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昭和22年産米、甘藷及び雑穀供出対策要綱

昭和22年9月16日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(上) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.283-286 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

第一 方針
昭和二十二年産米、甘藷及び雑穀については、今年端境から来年度にかけての我が国の食糧需給事情からみて必要なる数量を適正に供出割当を行つて、その割当数量をできる限り速かに確保することが絶対に必要である。従つて現下農村の実情に鑑みて、供出制度に関する各般の事項につきできる限りの改善策を講じ、円滑な供出をはかると共に割当数量の供出を確保するために必要なる措置を強力に実施して、供出の完遂を期することとする。
第二 要領
一、生産見込数量、農家自家保有量及び供出割当数量
左記各項により算出したる生産見込数量より農家自家保有量を差引いた数量を供出割当数量とする。
(一)生産見込数量
米及び甘藷の生産見込数量は、作物報告事務所及び食糧事務所の調査に基き作況決定委員会の決定した作付面積、過去の統計的諸資料、災害による被害面積率により総合的に算定した収穫見込面積と両事務所の調査に基き作況決定委員会の決定した生育率、施肥料、気象状況等による統計的予測により推定した反当見込収量とにより算出する。
雑穀については食糧事務所の調査した面積及び反当収量を基礎とし前年並に平年の状況を勘案して算出したものによる。
(二)農家自家保有量
農家自家保有量は、飯用(味噌、醤油用を含む)種子用の外甘藷雑穀については、飼料用所要量を加えたものとする。
飯用保有量は、既定の年令別保有基準量により、一月十五日現在推定農家人口につき算出したものによる。
米、甘藷及び雑穀の総合保有率は、原則として既定の割当によることとするが、二十一年度の農家の消費の実情により割合を調整する必要あるものについては、これを調整する。
(三)供出割当数量
供出割当数量は、米(雑穀を合む)、甘藷(生甘藷及び切干甘藷別)につき各別にこれを定める。甘藷は原則として米との代替を認めない。
二 供出割当の方法及び供出期限
(一)農林大臣は、前項の生産見込数量、農家自家保有量を基礎として策定した計画により、国会議員、生産者および消費者の代表、学識経験者等を以て構成する協議会に諮つて、供出割当計画を定め、その計画に基き、知事と協議して都道府県別に供出割当数量を定める。
(二)知事は、右の都道府県別供出割当数量に基き、都道府県食糧調整委員会の議決を経て地区別又は市町村別割当を行い、地区割当を行つた場合は、地区食糧調整委員会の議決を経て、町村別割当を行う。
市町村長は、右の市町村別割当数量に基き、市町村食糧調整委員会の議決を経て、農家別供出数量を割当る。
(三)割当の議決をなすべき都道府県、地区及び市町村の食糧調整委員会は、食糧管理法施行規則の一部改正(八月十五日施行農林省令第六十八号)及び八月七日付二二食糧第三〇六二号農林次官通牒により改選した委員会とする。
特に各農家別供出割当数量は、耕作面積、収穫高、自家保有量その他割当に必要なる事項と共に各市町村にすくなくとも一ケ所以上の恒久的な掲示施設を設けてこれを公示する。
(四)供出期限は左の通りとし、特別の事情ある府県については、知事、農林省と協議して別に定める。
米     東北、北陸  一月末日
その他    二月末日
生甘藷          一月末日
切干甘藷         五月末日
三 早期供出及び超過売渡に関する措置
(一)早期供出奨励金
端境期におげる需給操作と米単作地帯の実情に鑑み、左により早場米及び早掘甘藷につき早期供出奨励金を交付する。
九月三十日迄   石当り    五〇〇円
十月十日迄     〃     四五〇円
十月二十日迄    〃     三〇〇円
十月三十一日迄   〃     二〇〇円
甘藷
九月二十日迄   一〇貫に付  五〇円
十月五日迄      〃    三〇円
十月二十日迄     〃    一〇円
右奨励金中米については、左の期限迄に供出した米に対して左の金額を支払うこととし、残額については、この(五)により供出期限迄に供出割当の供出完了を条件として支払うものとする。
九月三十日迄   石当り    三〇〇円
十月十日迄     〃     三七五円
十月二十日迄    〃     二〇〇円
十月三十一日迄   〃     二〇〇円
(二)超過売渡に対する報償措置
実収量が供出割当の基礎とした生産見込数量を超えた場合においても既定の供出割当数量以外に、追加割当は行わないこととするが、農家が供出割当を完遂した後も売渡す場合の相手方は、政府に限るものとする。
政府は、農家の協力によつて、供出割当数量以上にできるだけ多くの数量を確保するため超過売渡し分に対しては、報償金及び特配物資につき、特別の取扱をする。
四 米単作農家に対する飼料対策及び農業雇労務者用食糧に関する措置
(一)米単作農家に対する飼料の確保
米単作地帯の米単作農家に対する飼料の供給を確保するため、米単作地帯の各県に対しては当該県の米単作農家の牛馬の飼養頭数に応じて当該県に対する供出割当数量の中一定数量を飼料用引当米として指示する。
飼料引当米は、一般供出米と同様に供出させるがこれに代るべき飼料の供給を別途確保する。
(二)農家雇傭労務者用食糧の特配
農家飯用保有量は既定の基準を変更しないが、米作のため農繁期に雇傭労務者を雇入れるに必要な食糧を一定の基準により雇入の状況に応じて雇入農家に対して配給する。
五 特配物資
(一)米及び甘藷の早期供出分及び米の超過供出分及び米の完遂農家に対して供出数量に応じて、酒、煙草、繊維製品ゴム製品その他の必需物資を特配する。
六 横流の取締その他供出確保に関する措置
供出に関する各般の事項につき出来る限りの改善策を講じて農家の協力により割当数量の供出完遂を期することとするが、一面主食の闇横流れの取締は一層徹底的にこれを強化し、又故なく供出の義務を果さない農家に対しては、強力に供出完遂に必要なる措置をとる。
備考
北海道につき特殊の事情ある事項については別に定める。