. 文書の接続、紙背文書の調べ方

現在の正倉院文書は、江戸時代に成巻されたもので、当初の構成と異なります。下記に紹介するツールでは、当初それぞれの文書がどのように接続していたか、裏にどの文書があったか(紙背文書)について、調べることができます。

  • 『正倉院文書目録』1~(東京大学出版会 1987- 【GB196-36ほか】)
    文書名、断簡の切れ目、年次などを調べることができます(本文そのものは掲載されていません)。「大日本古文書対照目録」を付しています。類別順に継続刊行中です。
  • 正倉院文書マルチ支援データベースLeave the NDL website. (東京大学史料編纂所)
    文書の断簡単位による検索が可能で、正倉院文書の断簡(一部データは未登録)の情報にアクセスできます 。「研究文献検索」の機能があり、検索した資料についての研究文献とその掲載ページを調べることができます。また断簡釈文、奈良時代古文書フルテキストデータベース、『大日本古文書』版面画像を別画面で表示することもできます。

3. 研究入門書

4. 図録等

  • 『正倉院文書展:企画展』(歴史民俗博物館振興会 1985 【GB173-33】)
    1985年に国立歴史民俗博物館で行われた正倉院文書に関する企画展の図録です。庫外正倉院文書についても出品されました。84点の図版と解説を収録しています。
  • 『正倉院文書拾遺』(国立歴史民俗博物館 1992 【YP6-125】)
    上記『正倉院文書展』の研究図録で、展示された文書の実物大写真と簡単な解説、釈文を掲載しています。庫外正倉院文書75点の図版が掲載され、所在不明文書4点についても記されています。
  • 『正倉院展目録』(奈良国立博物館 【K16-102】ほか)
    39回(1987年)以前の展覧会図録です。正倉院文書も出品されています。
  • 『正倉院展』(奈良国立博物館 年刊 【Z42-434】)
    40回(1988年)以降の展覧会図録です。正倉院文書も出品されています。
  • 『正倉院展六十回のあゆみ』(奈良国立博物館 2008 【K131-J26J12】)
    1回(1946年)~60回(2008年)の展示品の索引として利用可能です。
  • ジャパンサーチ 「正倉院宝物」Leave the NDL website.
    ジャパンサーチの「正倉院宝物」のページでは、「正倉院展」等の過去の展覧会の情報を調べたり、正倉院宝物に関連する古文書や書籍、写真を閲覧したりすることができます。