IMF(国際通貨基金/International Monetary Fund)
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議会官庁資料室 作成
設立及び目的
1944年設立(日本は1952年加盟) 本部:ワシントンD.C. (アメリカ)
1944年7月、米国ニュー・ハンプシャー州ブレトン・ウッズにおいて開催された連合国国際通貨金融会議(ブレトン・ウッズ会議)において、第2次世界大戦後の新しい国際通貨体制の枠組みとしてIMF協定が調印(発効は1945年12月)されました。国際通貨基金(IMF)は、同協定に基づき設立され、1947年3月に業務を開始しました。IMFは、通貨に関する国際協力の促進、国際貿易の拡大とバランスの取れた成長の促進、為替の安定等を主な目的としています。
その主な業務は、①加盟国及び世界全体の経済情勢の調査・監視及び政策助言(サーベイランス)、②国際収支上の問題が生じた加盟国に対する融資(金融支援)、③経済・金融分野の人材が不足している加盟国に対する技術支援と研修(能力開発)です。
IMFのホームページ(日本語。一部コンテンツのみ。)
IMF協定(Articles of Agreement of the International Monetary Fund)
組織構成
総務会(Board of Governors)、理事会(Executive Board)、及びIMFスタッフの長である専務理事(Managing Director)等で構成されています。また、総務会に助言・報告を行う委員会として国際通貨金融委員会及び世銀・IMF合同開発委員会が設けられています。。
Governance Structure
総務会は、IMFの最高意思決定機関であり、各加盟国が任命する総務1名及び総務代理1名(日本の場合は、総務は財務大臣、総務代理は日本銀行総裁)により構成されています。総務会での議決は1国1票ではなく、各加盟国には出資割当額(クォータ、後述)に比例した票数が付与されます。理事会は、24人の理事(各加盟国から選挙により選出)から構成され、総務会から広範な権限の委譲を受け、IMFの日常業務を執行・監督しています。専務理事(理事会により選出)は、理事会の議長であるとともにIMFスタッフの長でもあり、理事会の指揮のもとにIMFの通常業務を執行しています。
出資割当額(クォータ)
IMFの加盟国は、それぞれ経済規模や特質等に応じた出資割当額(クォータ)を割り当てられ、それに応じた出資を行います。クォータは、IMFの会計単位であるSDR(後述)建てで表示されます。クォータはIMF融資の原資となるほか、クォータの配分に応じて、加盟国の議決権のシェアやIMF融資の利用限度額が定められます。
SDR(Special Drawing Rights:特別引出権)
SDR(Special Drawing Rights:特別引出権)とは、加盟国の準備資産を補完することを目的として1969年に創出された国際準備資産で、クォータに比例してIMFからSDR制度参加国に対して配分されます。SDR制度参加国(現時点ではIMFの全加盟国)は、外貨準備不足に陥った場合、自国が保有するSDRと引き換えに、他の参加国から自由利用可能通貨(現在は、米ドル・ユーロ・円・ポンド・人民元の5通貨)を取得できます。SDRの価値は、当該5通貨で構成されたバスケットを米ドル換算した合計値として、日々決定されています。
IMFの主要情報源
IMFは、世界経済情勢、金融市場、財政の動向などを分析したレポートを発表しています。また、加盟国の経済や金融等に関する様々な統計を作成・公開しています。
HP上の主要コンテンツ
IMFが発表する刊行物や統計は、HP上で公開されており、多くが無償で利用できます。
IMFが発表した各種の年報、レポート、公式記録、広報誌、モノグラフ等のうち、最近のものは Publications で紹介されています。IMF elibraryは、1946年以降に出版された22,000点以上の資料が収録されており、地域別、刊行年別、主題別といった分類で検索することができます。資料は、PDF形式(一部EPUB形式もあり)で提供され、ユーザー登録なしで閲覧・ダウンロードできます。
IMF Data には、IMFが作成している統計がリストアップされています。これら以外の統計も含めたIMFの公式統計は同名データベースのIMF Dataに収録されており、「Data Tables」「Query」等のタブからExcelやPDF形式でデータを取得することができます(一括ダウンロード機能を利用するためにはユーザー登録が必要)。知りたい統計項目がどの統計(データポータル)に所収されているか分からない場合は、SELECTED ONLINE IMF DATA SOURCESで、統計項目と所収統計を調べられます。
News では、IMFのプレスリリース、公開情報等が公表されています。IMFBlogは、IMFスタッフや高官が、経済及び政策の緊急課題、直近の出版物等について解説しているもので、IMFの公式見解として位置づけられてはいないものの、即時性が高い情報源です。
以下では、刊行物と統計それぞれについて重要なものを紹介した後、その他の資料についてまとめます。
主要刊行物
World Economic Outlook(WEO:世界経済見通し)
所蔵:(DC21-148)1980-1985/(Z61-B126)1986+
公表頻度:半年刊(通常は4月及び10月。1月及び7月に改定見通しが公表される。)
世界経済情勢及びその中・短期的な見通しに関する分析レポート。全文は英語版のみ公表されますが、要旨及び総括については日本語訳もあります(所蔵は英語版のみ)。同レポートで用いられている統計は、World Economic Outlook Databasesから取得できます。
Global Financial Stability Report (GFSR:国際金融安定性報告書)
所蔵:(Z61-J813)2009+
公表頻度:半年刊
世界の資本市場及び国際金融の安定性に関するレポート。全文は英語版のみ公表されますが、要旨及び総括については日本語訳もあります(所蔵は英語版のみ)。同レポートで用いられている統計は、各レポートの公表ぺージからExcel形式で取得できます。
Ficcal Moitor(財政モニター)
所蔵:(Z76-A997)2019+
公表頻度:半年刊
加盟国の財政の動向に関するレポート。全文は英語版のみ公表されますが、要旨及び総括については日本語訳もあります(所蔵は英語版のみ)。同レポートで用いられている統計は、各レポートの公表ページからExcel形式で取得できます。
External Sector Reports(対外セクター報告書)
所蔵:(Z61-K81)2018+
公表頻度:年刊
主要29か国とユーロ圏の対外収支を分析・評価したレポート。英語版のみ公表されま界経済情勢及びその中・短期的な見通しに関する分析レポート。全文は英語版のみ公表されます。
Regional Economic Outlook (地域経済見通し)
公表頻度:不定期
特定地域の経済情勢とその見通しに関する分析レポート。各号につき1つの地域をテーマとしています。英語版のみ公表されます。
Country Reports
4条協議レポートを含む、各国のカントリーレポート。
Article IV Staff Reports
「4条協議」のスタッフレポート。IMFは、IMF協定第4条に基づき、定期的(通常は毎年)に加盟国の経済状況の調査・監視及び政策助言を行っています(サーベイランス)。サーベイランスでは、スタッフが対象国を調査した後、IMF理事会に報告書を提出し、理事会は報告書をもとにした見解を加盟国当局に報告します。このレポートは、スタッフがIMF理事会での協議向けに作成する報告書です。
主要統計
International Financial Statistics (IFS)
所蔵:(DT781-6)1979-1984/(Z61-A112)1985-2018(紙媒体の刊行終了)
公表期間:1948年~現在(※国により異なります。)
公表頻度:月次
各国の経済・金融に関する統計。外国為替相場、国際収支、国民経済計算、政府歳入・歳出等のデータを収録。
Balance of Payments Statistics (BOPS)
所蔵:(Z61-F167)1981-2018(紙媒体の刊行終了)
※1980年以前は、Balance of Payments Yearbook(332.45-I61b)1946/47-1950/54、Balance of Payments Statistics(Z51-L297)1954-1991として所蔵。公表頻度:半年刊
公表期間:1945年~現在(※国により異なります。)
公表頻度:四半期
各国の国際収支及び対外資産負債残高に関する統計。
Government Finance Statistics (GFS)
所蔵:(DT771-7)19789-1984/(Z61-B18)1985-2018(紙媒体の刊行終了)
公表期間:1950年~現在(※国により異なります。)
公表頻度:年次
各国の財政統計。各国の一般政府(中央政府、地方政府、社会保障基金)について、国民経済計算と同様に、フローとストックのデータが収録されています。歳入・歳出の主要項目を各国で比較することもできます(例:所得課税、消費課税等の税収、防衛、保健、教育等の歳出)。
Direction of Trade Statistics (DOTS)
所蔵:(DT731-11)1969/75-1984/(Z61-B432)1985-2018(紙媒体の刊行終了)
公表期間:1960年~現在(※国により異なります。)
公表頻度:四半期
各国間の輸出入統計。貿易額のみで、品目別金額は収録されていません。
World Economic Outlook(WEO) Databases
公表期間:1980年~現在まで(確定値)、及び5年後まで(予測値)。
公表頻度:半期
世界経済見通し(Z61-B126)の統計付録からマクロ経済データ(GDP、貿易額、インフレ率、財政収支、経常収支、人口、失業率等)を収録したものです。
Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves (COFER)
公表期間:1995年~現在
公表頻度:四半期
世界の外貨準備高の通貨構成統計。各国別ではなく、世界全体、主要国、新興国の3カテゴリー別です。
その他資料
議事録等
Summary Proceedings of the Annual Meeting of the Board of Governors
所蔵:(DE173-8)1951-1983/(Y525-OR.2)1984-1999/(Z61-H33)2000-2007
重要な決議、決定を収録。
Selected Decisions and selected documents of the International Monetary Fund
所蔵:(Y525-OR.3)1992-2000/(Z61-H363)2001+
重要な決議、決定を収録。
最近開催された総務会等の情報は、Previous Annual and Spring Meetings of IMF and World Bank Groupで閲覧可能です。なお、財務省ウェブサイト内の国際通貨制度等~国際通貨基金(IMF)等~では、コミュニケや日本国ステートメント等が公開されています。また、財務省の広報誌「ファイナンス」(Z3-7)では、会議開催から一定期間(通常1か月~3か月程度)後に、当該会議の概要を紹介する記事が掲載されます。
年報、レポート
Annual Report of the Executive Board
所蔵:(DE173-7)1951-1984/(Z61-D650)1985-2017
IMFの活動を記した年報。日本語版も作成されています。
Annual Report on Exchange Arrangements and Exchange Restrictions(AREAER)
所蔵:(DE148-1)1951-1983/(Z61-B235)1985-2013
加盟国の為替取決や制限措置の状況についての年報。紙媒体の刊行物のほか、1999年以降の統計数値は、データべースとして整備されており、WordまたはExcel形式で取得できます。
Financial Sector Assessment Program (FSAP)
1999年から開始された、各加盟国の金融セクター評価プログラム。原則、5年毎に実施されることとなっています(実際は変動あり)。
Technical Assistance Country Report
各加盟国の能力開発レポート。主に、支援要請があった国に対して準備される支援プログラムの内容などが掲載されています。
モノグラフ
IMFでは、最新の研究成果の共有や議論の深化のために、特定のテーマに関する報告書や論文を「○○ papers」、「××Notes」等のシリーズで発表しています。現在刊行されている主な資料は、以下のものです。
Working papers
所蔵:(Y525-WP/)[国立国会図書館サーチで検索不可] 1989-2004/(Y525-B5)2004-2008/(Z61-J540)2008-2009
IMFスタッフの研究成果を広く公開する目的のシリーズ。1年に多数(300タイトル近く)発表され、幅広いテーマの理論や分析を扱っています。
Policy Papers
IMFの政策決定の参考とするためにIMFスタッフが作成するシリーズ。特定分野や地域を分析したもののほか、IMFの収支や融資の状況をまとめたものや、G20向けの参考資料として作成されるものもあります。
Departmental Papers
IMFの機能・特別サービス局が作成している、特定の経済トピックや地域等に焦点を当てたシリーズ。
Staff Discussion Notes (SDNs**)**
IMFスタッフによる最新の政策関連の分析・研究を紹介するシリーズ。
The IMF Notes series
重要課題について政策立案者に対する実践的な助言と的を絞った分析を提供するシリーズ。How to Notes、FinTech Notes等のシリーズが刊行されています。
その他定期刊行物
Finance & Development
国際金融、経済及び開発の最新の動向と研究に関する最先端の分析と知見を紹介しています。年4回刊行されるほか、ウェブ版でオンラインのみのコンテンツが公開されます。
IMF Economic Review
所蔵:(Z51-G38)2010+
金融・経済に関する学術論文などを収録したジャーナル。年4回刊行。Palgrave Macmillan社とIMFが共同で出版している資料であるため、**IMF eLibrary**では公開されていません。