官公庁職員組合労働協約に関する件
閣議決定年
昭和22年8月21日 閣議了解
収載資料:労働行政史 第2巻 労働省編 1969 p.354-355 当館請求記号:366.1-R64r2
各省大臣と関係職員組合との間の労働協約の多くが、その有効期間の満了期にあるので、新協約の締結に当つては従前の方針に依るの外概ね次の方針によること。
一、協約の双務性について
協約に於て、労働条件の維持改善等について、政府が義務づけられる条項と共に、組合が、職務上の規律の遵守、職務の完遂、能率の増進等につき責務を負う旨の条項を規定すること。
二、職員の任用と組合の関係について
職員の任用に当り、その者が、組合員であること、組合に加入すること等の条件の設定を認めないこと。
三、組合の人事干与について
イ、組合員以外の人事については、組合の干与を全然認めないこと。
ロ、組合員の人事については次によること。
1 権限に属する範囲内で、それに関する一般的基準を組合と協議する。
2 具体的な個々の人事は、右の基準に従い政府の専ら行うところとし、事前通知等の義務を負わない。
3 但し、政府の行つた人事について不服のある者が、組合を通じ異議の申立を行うことを認める。
四、異議の調整手続について
異議の調整は、それに関し最も直接関係ある部課の長と組合の間からはじめ、逐次上級手続に移すように、官庁内部の職階的組織と調和を保たしめること。
五、組合の行政干与について
組合が、行政に関する計画の樹立、運営等を協議事項とし、組合として行政に干与することは、これを認めないこと。
六、運営協議会(調整委員会、職場委員会等)の性格について
協議会の性格は、全員一致制による協議体であつて、しかも、そこで決定されたことは、両当事者を拘束するものとする。
七、組合事務専従職員について
職員たる組合員にして組合事務専従者は、原則として認めない。但し、過渡的には例外として、期間を定め、漸減することを条件として、組合事務専従職員を認めることができる。尚この場合も、その数を現在より増加せしめないこと。
八、争議の平和的処理について
協約に関し、紛議を生じ、当事者間で、それが調整されない場合、当事者の何れか一方からでも、労働委員会の斡旋、又は調停を申請できる旨の、争議の平和的処理に関する規定を設けること。
九、其の他
イ、俸給、給料等から、組合費を当然に差引くこととしているのは、適当ではない。定期的組合費については、協約の明文によつて、差引くことは之を認め得るが、組合の臨時的費用を俸給、給料等から差引くのは適当ではない。
ロ、組合員の名簿を随時提出又は提示させることが必要である。
ハ、官庁執務時間を協約に於て規定することは認められない。