戦時国民思想確立ニ関スル文教措置要綱
閣議決定年
昭和18年12月10日 閣議決定
収載資料:昭和社会経済史料集成 第22巻 大久保達正(他) 大東文化大学東洋所 1996.9 pp.116-117 当館請求記号:GB631-37
第一 方針
国民思想ヲ国策遂行ニ凝集セシメ戦力増強ヲ阻碍スル一切ノ思想的原因ヲ根絶シテ必勝ノ信念尽忠報国精神ノ昂揚、戦時国民道義ノ確立ヲ図ル為全面的ニ教学ノ刷新振作ヲ行フト共ニ国民ノ思想指導ヲ強力ニ実施スルモノトス
第二 措置
一 国体・日本精神ニ基ク学問、思想ノ創造発展ヲ図リ教学ノ全面ニ之ヲ浸透セシメ戦意ノ昂揚、戦力増強ノ根本ニ培フ為教育内容ノ検討刷新、訓育体制ノ強化、日本諸学振興委員会ノ拡充等ニ付必要ナル措置ヲ講ズ
二 国民思想ヲ混乱セシメ戦力増強ヲ阻碍スル虞アル学者ノ思想・学説ヲ究明是正シ及国民ノ思想、生活ヲ紊ル社会事象ニ付思想的究明ヲ行フ為文部省ニ所要ノ機関ヲ設クル等ノ措置ヲ講ズ
三 学徒並ニ勤労青年ニ対シテ戦時思想指導ヲ強化スル為地方思想対策研究会ノ機能拡充、学校ニ於ケル思想指導体制ノ整備等必要ナル措置ヲ講ズ
尚企業管理者、産業団体関係者、青年学校指導者等産業ノ場ニ於ケル指導者ニ対シ皇国勤労観ニ基ク思想指導ヲ行フニ必要ナル措置ヲ講ズ
四 宗教及宗教活動ノ醇化昂揚ヲ図ルト共ニ宗教団体及宗教教師ニ対スル指導ヲ強化シソノ活発ナル活動ヲ促ス
五 教育団体、教化団体、文化団体等ノ活動ニ対シ真ニ日本的ナル思想、文化ノ根源ヲ確把セシメ之ヲ昂揚振作セシムル如ク関係官庁協力ノ上積極強力ナル指導ヲ行フ
六 家風ヲ振起シテ我ガ国固有ノ家ノ本義ニ徹セシメ以テ戦時国民道義ノ確立、戦意昂揚ノ源泉タラシム
七 本要綱実施ニ要スル経費ニ付テハ速カニ必要ナル予算的措置ヲ講ズ