昭和18年度予算編成ニ関スル件
閣議決定年
昭和17年7月17日 閣議決定
収載資料:昭和財政史 第3巻 大蔵省昭和財政史編集室 東洋経済新報社 1975.9 pp.637-639 当館請求記号:342.1-O635s
今次ノ征戦ニ完勝シ大東亜ノ本格的建設ニ備ヘンガ為ニハ軍国要請ノ方向ヲ察シテ政府施策ノ重点ヲ右ノ目標ニ集中シ財政経済ノ合理的運営ニ依リ戦時国民生活ヲ確保シツツ国家総力ノ有効ナル動員活用ヲ図ルノ要アリ依テ昭和十八年度予算ノ編成ニ当リテハ各省共国務ノ全局ニ稽ヘ所管事務ノ立場ニ偏スルコトナク必ズ左記方針ニ準拠シ真ニ適正ナル戦時予算ノ成立ニ協力スルモノトス
記
一、経費ノ要求ニ際シテハ其ノ既定タルト新規タルトヲ問ハズ戦時財政ノ本質ニ稽ヘ重点主義ト効率主義トノ観点ヨリ厳正ナル態度ヲ以テ較量勘案ヲ加ヘ努メテ歳計ノ膨脹ヲ抑止スルコト
二、既定経費ニ付テハ時局ノ推移ニ顧ミ再検討ヲ遂ゲ要スレバ法令ノ改廃ヲモ断行シ極力其ノ整理圧縮ニ努ムルト共ニ別ニ定ムル所ニ依リ既定経費節約調書ヲ作製提出スルコト
三、新規計画ノ計上ハ原則トシテ閣議ニ於テ先議画定シタル事項ノ範囲内トシ且財政事情ノ許容スル限度ニ止ムルコ(以下部外秘)尚戦時予算ノ特質ニ鑑ミ本予算ニ計上スルモノハ真ニ緊急性ヲ有シ予算編成ノ際迄ニ具体的実行計画ノ確立セル施策ニシテ事態ノ推移ニ拘ラズ予算化スベキモノニ限ルヲ原則トシ其ノ他特ニ必要アル場合ニ於テハ適当ナル予算的措置ヲ講ズルコト
四、新規経費トシテ計上ヲ要スル継続的事業ハ三箇年度以内ニ於テ完成シ急速ニ其ノ効率ヲ挙ゲ得べキモノニ限ルコトトシ右ニ該当セザルモノニ付テハ特ニ閣議ノ承認ヲ経タルモノノ外其ノ計上ヲ見合ハスコト
五、相当多額ノ予備費ヲ計上スルコト
六、行政事務ノ刷新、待遇合理化等ノ方策ニ依リ能率ノ増進及勤労ノ強化ヲ図リ官吏以下政府職員ノ減少ニ努メ以テ行政簡素化ニ関スル昭和十七年六月二十六日閣議決定ノ趣旨ノ貫徹ヲ期スルコト
七、資金、物資及労務ノ政府需要ハ之ヲ最少限度ニ止メ当該動員諸計画トノ完全ナル適合ヲ図ルト共ニ別ニ定ムル所ニ依リ物資需要調書及労務需要調書ヲ作製提出スルコト
八、戦時財政ノ強化ヲ図ル為努メテ普通歳入ノ増加ヲ図リ各特別会計ヨリ臨時軍事費特別会計又ハ一般会計ニ対シ能フ限リ多額ノ繰入ヲ為ス等ノ方法ヲ講ジ公債ノ発行ハナルベク之ヲ抑制スルコト
九、概算又ハ概計関係書類ノ大蔵省ヘノ送付期限ハ左ノ通リトシ必ズ之ヲ厳守スルコト
一般会計 特別会計
概算書又ハ概計書 八月二十日 九月二十日
既定経費節約調書 八月二十五日 九月二十日
物資需給調書 八月三十一日 九月三十日
労務需給調書 八月三十一日 九月三十日