<朝鮮語>『韓国政党政治史 : 危機と統合の政治 第4次増補版 』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2023年3月公開)

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アジア情報室 作成

심지연 지음(シム・ジヨン 著)『한국정당정치사 : 위기와 통합의 정치 제4차 증보판 (한국·한국인을 아는 책 ; 15)(韓国政党政治史 : 危機と統合の政治 第4次増補版 (韓国・韓国人を知る本;15))』ソウル : 백산서당, 2022.6【A56-K4-K46

キーワード

韓国、政党政治

著者情報

著者のシム・ジヨンは、東亜日報記者を経て、1982年に慶南大学校政治外交学科教授に就任、その後は韓国政党学会会長(2001~2002)、韓国政治学会会長(2003~2004)などを歴任した。また、2010~2012年にかけて韓国国会立法調査処長(第3代)を務めた[1]

出版の背景・目的

韓国では、1948年の政府樹立以降、多くの政党が出現・消滅し、また絶えず統合・分裂を繰り返しており、著者は「韓国政党史に対する研究は、与党と野党の名前を時代的に列挙することから出発すると言っても過言ではない」とする。本書は、このような背景を踏まえ、韓国政治の流れを体系的に説明できる一つの理論(危機と統合[2])を提示することを目的として出版された。

本書は2004年に初版が発行され、その後、大統領が交代するたびに増補版を発行してきた。今回発行された第4次増補版は、第19代ムン・ジェイン政権下における政党構図の分析を追加して出版されたものである。

本書のポイント

本書は、著者の提示する「危機と統合」の仮説に基づき、韓国の政党政治を分析したものである。第1章で政党政治の起源や政党構図[3]の再編成の類型等を解説し、第2章以降で、初代イ・スンマン大統領以後の各政権下における政党の統合・分裂の過程や、政治制度の変化が政党政治に与えた影響等を分析しており、韓国政府樹立から第20代ユン・ソンニョル大統領当選までの時期について、韓国政党政治の動向を詳細に辿ることができる。

目次

第4次増補版への序文
第3次増補版への序文
第2次増補版への序文
増補版への序文
序文
第1章 危機と統合の政治―韓国の政党構図再編成の研究
第2章 イ・スンマン政府下の政党構図分析
第3章 チャン・ミョン政府下の政党構図分析
第4章 パク・チョンヒ政府下の政党構図分析1―1961. 5~1972. 10
第5章 パク・チョンヒ政府下の政党構図分析2―1972. 10~1979. 10
第6章 チェ・ギュハ政府下の政党構図分析
第7章 チョン・ドゥファン政府下の政党構図分析
第8章 ノ・テウ政府下の政党構図分析
第9章 キム・ヨンサム政府下の政党構図分析
第10章 キム・デジュン政府下の政党構図分析
第11章 ノ・ムヒョン政府下の政党構図分析
第12章 イ・ミョンバク政府下の政党構図分析
第13章 パク・クネ政府下の政党構図分析
第14章 ムン・ジェイン政府下の政党構図分析
後記
索引

(アジア情報課 廣田美和)


[1] 「존경받는 정당정치 석학 경남대 심지연 교수 퇴임」KUnews. 경남대인터넷신문. 2014.4.16.
https://inews.kyungnam.ac.kr/news/articleView.html?idxno=5591外部サイト
국회입법조사처 [編]『국회입법조사처 10년 : 국회의 종합정책 분석기관 = National assembly research service 10th year』국회입법조사처, 2018

[2] 著者は仮説について以下のように説明している(日本語訳は筆者による)。
「この仮説は、政党が分裂すれば危機に陥るが、統合すれば危機を克服できるという至極単純で、経験的な事実から出発する。政党が絶えず繰り返してきた離合集散現象の根底には、権力から排除されることへの危機意識があり、このような危機意識のために他の政党との合併を模索し推進する。そうして合併が成功裏に進んだ場合は危機から脱し選挙で勝利することができるが、合併に成功しなかったり分裂したりした場合は敗北に繋がり、政党の存続自体も危うくなる状況に直面することになる。」(本書p.11)

[3] 政党構図とは、比較的に政治が安定した国における政党の存在形態を説明するために用いられる政党システムという既存の用語に代えて、政党の存立自体に権力者の意思が介入し、政党が常に流動的・可変的な状態にあるという韓国特有の状況を説明するために、本書で著者が用いた概念である。