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陸海輸送力の極限的発揮に関する件

昭和21年12月6日 閣議決定

収載資料:運輸省三十年史 資料編 運輸省編 運輸経済研究センター 1980.3 pp.212-213 当館請求記号:AZ-471-11

陸海輸送力の総合的機能を極限的に発揮し之れに依って鉄道輸送力の減少に伴う滞貨を処理し生産の促進インフレの防遏に資する為左に依って鉄道貨物の海上輸送転移を実施する。
1.鉄道に依る長距離大口輸送貨物は極力之を海上輸送に転移する。之が為一部貨物の鉄道輸送引受停止を行う。
2.海上輸送転移に依って鉄道輸送距離が短縮又は節約せられた場合は之に依って生じた鉄道輸送余力に依って港頭向転移貨物及びその他の緊急輸送物資の増送を行う。
3.海上輸送転移貨物の迅速且確実なる海上輸送を確保する為極力適船に依る定航制の実施に努める。
4.海上転移輸送実施の円滑化を期する為必要な港湾に於ける荷役力を重点的に整備強化する。
5.陸海運賃を均衡せしめる為政府は適当な調整措置を行う。
6.本措置は十二月二十五日より之を行うこととし差し当り石炭、木材、鉱石等について可能なものより逐次之を実施する。
7.以上諸事項の実施を確保する為緊急に次の諸措置を行う。

措置事項実施担当官庁
(1)鉄道運転用炭の貯炭を確保する為十二月上旬に於て既計画分の外約二万屯を繰上配給する。経済安定本部
商工省
(2)陸海荷役労務者,船員,船舶修理工に対する加配米の支給を確保する。農林省
(3)汽船,機帆船,並びに艀及び曳船の修理を促進する。之が為修理用資材及資金の確保を図る。運輸省
商工省
大蔵省
(4)関係港湾について荷役機械の修理,簡易荷役機械の整備其の他港湾施設の復旧改良等緊急に実施する。運輸省
商工省
大蔵省
(5)港湾荷役施設の総合利用を行うことに努める。運輸省
商工省
(6)船舶燃料の確保を図る。特に焚料油については連合軍の援助を懇請する。運輸省
商工省
終戦連絡事務局
(7)関門,瀬戸内,大阪,伏木等に於ける掃海作業を促進する。運輸省
第二復員局
(8)電力消費規正を行うに当たっては輸送力確保について特段の配慮を行う。商工省