専売収入の確保対策
閣議決定年
昭和22年12月2日 閣議決定
収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.1012-1013 当館請求記号:DG15-19
財政上の緊急需要に応ずるため、煙草の販売価格は画期的に引上げられ、生産価格と販売価格とは非常に懸隔を生じ、一面男子配給数量が激減したのに伴い、悪質な専売法違反行為は日に増加の傾向にあり、このまま経過せんか所期の専売収入達成の困難なことは勿論、延いては専売制度の崩壊の端緒を招くおそれがあり、専売事業運営上真に憂慮すべき事態と云はざるを得ない。よってこの際所定の収入を確保し、併せて専売行政の円滑な運営と健全な発達を期するため、急速に左の措置を実施しなければならない。
一 防犯協力機構を設置すること。
専売官署単位に地方の検察、警察等政府各機構等の協力の下に防犯協力機構を設置し、防犯の具体施策の樹立、実行方法の協議、情報の蒐集等に当らしめる。
二 防犯国民運動を展開すること。
言論、報道機関を総動員して全国的に、又地方的に専売収入の重要性につき理解を深からしめ、闇に基く専売品の横行を絶滅せしめるよう国民に呼びかけること。
三 原料葉煙草の確保と横流し防止のため、耕作者に対し煙草苗の譲渡、譲受の監視、植付検査の励行、葉数査定、量目査定の厳格化、密耕作の取締等を更に一層積極的に行う外、煙草小売人に対しては、売捌規則の遵守状況の監視、自由販売品の売渡検査、配給煙草に対する人員数量の適否、不正の有無等を頻繁に検査監視すること。
其の他煙草製造工場の取締強化、輸送中及び保管中の事故防止につき関係政府機関の協力を得ること。
四 専売法違反に対する罰科金は現在の社会情勢より見て甚だしく低きに失し、予防及鎮圧の目的を達することが不可能であるから、この際罰則を強化し、もって違反行為に基づく損失を未然に防止すること。
五 煙草及び塩の配給につき、官庁統制の弊を是正し、消費者の便益を図るため、臨時物資需給調整法に基いて配給統制を実施することとし、これに伴って配給事務の改善、配給機構の整備を行い、小売人に対する指導を強化すること。
六 右の諸措置は可及的速かにこれを実施する必要があるが、現在の職員数では到底その目的が達せられないので、部内職員並びに従業員の能率増進を図るは勿論であるが、所要の人員については十月十四日閣議決定(昭和二十二年度予算の節約等について)の二、第三項により現定員の充足を行う外、防犯取締要員として九九四名、配給統制実施のため四三〇名の増員を行うこととし、これが為各庁は配置転換等につき積極的に協力すること。