本文に飛ぶ

地方統計機構整備要綱

昭和22年7月11日 閣議決定

収載資料:日本統計制度再建史 統計委員会史稿 資料篇(2) 行政管理庁統計基準局 1962 pp.209-214 当館請求記号:350.19-N689n

一、趣旨
統計の改善発達を図るためには、実際調査の事務に当る地方統計機構の拡充とその機能の刷新を行うことが不可欠の条件であるが、この点についてさきに第九十二回帝国議会における統計法案審議に際して附帯決議が行われた趣旨に鑑み、なお、連合軍最高司令官の要請によつて派遣されたアメリカ統計使節団々長ライス博土の報告書の中に示された勧告の趣旨に従つて、地方統計機構の急速な整備を図ろうとするものである。
二、方針
(1)国の必要に基ずいて行う統計調査は、一貫して国の直接の監督の下に、国の経費を以て行うのを原則とし、統計の真実性と統一性を確保する。
(2)これがため、地方に、統計官及び全額国費支弁の統計主事又は統計事務に従事する専任の吏員を配置し、各庁の行うセンサス的調査の事務を一括して行わしめる。
(3)右の機能充実によつて地方集計の範囲を拡大し、製表事務を敏速ならしめ、調査結果の地方行政における利用価値を高める。
三、要領
(一)統計官の配置
(1)各都道府県に地方事務官又は地方技官たる統計官(差当りは統計事務に従事する専任の官吏)を置く。
(2)都道府県における統計官の任免は、二級官吏については内閣総理大臣が行い、三級官吏については都道府県知事がこれを行うこととするも、統計事務の特殊性に鑑み、統計委員会は必要に応じ意見を述べることができるものとし、あわせて中央、地方及び地方相互間の人事の交流を可能ならしめる。
(3)統計官の直接の指揮監督は、都道府県知事がこれに当り各統計調査の事務に関してはその主管大臣が都道府県知事を通じて、これを指揮監督する。
(4)統計官の配置は別表(一)による。
(二)市区町村統計専任職員の配置
(1)市区町村に全額国費負担の統計専任吏員(市区においては統計主事及び統計主事補、町村においては統計書記という。)を置き、国の行う各種統計調査の事務並びに統計調査員の指導に当たらしめる。
(2)右吏員の身分上の監督は、市区町村長がこれを行う。
(3)国の行う各種統計調査の事務については、それぞれの主官官庁の指示に従い都道府県の統計官がこれを監督する。
(4)市区町村に対する全額国費負担の統計専任吏員の配置は別表(二)による。
四、措置
(一)本案実施のため、統計法施行令及び地方自治法施行規程の一部を改正するものとする。
(二)本案に必要な経費は昭和二十二年度追加予算に計上することとし、本年度既定予算中この案と重複する関係各庁の経費は、これに統合するものとする。(別表(四))
(三)本年度予算支出によつて臨時国勢調査のために確保した要員(七、八両月分)は、本案に引継ぐものとする。

別表(一)
(表省略)
備考 右の人員の各都道府県別配置については、事務量その他に応じて調整するものとする。
別表(二)
(表省略)
備考 1.町村に対しては統計専任吏員(三級相当)一名
補助員(雇員)一名を配置し、市区に対しては人口二万人について上記二名ずつ配置する。
2.二級相当吏員は、人口一〇万人以上の市区に配置する。
別表(三)
(表省略)
別表(四)
(府県) 本案関係所要経費と既定経費との関係
(表省略)
備考(1)△印は半額国庫補助(  )は嘱託 内数
(2)予備費は二ヶ月分(七月八月)は昭和二十二年臨時国勢調査補助金として合都道府県統計主管課職員充員のため本年度予備費から査定された。
(市区町村)
(表省略)
備考 予備費二ヶ月分(七月八月)は昭和二十二年臨時国勢調査補助金として各市区(二三一)統計職員充員のため本年度予備費から査定されたもの。