李小牧, 李嘉珊 主编『中国国际文化贸易发展报告 = Report on the development of China's international cultural trade. 2022 （中国国際文化貿易発展報告.2022）』社会科学文献出版社, 2022.7, 3, 2, 3, 367 p【DE315-C192】

キーワード

中国、文化貿易、デジタルクリエイティブ産業、文化産業

著者情報

主編者の李小牧は、北京第二外国語学院の教授であり副校長。中国サービス貿易研究院院長を兼任している。主な研究分野は世界経済、国際サービス貿易。李嘉珊は北京第二外国語学院教授であり、中国サービス貿易研究院常務副院長。主な研究分野は国際文化貿易、国際サービス貿易。

出版の背景・目的[1]

中国の文化貿易[2]の状況をまとめた年度報告書。マクロ分析とミクロ分析、定性分析と定量分析を結合した研究手法により、中国の文化貿易が直面している問題を具体的に整理、分析している。その結果をもとに、この分野に関する研究の基礎的情報を提供し、2035年までに文化強国を建設するという国家目標の実現に貢献することが本書の出版の目的である。

本書のポイント

近年中国は、文化貿易の拡大、文化的製品・サービスの国際競争力の強化に努めている。一例として、2022年7月に商務部など中国政府の27部門が連名で発表した「対外貿易の高品質な発展の推進に関する意見」[3]では、第14次五カ年計画[4]に盛り込まれた対外文化貿易に関する目標[5]を実現するため、「文化領域における改革開放の深化」など7分野、28項目の具体的措置が示されている。本書は、舞台芸術、ラジオ・テレビ放送など業界別の対外文化貿易の傾向と特徴を整理し、個別テーマの分析と検討を行っており、今日の中国における文化貿易の実態と方向性を知る上で参考となる。

目次

Ⅰ　全体報告
B.1　中国対外文化貿易発展報告（2022年）
Ⅱ　業界報告
B.2　中国舞台芸術対外文化貿易発展報告（2022年）
B.3　中国ラジオ・テレビ番組対外文化貿易発展報告（2022年）
B.4　中国映画対外文化貿易発展報告（2022年）
B.5　中国図書著作権対外文化貿易発展報告（2022年）
B.6　中国アニメ産業対外文化貿易発展報告（2022年）
B.7　中国ゲーム文化対外文化貿易発展報告（2022年）
B.8　中国文化観光サービス対外文化貿易発展報告（2022年）
B.9　中国芸術品対外文化貿易発展報告（2022年）
B.10　中国クリエイティブ・デザイン対外文化貿易発展報告（2022年）
Ⅲ　テーマ編
B.11　デジタルクリエイティブ産業の定義及び測定に関する研究
B.12　「オンラインによる伝達＋オフラインでの体験」が文化消費の新たな発展を促進する
B.13　輸入がけん引する中国におけるウィンタースポーツの国際化に関する研究
B.14　新型コロナウイルス感染症の予防・抑制体制の常態化時期における長江デルタ地域の対外文化貿易の発展に係る使命及び道筋の選択
B.15　我が国の文化産業人材の育成と現実的要求 : ミスマッチ、ジレンマ及び出口
B.16　グローバル化の視点における中国のゲーム輸出に関する策略の研究
B.17　国際モータースポーツ : 市場、モデル及びトレンド
Ⅳ　実践・イノベーション編
B.18　我が国の文化貿易分野におけるネガティブリストアプローチに関する実践研究
B.19　新時代における中国の学術図書の国際出版の発展モデルに関する研究
B.20　中国（河南）自由貿易試験区開封エリアにおける文化産業開放先行区の構築に係る経験の研究

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

岡村志嘉子「【中国】外商投資法の制定」『外国の立法』No.279-2, 2019.5.
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/11281072
岡村志嘉子「中国の映画産業促進法」『外国の立法』No.273, 2017. 9.
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/10953218
岡村 志嘉子「【中国】外資規制緩和のための 4 法一括改正」『外国の立法』No.269-2, 2016.11.
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/10212560

（アジア情報課　濱川　今日子）

注

[1] 本書序言による。

[2] 文化貿易には、文化的製品の貿易、文化的サービスの貿易の2種類が含まれる。（葛继宏, 叶森「我国对外文化贸易发展研究：现状、问题与对策」『浙江社会科学』2022年第12期, p.93.）

[3] 「商务部等27部门关于推进对外文化贸易高质量发展的意见」
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-07/30/content_5703621.htm

[4] 正式名称は「中華人民共和国国民経済・社会発展の第 14 次五カ年計画及び 2035 年までの長期目標綱要」。2021年から2025年まで及び2035年までの国家目標を定めている。

[5] 第14次五カ年計画第36章第1節で、「対外文化貿易を積極的に発展させ、海外文化市場を開拓する」との目標を掲げている。