ICAO(国際民間航空機関/International Civil Aviation Organization)
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議会官庁資料室 作成
設立及び目的
1944年に締結された国際民間航空条約(通称:シカゴ条約)(Convention on International Civil Aviation)に基づき、1947年に設立された国連の専門機関です。日本は、1953年に加盟しました。本部はモントリオール(カナダ)で、2013年末現在の加盟国は191カ国です。
ICAOは、国際民間航空の安全かつ秩序ある発展を目的とし、この目的のために国際航空運送業務やハイジャック対策のための条約の作成、国際航空運送に関する国際標準、勧告、ガイドラインの作成などを行っています。
国際民間航空に関する組織としては、他に国際航空運送協会(International Air Transport Association - IATA)がありますが、IATAは航空会社によって構成される業界団体、ICAOは各国政府によって構成される国際機関です。
組織構成
総会(Assembly)、理事会(Council)、事務局(Secretariat)で構成されています。
総会は、全加盟国の代表で構成されるICAOの最高意思決定機関で、少なくとも3年に1回開催されます。国際民間航空条約の改正審議、予算の承認、理事国の選出などを行います。
理事会は、3年ごとに総会で選出される36カ国で構成される執行機関です。航空に関する情報の収集・審査・公表、国際民間航空条約違反の勧告、国際標準及び勧告方式の採択、条約附属書の採択及び改正審議、財政運営等を行います。
また、技術面に関して理事会を補佐する航空委員会(Air Navigation Commission)が常設され、個々の課題を、航空会議(Air Navigation Conference)、部会会議(Divisional Meeting)、パネル(Panel)などで審議します。航空委員会以外にも、理事会の諮問機関として専門委員会が設立され、法律委員会(Legal Committee)、航空運送委員会(Air Transport Committee)、共同維持委員会(Committee on Joint Support of Air Navigation Services)、財政委員会(Finance Committee)、民間航空不法妨害委員会(Committee on Unlawful Interference against Civil Aviation)等が活動しています。
事務局は、事務局長(Secretary General)の下に5つの局(Bureau)が置かれています。モントリオールの本部の他に各地域に9か所の地域事務所を設置し、地域航空計画の実施、その他地域的国際航空問題の解決及び技術援助、助言等の活動を関係国に対して行っています。
ICAOに関する一般的な情報
ICAOが発信する情報の多くが、公式ウェブサイトで公表されています。
ICAO
日本語では以下のサイトが参考になります。
・外務省:国際民間航空機関
・独立行政法人 電子航法研究所 ICAO活動情報
・外務省:国際民間航空機関(ICAO)が作成する条約
航空交通管制協会から、下記の概説書が刊行されています。
■ ICAO概論 第12版. 航空交通管制協会, 2015 【DK211-L28】
ICAOの主要な刊行物
ICAOの国際民間航空条約附属書等の刊行物の一部はelibraryで公開されています。
現在入手可能なICAOの刊行物の目録は以下のウェブサイトに掲載されています。
Catatalog of ICAO Publications
当館は2013年末にICAOが寄託図書館制度を廃止するまで同制度の指定を受けており、ここで紹介する以外にも多くの資料を所蔵しています。国立国会図書館サーチでタイトルから検索できます。
条約及び附属書(Annex)
ICAOに寄託された条約の条文と最新批准状況は、ウェブサイトで確認できます。
Treaty Collection
国際民間航空条約(Convention on International Civil Aviation)
ICAOの基礎となる国際民間航空条約の公式言語版は、ウェブサイトで常に最新情報に更新されています。
ICAO doc7300
英語版の冊子体を当館で所蔵しています。
■ Convention on International Civil Aviation. 9th ed. 2006【C3-B8】
外務省の条約データ検索から、日本が批准済みの部分の日本語版が見られます。
英日対訳版が、上記の図書『ICAO概論』【DK211-J36】に資料として収録されています。英語第9版を翻訳したもので、日本が批准していない改正部分は英文のみ掲載されています。
附属書(ICAO Annex)
ICAO理事会は、世界的な統一ルールが必要と考えられる事項について、すべての締結国に原則的に適用される「標準」(Standards)、すべての締結国に統一的に適用されることが望ましい「勧告方式」(Recommended Practices)を採択します。両者を合わせてSARPsという略称で呼ばれます。加盟国の方式が「標準」の内容と完全に一致しない場合、ICAO理事会に対し相違通告が義務付けられます。
「標準」と「勧告方式」は条約の附属書(Annex)として採択され、現在第1附属書から第19附属書まであります。随時改定版(Edition)、補遺(Supplement)、修正(Amendment)が出されます。
附属書は冊子体、CD-ROM、電子情報で刊行され有料です。補遺や修正はICAOのウェブサイトで公表されます。日本語訳が、航空振興財団から刊行されています。
当館は附属書を冊子体でバックナンバーも含めて所蔵しています(一部欠号あり)。下記のリストは、当館が所蔵する英文版(上段)と日本語訳(下段)の、最新版の版次と請求記号です(2014年1月11日現在)。
■ Annex1 - Personnel Licensing. 11th.【A161-B1115】
「航空従事者の免許」9版【C3-J69】
■ Annex2 - Rules of the Air. 10th.【Y528-B25】
「航空規則」10版【C3-J66】
■ Annex3 - Meteorological Service for International Air Navigation. 19th.【A161-B1688】
「国際航空のための気象業務」13版【C3-J55】
■ Annex4 -Aeronautical Charts. 11th.【A161-B1011】
「航空図」9版【C3-J56】
*当館は、第4附属書により海上保安庁と国土交通省航空局が作成する日本周辺の航空図を紙媒体で所蔵しています。(調べ方案内「航空図」参照)。エンルートチャートは、国土交通省のAIS Japan のウェブサイトでも見られます。
■ Annex5 - Units of Measurement to be Used in Air and Ground Operations. 5th.【A161-B1012】
「空中及び地上の作業に使用すべき測定単位」4版【C3-G22】
■ Annex6 - Operation of Aircraft. 「航空機の運航」
-- Part 1 - International Commercial Air Transport - Aeroplanes. 10th.【A161-B1689】
「国際商業航空運送―飛行機」8版【C3-J67】
-- Part 2 - International General Aviation - Aeroplanes. 9th.【A161-B1690】
「国際一般航空―飛行」6版【C3-J57】
-- Part 3 - International Operations - Helicopters. 8th.【A161-B1691】
「国際運航―ヘリコプター」4版【C3-J58】
■ Annex7 - Aircraft Nationality and Registration Marks. 6th.【A161-B1382】
「航空機国籍及び登録記号」4版【C3-G24】
■ Annex8 - Airworthiness of Aircraft. 11th.【A161-B1016】
「航空機の耐空性」8版【C3-G12】
■ Annex9 - Facilitation. 14th.【A161-B1692】
「出入国簡易化」10版【C3-J59】
■ Annex10 - Aeronautical Telecommunications. 「航空通信」
-- Vol.1 - Radio Navigation Aids. 6th.【Y528-B39】
「無線航法援助施設」5版【C3-J60】
-- Vol.2 - Communication Procedures including those with PANS status. 7th.【A161-B1693】
「PANS 状態のものを含む通信手順」4版【C3-G26】
-- Vol.3 - Communication Systems. 2nd.【Y528-B45】
「デジタルデータ通信システム及び音声通信システム」1版【C3-G36】
-- Vol.4 - Surveillance and Collision Avoidance Systems. 5th.【A161-B1694】
「監視レーダ及び衝突防止システム」1版【C3-G36】
-- Vol.5 - Aeronautical Radio Frequency Spectrum Utilization. 3rd.【A161-B1498】
「航空無線周波数スペクトラムの利用」1版【C3-G36】
■ Annex11 - Air Traffic Services. 14th.【A161-B1695】
「航空交通業務」12版【C3-J61】
■ Annex12 - Search and Rescue. 8th.【Y528-B19】
「捜索及び救難」8版【C3-J68】
■ Annex13 - Aircraft Accident and Incident Investigation. 11th.【A161-B1696】
「航空機事故及びインシデント調査」9版【C3-J64】
*事故調査関係で、各国事故調査報告の概要をまとめたAircraft Accident Digest.【Z61-D681】が刊行されていましたが、1992年までで刊行を中止しています。
■ Annex14 - Aerodromes. 「飛行場」
-- Vol.1 - Aerodrome Design and Operations. 7th.【A161-B1784】
「飛行場設計及び運用」4版【C3-H29】
-- Vol.2 - Heliports. 4th.【A161-B1491】
「ヘリポート」2版【C3-G29】
■ Annex15 - Aeronautical Information Services. 15th.【A161-B1697】
「航空情報業務」10版【C3-J63】
■ Annex16 - Environmental Protection. 「環境保護」
-- Vol.1 - Aircraft Noise. 8th.【A161-B1770】
「航空機騒音」3版【C3-G31】
-- Vol.2 - Aircraft Engine Emissions. 3rd.【A161-B1065】
「航空機エンジン排出物」2版【C3-J62】
■ Annex17 - Security. 10th.【A161-B1772】
「保安」7版【C3-H30】
■ Annex18 - The Safe Transport of Dangerous Goods by Air. 4th.【A161-B1114】
「危険物の航空安全輸送」3版【C3-J65】
**■ Annex19 - Safety management.**2nd.【A161-B1698】
航空業務方式(PANS)と地域補足手続(SUPPS)
航空業務方式(Procedure for Air Navigation Services - PANS)
「航空業務方式」は、標準・勧告方式とするにはあまりに細かすぎると考えられる規定、技術進歩でしばしば変更される内容などを規定し、理事会が承認して締結国に実施を勧告します。「航空業務方式」の一部が附属書に収録されている場合もありますが、「標準」「勧告方式」とはっきり区別できるように印刷されています。
■ PANS-ATM(RAC) (Doc 4444) Air traffic management: procedures for air navigation services 15th.2007 【A161-B610】
日本語訳は「航空業務方式. 規則編 PANS-RAC」10版【DK211-33】
■ PANS-OPS (Doc 8168) Aircraft Operations. (航空機の運航)
日本語訳はVo.1 とVol.2分離前の「航空業務方式. 運航編 PANS-OPS 」3版【DK211-33】
-- Vol.1 - Flight Procedures. (飛行方式)6th.【A161-D13】
-- Vol.2 - Construction of Visual and Instrument Flight Procedures. (目視及び計器飛行方式の策定)6th.【A161-B1655】
-- Vol.3 - Aircraft operating procedures. (航空機の操作手順)1st.【A161-D16】
■ PANS-ABC (Doc 8400) ICAO abbreviations and codes: procedures for air navigation services (ICAO略号及び記号) 9th. 2016 【A161-B1771】
■ PANS-TRG (Doc 9868) Training : procedures for air navigation services(訓練)1st. 2006 【Y528-B42】
地域補足手続(Regional Supplementary Procedures - SUPPS)
世界の各地域の特殊性に応じて各地域内で限定的に適用される事項で、地域航空会議の勧告に基づいて作成されます。内容が全世界で実施可能になると、標準・勧告方式(SARPs)ないしは航空業務方式(PANS)に格上げされます。
■ Regional supplementary procedures (Doc 7030).(地域補足手続) 3rd. 1981【Y141-ICAO-Doc 7030/3】最新版5th ed.は当館未所蔵
総会記録
ICAOの総会資料は、第1回(1947)から各回ごとにまとめてICAOの総会ウェブサイトに掲載されています。総会、総会内に設置される委員会のワーキングペーパーや決議が見られます。
当館は、総会資料を冊子体で所蔵しています。
■ Assembly: plenary meetings. (総会記録)
1950-84 【DK211-36】、1986-1998【Y528-OR.5-*】、2001+【Y528-B5ほか】
■ Assembly: Executive Committee.
1950-1970 【387.7-I6123m】、1971-1977 【DK211-46】、1986-1998【Y528-OR.8-*】、 2001+【Y528-B16ほか】
■ Assembly: Administrative Commission.
1949-74【DK211-63】、1977-1983【DK211-90】、1986-1998【Y528-OR.7-*】、2001+【Y528-B6ほか】
■ Assembly: Economic Commission.
1950-1977【DK211-65】、1980-1983 【DK211-107】、1986-1998【Y528-OR.12-*】、2001+【Y528-B3ほか】
■ Assembly: Technical Commission.
1950-1977【DK211-66】、1979-1983【DK211-92】、1986-1998【Y528-OR.11-*】、2001+【Y528-B2ほか】
■ Assembly: Legal Commission.
1983【A471-36】、1986-1998【Y528-OR.13-*】、2001+【Y528-B4ほか】
■ Assembly: resolutions in force. (総会決議集)
1968【DK211-115】、1984【DK211-113】、1986-1998【Y528-OR.14-*】、2001【Y528-B9】、2004【Y528-B36】、2007【Y528-B47】、2010+【A161-B1113ほか】
年次報告(Annual Report of the Council)
ICAOの年次活動報告書です。ICAO理事会は毎年、活動報告書をICAO総会に提出する義務があります。
■ 1971年から1983年まで. Annual report of the Council to the assembly for [年度]【DK211-77】
■ 1984年から2006年まで. Annual report of the Council : documentation for the session of the Assembly.【Z61-D680】
■ 2007年以降. Annual report of the Council. ICAOウェブサイトに掲載
基本統計
ICAO統計報告システムにより、各国は自国の航空会社や空港に関する統計を定期的にICAO事務局に報告します。ICAOはこれらを、Digest of Statistics Seriesとして刊行しています。最近の統計の多くは冊子体での刊行を中止し、年間契約有料データベース「ICAO DATA+」(当館未契約)のみで発表されます。主要統計の一部は、年次報告に収録されています。下記は当館所蔵冊子体のリストです。
■ Civil Aviation Statistics of the World : ICAO Statistical Yearbook. (航空統計年鑑。航空機統計、航空機事故統計、輸送量統計、財務統計)
1975-1981【DT691-11】、1992-1999【Z61-E800】
■ Airport(s) and route facilities. Series AF. (空港別財務統計)
1976-1983【DT691-13】、1984-1995【Z61-A203】、1996-2001【Z61-A203】
■ Airport traffic. Series AT. (空港別交通量統計)
1960/62-1983【DT691-7】、1984-2001【Z61-A115】
■ Financial data : commercial carriers. Series F. (航空会社別財務統計)
1947-1983【YQ2-265】、1984-2002【Z61-A266】
■ Fleet-personnel. Series FP. (使用航空機及び従業員統計)
1947-1983【YQ2-266】、1984-2001【Z61-A265】
■ On-flight origin and destination. Series OFOD. (発着地別輸送量統計)
1977-1983【DT691-12】、1984-2001【Z61-A110】
■ Civil Aircraft on register. Series R. (登録航空機統計。国別に、航空機の種類と型を記載)
1961/65-1983【DT691-6】、1984-2000【Z61-A116】
■ Traffic :commercial air carriers. Series T. (航空輸送量統計)
1947/54-1979/83【YQ2-268】、1980/1984-2002【Z61-A114】
■ Traffic by flight stage. Series TF. (航空路線別輸送量統計)
1947-1983【YQ2-267】、1984-2002【Z61-A202】
ICAOコード・用語集
ICAOコードは、公的機関、運航・管制系統の場面で使用されています。
■ Designators for aircraft operating agencies, aeronautical authorities and services. (Doc8585) (ICAO航空会社コード)
1993-2008【Y528-B21ほか】、2008-2013【Z76-A660】
各航空会社に3文字コードを割り当てています。ICAO電話略号も掲載されています。年に4回改定版が出ます。
■ Location Indicators.(Doc7910) (ICAO空港コード)
1985-2008【Y528-B10ほか】、2008-2013【Z78-A668】
空港、管制機関等につけられる4文字コードで、ICAOのルールに従って各国が割り当てます。年に4回刊行され、IATAの3文字空港コードも参考として収録されています。
■ Aircraft Type Designators. (Doc8643) (ICAO航空機型式コード)
1986+【Z61-D679】
現在世界各国で使用されている航空機の各型式に4文字の航空機型式略号を割り当てています。年に1回刊行されます。ICAOのウェブサイトにも掲載
■ International Civil Aviation vocabulary. (6カ国語民間航空用語集) 3rd. 2007【A161-B541】
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の用語集。略語リストも収録されています。
広報誌
下記のタイトルがICAOの刊行物ウェブサイトで公開されています。
■ ICAO Journal(1989以前はICAO Bulletin) 1984年以降ウェブサイトに掲載。1948+【Z51-F248】
■ MRTD Report 2006- 電子パスポート(IC旅券)に関する情報誌
MRTD情報のウェブサイトもあります。
■ Regional Report 各地域事務所の活動報告
■ Training Report 2011年創刊