名乗り訓(名前の漢字の訓読み)を調べる
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人文総合情報室 作成
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1. 名乗り訓とは
公家・武家の男子が成人した際につけられた実名(じつみょう)や、現代の姓名のうちの名に使われた漢字には、一般的な訓読み、例えば現行の常用漢字表に示された訓読みとは異なる、特殊な読み方をするものがあります(例:「朝」を「とも」と読む)。
このような、名前に用いられる漢字に特有の訓読みを「名乗り訓」と呼びます。
参考
- 小野正弘「名乗り字」(佐藤喜代治 [ほか]編著『漢字百科大事典』 明治書院 1996 【KF45-G15】 pp.113-114)
- 「「名乗り字」と「名乗り訓」とは」(佐藤稔 著『読みにくい名前はなぜ増えたか』 吉川弘文館 2007 歴史文化ライブラリー ; 236 【GB43-H241】 pp.120-145)
2. 名乗り訓を掲載している辞典
戦後に刊行された漢和辞典を中心に紹介します。
- 佐藤喜代治 著『字義字訓辞典』(角川書店 1985 角川小辞典 ; 4 【KF45-83】)
以下の古辞書における記述を参照しています。
・『色葉字類抄』(いろはじるいしょう)(三巻本)
平安時代末期の治承4(1180)年に橘忠兼が編纂。
・『拾芥抄』人名録
鎌倉時代中期に洞院公賢(とういんきんかた)が執筆。後に洞院実熈(とういんさねひろ)が増補。
・『節用集』(易林本)(えきりんぼん)
慶長2(1597)年に平井易林が刊行。 - 佐藤喜代治 [ほか]編著『漢字百科大事典』(明治書院 1996 【KF45-G15】)
上記の古辞書に加えて、高井蘭山 編 ; 工藤寒斎 補『日本史・日本政記・日本外史名乗字引』(増補版 仙鶴堂 明7 【特58-866】)(国立国会図書館デジタルコレクション)も参照しています。 - 諸橋轍次 著『大漢和辞典』15冊(大修館書店 1989-2000 【KF4-E18】)
- 諸橋轍次 [ほか]著『広漢和辞典』4冊(大修館書店 1981-1982 【KF4-50】)
- 加藤常賢 [ほか]著『角川字源辞典』(第2版 角川書店 1983 【KF4-59】)
- 加納喜光 著『人名の漢字語源辞典』(東京堂出版 2009 【KK24-J22】)
- 沖森卓也, 三省堂編修所 編『三省堂五十音引き漢和辞典』(第2版 三省堂 2014 【KF4-L8】)
- 荒木良造 編『名乗辞典』(東京堂 1959 【281.034-A721n】)
- 芝野耕司 編著『JIS漢字字典 増補改訂』(日本規格協会 2002 【UL47-G46】)
なお、名乗り訓の意味(例:「浮」を「ちか」と読む時の「ちか」とはどのような意味か)や、読み方の理由(例:「浮」をなぜ「ちか」と読むのか)について、上記『人名の漢字語源辞典』を除き詳しい解説は掲載されていません。