海図
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地図室 作成
海図とは、安全な航海ができるように水深・底質・岩礁・沿岸の地形・航路標識などを表現した地図です。日本における海図の作成は海上保安庁が行っています。このページでは、当館が所蔵する日本の海図について紹介します。
1.国立国会図書館の所蔵
東京本館地図室では、現行の海図の他に、明治期以降に作成され既に廃版となった旧版海図についても所蔵しており、いずれも国立国会図書館サーチで所蔵を確認することができます。
1-1. 航海用海図
1-1-1. 航海用海図(Nautial Charts)
もっとも一般的な海図です。縮尺によってさらに、遠洋航海計画用の「総図」(1:4,000,000以下)、長距離航海用の「航洋図」(1:1,000,000以下)、沿岸航海用の「航海図」(1:300,000以下)や「海岸図」(1:50,000以下)、港湾や泊地、水道などを詳細に記載した「港泊図」(1:50,000以上)に分類されます。
大縮尺のものは、沿岸地域の地形も詳細に記載されており、地形図の代用として利用できるものもあります。
1-1-2. 航海用電子海図(Electronic Navigational Charts)
紙の航海用海図とほぼ同じ内容を持つ、「電子海図表示システム(ECDIS)」上で自船の位置情報などと重ね合わせて表示させるためのデータベースです。
音楽・映像資料室でCD-ROMを所蔵していますが、表示装置として「電子海図表示システム(ECDIS)」が必要であり、当館では利用できません。
1-1-3. 国際海図
国際水路機関(IHO)により統一された作成基準によって、各国で分担して作成されている海図です。日本も、日本近海部分の作成を担当しています。
1-2. 水路特殊図(Miscellaneous Charts)
航海や学術研究の参考として使用される海図です。「大圏航法図」、「パイロットチャート」、「海流図」、「潮流図」、「位置記入用図」、「天測位置記入用図」、「漁具定置箇所一覧図」「磁気図」、「海図図式」などがあります。
1-3. 海の基本図(Basic Maps of the Sea)
海上保安庁では、海洋開発や環境保全、災害対策の防止などの総合的な基礎資料として、日本周辺海域における科学的な基礎調査を行い、その成果が「海の基本図」として刊行されています。
1-3-1. 沿岸の海の基本図(1:10,000、1:50,000)
日本の領海12海里海域について作成されており、海底の地形を等深線で表した「海底地形図」と海底下の地質構造を表した「海底地質構造図」があります。
1-3-2. 大陸棚の海の基本図(1:200,000、1:500,000、1:1,000,000)
図郭線で連続する切り図で日本周辺をカバーしており、「海底地形図」の他、「海底地質構造図」、「地磁気異常図」「重力異常図」が刊行されている場合もあります。
1-3-3. 大洋の海の基本図(1:3,000,000)
日本近海を小縮尺でカバーしており、「海底地形図」の他、「地磁気異常図」、「重力異常図」が刊行されている場合もあります。
1-4. 水路書誌
海図と併用されるものとして、「水路誌」「特殊書誌」があります。「水路誌」は海上の諸現象、航路、港湾、漁港、泊地、沿岸の状況を詳細に記述した海の案内記です。「特殊書誌」には、「航路誌」、「灯台表」、「潮汐表」、「天測暦」、「距離表」、「水路図誌目録」などがあります。
2. 資料の利用方法
海上保安庁刊行の『水路図誌目録』から、発行されている海図の図名・海図番号などを調べることができます。
2-1. タイトルから検索
国立国会図書館サーチで検索対象を「国立国会図書館」のみ選択した上で、資料種別として「地図」を選択し、「タイトル」欄に図名を入力して、検索してください。
検索結果が多い場合には、「NDLC」欄に、「YG4-Z」(のし図の場合)と「YG26-Z」(折りたたみ図の場合)を入力すると、海図のみに絞り込むことができます。なお、簡易検索画面の絞り込み条件の初期状態では「NDLC」欄が表示されません。検索項目を追加するか、詳細検索または地図に特化した検索をご利用ください。
【例】「タイトル」欄:「東京湾」、「NDLC」欄:「YG26-Z△YG4-Z」(△はスペース)
海図は、港や岬、島などの固有名詞そのものがタイトルになっている場合が一般的であり、水路図誌目録などで図名を確認していない場合でも、「利尻島」「室戸岬」「大阪湾」などの検索語でヒットする場合があります。
「水路誌」及び特殊書誌については、戦前の一部のものを除き、ほとんどの資料が図書として整理されています。検索方法は「水路書誌」のページにある「2.資料の利用方法」をご確認ください。
2-2. 海図番号から検索
水路図誌目録などで海図番号が判明している場合は、国立国会図書館サーチで検索対象を「国立国会図書館」のみ選択した上で、資料種別「地図」を選び、海図番号を入力して検索します。
なお、詳細検索画面では「海図番号」欄が表示されません。簡易検索で検索項目を追加するか、詳細検索画面から地図に特化した検索をご利用ください。
3. 参考図書
- 沓名景義, 坂戸直輝著『海図の知識』 (成山堂書店, 1994.8【NC84-E13】)(地図室開架)
- 海上保安庁海洋情報部 編 『水路図誌使用の手引』(海上保安庁, 2014.7 【NC87-L13】)(地図室開架)
4. 関連サイト
- 海しる(海洋状況表示システム)(海上保安庁)
海洋に関するさまざまな情報を一つの図上に表示させることができるシステムです。海洋レジャー、港湾管理、水産、環境保全など、利用目的に合わせた情報が表示された地図を閲覧できます。 - 日本水路協会(財団法人日本水路協会)
海図ネットショップで索引図の閲覧や様々な海図を購入できるほか、海圖アーカイブのページでは、明治初期に作成された海図のデジタル画像と旧版海図の目録が公開されています。