国際刑事裁判所(International Criminal Court / ICC)
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議会官庁資料室 作成
設立及び目的
国際刑事裁判所(以下、ICC)は、1998年に国際連合全権外交使節会議において採択され、2002年に発効した「国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ規程」(以下「ローマ規程」)に基づき、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪(集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪及び侵略犯罪)を犯した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰するための常設の国際刑事裁判機関です。
ICCは、各国の国内刑事司法制度を補完するものであり、関係国に被疑者の捜査・訴追を真に行う能力や意思がない場合にのみ、ICCの管轄権が認められます(=補完性の原則)。
所在地:ハーグ(オランダ)
締約国:123か国(2017年10月28日現在)
常用語:英語及びフランス語
公用語:アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語の6か国語
捜査及び訴追の状況、被告人及び事件等は、ICCの公式ホームページで検索可能ですので、ご参照ください。
https://www.icc-cpi.int/
また、外務省のホームページにおいて、我が国とICCに関連する情報が掲載されていますので、ご参考にしてください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/icc/index.html
組織構成
ICCは、①裁判所長会議(The Presidency)、②上訴裁判部門(An Appeals Division)、第一審裁判部門(A Trial Division)及び予審裁判部門(A Pre-Trial Division)、③検察局(The Office of the Prosecutor)並びに④書記局(The Registry)の4つの機関により構成されています。
裁判官(The Judges)
裁判所長会議及び裁判部(Chamber)を構成する裁判官は、締約国会議の選挙によって選出される18名ですが、必要な場合には、裁判所長会議が増員等を締約国会議に提案できます。裁判官の任期は9年であり、3年ごとに3分の1ずつ選出されます。
裁判所長会議
裁判官の絶対多数で選出された裁判所長、第1次長及び第2次長の3名で構成されます。任期は3年であり、1回に限り再任可能です。裁判所長会議の任務は、裁判所の適正な運営ですが、独立性を求められる検察局にかかるものは除かれます。また、検察局との共通の関心事項については、検察官と調整し、その同意を求めることとなっています。
上訴裁判部門、第一審裁判部門及び予審裁判部門
各部門には、会議体の裁判部が設けられており、各裁判部が実際の裁判を行うことになっています。
上訴裁判部門は、裁判長及び4人の裁判官によって構成され、上訴裁判部は、上訴裁判部門の裁判官全員によって構成されます。
第一審裁判部門は、6人以上の裁判官によって構成され、第一裁判部の任務は、第一裁判部門の裁判官3人によって行われます。
予審裁判部門は、6人以上の裁判官によって構成され、予審裁判部の任務は、予審裁判部門の裁判官3人または1人によって行われます。
検察局
検察局は、検察官、次席検察官及び職員で構成されます。
検察官は、締約国会議の選挙によって選出され、検察局の管理及び運営について権限を有します。次席検察官は、検察官が担当職務ごとに提示した3名の候補者リストから締約国会議の選挙により選出されます。検察官及び次席検察官の任期は9年であり、再選不可能です。検察局の職員は、検察官が任命します。
書記局
書記局は、裁判所書記,次席書記及び職員で構成され、裁判所の運営及び業務のうち司法の分野以外の分野について責任を有します。
書記局の長の裁判所書記は、締約国会議の勧告を考慮して、秘密投票による絶対多数の議決で裁判官により選出されます。任期は5年であり、1回に限り再任可能です。書記局の職員は、裁判所書記が任命します。
裁判記録
裁判記録等については、ICCの裁判記録のページをご覧ください。当館では所蔵しておりません。
https://www.icc-cpi.int/pages/crm.aspx
当館所蔵資料
当館所蔵資料は以下の公式記録のみです。
United Nations Diplomatic Conference of Plenipotentiaries on the Establishment of an International Criminal Court, Rome, 15 June-17 July 1998, official records .
【Y518-B134】 国際刑事裁判所設立に関する国際連合全権外交会議,ローマ,1998年6月15日〜7月17日,公式記録
国際刑事裁判所の設立に関する国連全権外交会議(以下「ローマ会議」)は、1998年6月15日から7月17日までの間、ローマの国連食糧農業機関(WFO)の本部ビルで開催されました。規程の採択を含め、採択にいたる経緯とその後の署名、批准・加入手続等のローマ会議の最終文書が記された公式記録です。
Assembly of States Parties to the Rome Statute of the International Criminal Court, first session, New York, 3-10 September 2002, official records.
【Y541-B2】 国際刑事裁判所ローマ条約締約国会議,ニューヨーク,2002年9月3~10日,公式記録
前記のローマ会議において発効の条件である60カ国が加盟手続を行い、ローマ規程が2002年7月1日(60日目の日の属する翌月の初日)に発効したことを受けての第1回締約国会議の公式記録です。
Assembly of States Parties to the Rome Statute of the International Criminal Court, first session (first and second resumptions), New York, 3-7 Feburuary and 21-23 April 2003, official records.
【Y541-B1】 国際刑事裁判所ローマ条約締約国会議,ニューヨーク,2003年2月3日〜7日と4月21~23日,公式記録
第1回会合から引き続いての議題の再開を行い、締約国の代表者の資格の確認、裁判官及び検察官の選挙及びローマ規程第36条第9項(b)に定められた裁判官の任期の選定等を行った際の公式記録です。
議会官庁資料室開架の参考資料
『国際刑事裁判所=International Criminal Court : 最も重大な国際犯罪を裁く』第2版 村瀬信也・洪恵子共編 東信堂 2014.9 【A195-L4】
『国際刑事裁判所の研究』 森下忠著 成文堂 2009 【A195-J3】
『国際刑事裁判所:法と実務』 東澤靖著 明石書店 2007 【A195-H10】
『国際刑事裁判序説』 訂正版 小長谷和高著 尚学社 2001 【A195-G5】