本文に飛ぶ

昭和24年産甘しよ集荷配給対策要綱

昭和24年9月6日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(上) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.690-696 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

昭和二十四年産甘しよについては、左の諸措置を講じて政府の行う集荷及び処理の適正を図ることとし、特に生いもの処理について万全を期することとする。
一、生甘しよの集荷配給計画
生甘しよの集荷配分の月別計画は左の如く予定し、これを基準として実行計画を策定することとする。
(表省略)
二、用途別配分計画
(一)用途別配分は、左の如く計画する。
(イ) 生甘しよ
総合用     四三六、〇〇〇千貫
アルコール   三五、〇〇〇
酒用      三五、〇〇〇
澱粉用     一八七、〇〇〇
いも粉用    一二、〇〇〇
種子用     三、〇〇〇
そ莱その他用  総合用の余剰を転用
計       七〇八、〇〇〇
(ロ)切干甘しよ(生換算)
総合用     五七、〇〇〇千貫
酒アルコール用 七三、〇〇〇
計       一三〇、〇〇〇
合計      八三八、〇〇〇
(二)超過供出の状況並びに主食用の需給事情に応じて、酒用、アルコール用でん粉の割当を増加するとともに、そ菜用、加工用の枠によつて調整する。
三、計画集荷のための構造
生甘しよの集荷を集荷計画に即応して行うことに努めるものとし、特に出廻期の集荷に重点を置いて、左の諸措置をとるものとする。
(一)農林省は、一の月別計画に基き都府県知事に対し月別集荷予定数量を指示する。
(二)都府県知事は、農林省より指示せられた計画に基き食糧事務所、公団いも類局出先機関と協議して市町村別、月別集荷予定数量を定め市町村長に指示する。
(三)市町村長は、都府県知事より指示せられた数量に基き食糧検査官、いも類局関係者、指定業者と打合の上旬別出荷計画を作成し、知事及び食糧事務所長に報告するものとする。
(四)超過供出を行う見込の生産者は、別に定める期日迄にその時期及び数量を市町村長及び食糧検査官に届けでるものとする。食糧事務所長は超過供出見込数量を取りまとめて本省に報告する。
(五)食糧事務所長は、府県、いも類局関係機関と協議の上十月一日以後供出されるものにつき(三)の出荷計画及び(四)の超過供出見込量につき検査予定計画を作成して、生産者に指定業者を通じて検査予定日及び検査予定数量を通知する。
検査は原則としてあらかじめ通知した予定日に予定数量に限つて行うものとする。
(六)供出割当量の補正その他出荷計画を変更する必要を生じた場合は、食糧事務所長は検査予定計画を変更して通知する。
(七)計画出荷の実効を期するため、前各項の実施に必要なる法的措置を講ずる。
四、主食用配給計画
(一)本年産甘しよの出廻期(二十四年九月-二十五年一月)における各府県の生甘しよの主食用消費月数は二十五日を基準とすることとし、月別予定日数はできる限りこれを平均化するよう本省、府県、協議してこれを定める。
(二)主食用の配給にはできる限り一等又は二等のものを充てるよう操作に努力する。
(三)各月の消費者に対する実配数量は、特別の場合の外十日分を超えないよう、配給操作上特に留意する。
(四)消費者において配給辞退を行つた場合は、一定の手続により、配給をうけた場合と同様の取扱を行い、消費予定日数に相当する数量の枠差引は毎月厳格にこれを実施することとする。
(五)配給辞退によつて主食用の数量に余剰を生じた場合は、これを他用途に転用することとし、主食用の消費日数の増加は行はないこととする。
五、輸送計画
(一)前各項によつて定める集荷配分計画に基き農林省、運輸当局、公団、いも類局協議して輸送計画を策定する。
(二)輸送計画実施上、地元消費と県外向輸送との調整に留意し、産地及び消費地の総合用消費の均衡を保つことに努力する。
(三)北海道、東北向の長距離輸送を可及的早期より行う。
(四)原材料用枠の充当は、できる限り早期よりこれを行い、原材料用入荷時期的平均化を図る。
六、早期供出奨励のための措置
生いもの早期供出に特に重点を置き、これを奨励するための措置を講ずる。
(一)早期供出奨励金の交付
早期供出奨励金は左によつて支出する。
備考
第一期    第二期    第三期
一等   二三〇(円) 一五〇    四五
二等の上 二二〇    一四〇    四〇
二等   二〇〇    一二五    四〇
三等   一五五    一〇〇    三〇
四等   一〇五    六五     二〇
期別   第一区     第二区     金額
(イ)第一期  九月十日迄   九月二十日迄  各等級価格の六割
第二期  九月二十日迄  九月三十日迄   〃    四割
第三期  九月三十日迄  十月十日迄    〃    二割
(ロ)第一区 東北、北陸、関東、東海、近畿
第二区 中国、四国、九州
(二)検査等級に関する特別措置
早期供出によつて品質比較的優良なものも確保し得る茨城一号、チャボ及び農林八号は早期供出の第二期迄沖縄一〇〇号は第一期中、検査等級を一等級格上の取扱をし早期供出期間申の出荷を促進する。
七、甘しよの基本価格に関する措置
(一)甘しよの生産者価格は、対米価比率の調整及び下記等級の消化促進を考慮して左の通り定める。
一等    二〇〇円
二等の上  一九〇円
二等    一七五円
三等    一四〇円
四等    一〇〇円
(二)消費者価格
(イ) 等級別価格の設定
総合配給用のものについては二等級別とし、一、二等を一本、三、四等を一本の二階級とし格差を夫々プールによつて定める。
原材料用について四等級別とし生産者価格の格差により段階を設ける。
(ロ) 三月以降において配給する貯蔵甘しよについては、貯蔵費分を消費者価格に一〇〆当五〇円を加算する。
右に伴う措置として検査を厳重にする外一等及び二等はそれぞれの票箋を一俵につき二枚づつ附しこれに同一標識を附し三等及び四等もこれに準ずる等、票箋を明確にする。
八、超過供出の適期確保に関する措置
生いもの超過供出については基本価格の二、二五倍(既定)に相当する価格によつて買入れることとするが、出荷の時期平均化について農家の協力を求むることとし、特別価格は追つて定める期日以後出荷せられるもののみについてこれを適用することとする。
九、貯蔵の奨励
(一)キユアリング貯蔵
(イ)農家がキユアリング貯蔵いもを供出する場合には、生いもの政府買入価格の外に貯蔵経費を支払うものとする。
(ロ)いも類局がキユアリング貯蔵を行う場合の貯蔵経費はこれを同局のマージン中に見込みおくものとする。
(ハ)貯蔵経費についてはその奨励目的に合致するよう適切に定める。
(二)普通貯蔵
農家の行うキユアリング貯蔵法以外の貯蔵いもの供出に対しても貯蔵奨励の趣旨を折込んだ貯蔵経費を支払うものとする。
十、いも類加工に関する措置
(一)切干特に食用切干の生産奨励
甘しよの有効処理方策の一環として切干いもの生産を予め数量を指示して生産供出せしめるものとし、特に切干いもの超過供出については、食用効率を考慮して一等の生産指導に重点を置くこととし、左の特別価格によつて買入れることとする。
甘しよ生切干一等      基本価格の二、五倍(既定)
二等及三等   〃    一、五倍(〃 )
(二)加工の合理化
(イ)いも類(でん粉を含む以下同じ)の主食向加工については国民生活上真に主食として適切な軽度加工品に限定することとし、できる限り消費者の需給に副つてこれを行うことを旨とし、そのため都道府県知事をして、農林大臣の承認を条件とし加工計画を設定せしめる。
(ロ)いも粉の品質改善を図るため、皮部分離による加工を奨励する外、品質優良且価格の妥当なるものの育成につとめる。
でん粉めん、いも粉めん等の二次加工品についても品質優良なものの育成を図る。
(ハ)食糧配給公団の委託を受けて、いも類の加工を行う者に対しては、農林大臣又は都道府県知事において必要に応じ加工方法、製品の品質その他について指示する。
(三)加工品の配給
(イ)いも類加工品の配給に当つては、いも類全体の喰率が地域的且つ時期的に平均化するように努める。
(ロ)いも類加工品の配給については原則として消費者の選択するところに従つて行うものとし、そのためパン類におけるクーポン制に準じた措置を考究する。
(ハ)でん粉の喰率向上を図るとともに原材料用割当部門の拡充及び割当数量の増加を図る。