昭和25年におけるいも類政府買入継続に関する件

昭和25年1月9日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(上) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.707-709 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

一 方針
わが国当面の食糧政策の目標は、速かに連合国への経済的依存を減じ自立経済の達成を図るとともに、援助打切り後においても国民生活を健全に維持するに足る消費水準を確立するにある。
政府は食糧配給について極力その量的質的向上を図るため努めるものとし、同時に国内自給力を確保しその輸入依存度を少くするため、いも類の政府買入を継続するとともに主要食糧の消費者配給基準量については概ね諸般の情勢が判明する時期に再検討を加えるものとする。
昭和二十五年産いも類については右の目的に従い、併せて農家経営の安定を図るため優良品種のものに限り食糧管理特別会計の予算の範囲内で政府買入を継続するものとする。
二 要領
(一)買入
1 甘藷の政府買入計画の指示は左による。
(イ)甘藷の政府買入予定数量は、二等以上の品種、規格のものについて三億五千万貫以内とし、農林省は二月上旬までにその府県別買入予定数量を定めて知事に指示することとする。
前項の府県別予定買入数量を定めるに当つては、近年各都道府県における二等以上の甘藷の生産状況、二十五年における二等以上の品種への転換の見込等を勘案することとする。
(ロ)知事は、農林省より指示せられた数量に基き市町村別割当を行い、更に市町村長をして各農家別の割当を行わしめるものとする。右の割当を行うに当つては都道府県、地方、市町村の農業調整委員会の議を経るものとする。
2 馬鈴薯の政府買入計画の指示は次の通りとする。
(イ)馬鈴薯の政府買入予定数量は、一億七千万貫以内とし、うち北海道については一億貫以内その他の都府県については七千万貫以内とする。
(ロ)馬鈴薯の政府買入は、水田馬鈴薯を除き、畑作馬鈴薯について一定規格以上のものに限定してこれを行うこととする。
(ハ)府県別買入予定数量は(イ)北海道とその他の府県との買入予定数量に基いて近年の畑作馬鈴薯の生産状況その他を勘案してこれを定める。
(ニ)その他の事項については、甘藷の場合と同様の取扱をすること。
3 割当は、政府の買入予定数量を各農家に指示する行政上の指示とする。従つて食糧確保臨時措置法による農業計画の指示は行わない。
4 政府は、需給上特に必要とみられる事態を生じたときは、甘藷及び馬鈴薯の生産者に対し改めて食管法に基く割当を行うことがあるものとする。
5 いも類の政府買入価格は農業パリテイ指数に準拠して時期別に定める。いも類の早掘奨励金及超過供出の奨励金制度は廃止する。
(二)売渡
1 政府の買入れたいも類は原則としていも類の消費性向を考慮し、消費地(甘藷は北海道、東北、大中都市、馬鈴薯は大中都市)に対して特別配給するものとし、又食糧需給上必要ある時は総合用として配給することがあるものとする。
2 配給価格は、地域別、等級別、時期別に定める。