日本の特許を特許分類から調べる

日本の特許を特許分類から調べる方法を紹介します。
特許分類とは、特許出願された発明の内容や技術分野を明確に区分し、審査や調査を容易にするための、特許資料に関する独自の分類のことです。
【 】内は当館請求記号です。請求記号が記載されていないものは、版によって請求記号が異なります。国立国会図書館サーチでタイトルによる検索を行ってください。

1. 日本の特許に付与される特許分類

日本の特許には国際特許分類(IPC)、FI(File Index)、Fターム(File Forming Term)の3種類の特許分類が付与されています。

1.1. 国際特許分類(IPC)

国際特許分類(International Patent Classification:IPC)は、特許文献(特許内容を掲載した文献。公開特許公報などが該当します。)の国際的な利用の円滑化を目的に作成された世界共通の特許分類です。
特許文献の「Int.Cl.」の項に記載されています。2024年6月現在、IPC第8版(2006年1月発効)が最新の分類となっています。第7版までは5年に1度の改正でしたが、第8版からは技術の進展に柔軟に対応するため、適宜改正が行われています。
特許庁ホームページの「国際特許分類(IPC)についてLeave the NDL website. 」では、IPC第8版の概要やIPC分類表および更新情報などを公開しています。

1.2. FI(File Index)

FI(File Index)は、日本の特許庁が採用する独自の特許分類であり、明治期以降の全ての日本の特許に付与されています。IPCをベースとしており、IPCの末尾に、必要に応じて記号を追加することで、IPCよりさらに細かい分類を可能にしています。原則としてIPCの最新版に準拠していますが、一部、旧版のIPCに準拠したものがあります。
また、技術の進展に対応するべく、年に1回から2回、必要な分野のFIに改正が行われています。改正が行われるたびに、過去の日本の特許に付与されたFIも遡及的に再分類がなされます。
特許庁ホームページの「FI改正情報Leave the NDL website. 」では、最新のFI分類表および追加、廃止、更新情報などを公開しています。

IPCに追加される記号

FIでは、ひとつのIPCに対して、複数の記号が追加される場合もあります。

  • 展開記号:IPCの最小単位であるサブグループをさらに細かく展開するもので、3桁の数字です。
  • 分冊識別記号:IPCまたは展開記号をさらに細かく展開するもので、アルファベット1文字(IとOを除く。)です。
  • ファセット分類記号:IPCの所定の範囲をIPCとは異なる観点から展開するもので、アルファベット3文字(2文字目と3文字目については、IとOを除く。)です。

記号例

  • IPC ⇒ G03C7/20
  • IPC+展開記号 ⇒ H01L21/28 301
  • IPC+分冊識別記号 ⇒ B32B27/18 E
  • IPC+展開記号分冊識別記号 ⇒ C04B35/58 104 B
  • IPC+ファセット分類記号 ⇒ B65D1/34 BSD
    ※ファセット分類記号「BSD」は、「段ボール」を指します(メイングループ/サブグループの適用範囲:1/00-85/84)。

分類体系の構成例:A01C11/02 301 Aの場合

IPC、FIの分類体系は以下のようになっています。セクションを、クラス・サブクラスなどへ展開することで、より詳細に特許技術を特定することができます。

  • FI、IPC共通
    「A」、「01」、「C」、「11」、/に続く「02」が、それぞれセクションからサブグループまでに対応します。
Aセクション生活必需品
01クラス農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業
Cサブクラス植付け;播種;施肥
11メイングループ移植機械
02サブグループ苗用のもの
  • FI固有
    A01C11/02に続く「301」、「A」は、それぞれFIに特有に付与される展開記号、分冊識別記号に対応します。
301展開記号畑作用のもの
A分冊識別記号ハンディタイプ

1.3. Fターム(File Forming Term)

Fターム(File Forming Term)はFIと同じく、日本の特許庁が採用する独自の特許分類です。
FIで規定される技術分野は、「テーマ」と呼ばれる技術範囲(2024年6月時点で約3,400件)に区分されています※1。うち約2,500件について、細分類を行った特許分類であるFタームが作成されています。
各テーマには英数字5桁のテーマコードが付与されており、これに「観点」(目的、用途、材料、制御、制御量といった、複数のFタームをとりまとめるための概念)と呼ばれるアルファベット2文字と数字2桁を追加した、合計9桁※2の英数字が、Fタームとなります。

※1 テーマなどに関する情報は、特許庁ホームページの「テーマコード一覧情報(テーマコード表)Leave the NDL website. 」および「テーマ改廃情報Leave the NDL website. 」で公開されています。
※2 一部のテーマについては、Fコードの後に「付加コード」と呼ばれる英数字1桁がさらに追加されます。

Fタームの構成例:2E110 AA02

2E110テーマコード「壁の仕上げ」を指します。
※このテーマコードがカバーするFIの範囲は「E04F13/00-13/30」です。
AA02観点「防火,耐火,耐熱,断熱,難燃又は不燃」を指します。

1.4. 特許分類を検索できるツール

国際特許分類(IPC)、FI(File Index)、Fターム(File Forming Term)を検索できるツールには以下のようなものがあります。

  • 特許・実用新案分類照会(PMGS)Leave the NDL website.
    独立行政法人 工業所有権情報・研修館が提供するデータベース、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)Leave the NDL website. 内のコンテンツです。「コード照会」および「キーワード検索」のタブがあり、「コード照会」ではFI/ファセット、Fターム、IPC(最新版)を入力することで、各分類の内容を照会できます。また、分類表から直接探すこともできます。「キーワード検索」では、キーワードからFI/ファセット、Fターム、IPC(最新版)を検索できます。
  • 分類対照ツールLeave the NDL website. (特許庁)
    キーワード検索から、IPC、FI、共通特許分類(Cooperative Patent Classification:CPC)を検索できます。また、IPC、FI、ヨーロッパ特許分類(European Classification:ECLA)、CPCの対応関係を調べることができます。

2. 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を特許分類から検索する

独立行政法人 工業所有権情報・研修館が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)Leave the NDL website. を特許分類から検索する方法を紹介します。

検索例:自転車用のタイヤに関する日本の特許

① J-PlatPatの特許・実用新案分類照会(PMGS)Leave the NDL website. の「キーワード検索」タブを選択します。
「検索対象」は「FI/ファセット」に、「表示画面」は「FI」にチェックを入れます。
キーワード欄に「自転車*タイヤ」(「*」でAND検索となります)と入力して検索します。

② 検索結果に、FI/ファセットが「B60C3/02@A」、説明が「自転車用丸タイヤ」と表示されます。ここから、自転車用丸タイヤに対応するFIがB60C3/02 A(IPC+分冊識別記号の形式)であるとわかります。

③ 選択したFI/ファセットの内容がツリー表示されるため、再度FI/ファセットのリンク(B60C3/02@A)を選択します。

④ 検索ボックスにFI/ファセット(B60C3/02@A)が自動入力されたことを確認し、「特実検索にセット」ボタンを押します。

⑤ 「特許・実用新案検索」画面が表示されます。④で選択したFI/ファセット(B60C3/02@A)は、「検索キーワード」に自動的にセットされています※1
「選択入力」タブの「文献種別」の「詳細設定」を開き、「国内文献」の「特許(特開・特表(A)、再公表(A1)、特公・特許(B))」および「特許発明明細書(C)」をチェックし、「検索」ボタンを押します。
2024年6月現在35件の特許文献がヒットします。

※1 「特許・実用新案検索Leave the NDL website. 」画面から直接FIを入力する場合、「検索キーワード」の「検索項目」は「FI」とします。また、展開記号の前に「,」(カンマ)、分冊識別記号の前に「@」を追記する必要があります。
入力方法の詳細は、「特許・実用新案検索のヘルプ一覧Leave the NDL website. 」にまとめられています。

3. 国立国会図書館所蔵の冊子体特許分類索引

国立国会図書館が所蔵する冊子体の特許分類索引には、以下のようなものがあります。なお、IPC、FI、Fターム以前には、日本特許分類(JPC)と呼ばれる日本独自の分類が採用されており、一部の冊子体の特許分類索引は、この日本特許分類に準じたものとなっています。
※ 日本特許分類(JPC)
日本特許分類(Japanese Patent Classification:JPC)は、昭和54(1979)年まで特許庁が採用していた独自の特許分類です。産業・用途別に技術内容を大きく1類から136類までに分類し、さらにアルファベットおよび数字を追加することで、分類を細かく展開しています。

  • 『特許分類別総目録』(技法堂 【507.23-To414t3】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定)
    対象範囲:明治18年8月-昭和36年12月
    特許分類:日本特許分類
    掲載事項:特許番号または公告番号
    ※掲載しているのは特許番号や公告番号のみであり、発明の名称や発明者・権利者などは掲載していません。詳細な特許の情報を調べるためには、J-PlatPatを特許番号などから検索し、特許公報などを確認する必要があります。

  • 『綜合索引年鑑. 特許篇』(特許資料センター 【507.23-So626】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定)
    対象範囲:1953年度-1956年度、1958年度-1963年度、1967年度-1970年度
    特許分類:日本特許分類
    掲載事項:公告番号、発明の名称、出願人

  • 『日本特許索引』(日本科学技術情報センター 【507.23-N685n2】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定)
    対象範囲:昭和39年、昭和42年-昭和45年
    特許分類:日本特許分類
    掲載事項:公告番号

  • 『公開特許実用新案索引』(日本特許情報センター 1972 【M351-34】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定)
    対象範囲:昭和46年-昭和47年(昭和47年は巻号が「上巻」となっています)
    特許分類:日本特許分類
    掲載事項:公開番号

  • 『公開特許索引 : 出願人索引・分類索引. 昭和47年 下巻』(日本特許情報センター 1973 【M351-91】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定)

  • 『公開特許分類索引』(日本特許情報センター、日本特許情報機構)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定(昭和48年版、昭和50年版-昭和63年版)、館内限定(平成元年版-平成5年版)))
    対象範囲:昭和48年、昭和50年-平成7年
    特許分類:日本特許分類または国際特許分類
    掲載事項:公開番号、発明の名称、出願人など

  • 『公告特許分類索引』(日本特許情報センター、日本特許情報機構)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定(昭和48年版、昭和51年版-昭和63年版)、館内限定(平成元年版-平成5年版))
    対象範囲:昭和48年、昭和51年-平成7年
    特許分類:日本特許分類または国際特許分類
    掲載事項:公告番号、発明の名称、出願人など

  • 『公告特許出願人索引分類索引』(日本特許情報センター)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定(昭和50年版)、館内限定(昭和50年版、昭和51年版、昭和53年版※各1月~6月))
    対象範囲:昭和50年-昭和53年
    特許分類:日本特許分類
    掲載事項:公告番号、発明の名称、出願人など

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