法務庁発足について閣議了解

昭和23年2月13日 閣議了解

収載資料:森戸辰男関係文書 片山・芦田政権下「閣議」関係文書 マイクロ版集成 Reel No.5 10-12 当館請求記号:憲政資料室

現内閣は目下全閣僚辞表提出中であるが、左記の理由により必要最小限において、二月十五日より法務庁発足を諒解する。
一、二月十日司法大臣は辞表提出と共に法務庁設置法の施行期日の延期承認方を総司令部に懇請したところ、政治局ドクトル、オプラーはホイットニー准将の指令として、司法省の廃止、法務庁の設置は警察制度の改正と関連してマッカーサー元帥の最高方針として決定して居るものであって、法律によって予定された施行期日の遷延を許さぜること、不信任案の通過による総辞職と異り予定された任命権の、行使を妨げないこと等を伝達された。翌二月十一日重ねて別紙ホイットニー将軍発司法大臣宛の覚書を受領した。
二、一方法制局長官より衆議院事務総長を通じて、国会の意向を確かめたところ、国会は凡ての議案に先立って総理大臣の指名を行うとの規定を、厳格に解し、他の法律案等の審議はこの際行う意思なきこと□□□知せられた。
三、然るときは法律は当然効力を発生し、二月十四日を以て司法省は廃止となり、司法大臣も廃職となるので、二月十五日法務総裁の任命、法務庁の発足がなければ事実上司法大臣の職務を行うものが欠如するに至る不都合を生ずるので、最小限の規模において二月十五日法務庁は発足することとする。
四、二月十五日内閣総理大臣は国務大臣の中から法務総裁を任命す□、その辞意は継続するものと諒解する法令によって当然法務庁の職員となる者は辞令を用いずに当然新職員とし、その他の高級職員は次の内閣及び総裁が任命権を行使する迄凡て事務取扱又は心得とし、出来得るだけ少数に止めかつ兼官とすること。
五、法制局一、二級官及内事局第二局一、二級官の取扱についてはホイットニー准将の指令に従って適当に処置すること。
六、法務庁の経費については追加予算提出の困難なる事情に鑑み予備金支出を認むること。