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昭和25年度予算の実施について

昭和25年4月7日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.96-97 当館請求記号:DG15-19

今回成立した昭和二十五年度予算の実施に当っては、最近における財政経済の推移に鑑み、特に財政と金融との総合一体の運営を図ることとし、左記各項の方針による。
(一)歳入歳出の時期的調整を図り「ディスインフレ」の堅持を基調とするが、特に社会政策的意義を有する経費については、必要に応じその繰上支払を行う一面、一般行政費については、実行上できるだけ節約につとめ国民負担の緩和に資するよう配意すること。
(二)債務償還については、一般小口所有分にかかる国債の償還は、極力年度当初にこれを行う外、国債等の償還により金融機関に生じた余裕資金は、産業の資金に適切に融資せられるよう積極的に指導すること。
(三)公共事業費については、特に災害復旧事業は早期にその工事を完成するよう経費支出の時期的配分について、特別の考慮をはらうこと。
(四)米国対日援助見返資金の運用については、債務償還費・公共事業費に関するものの外、その産業並びに金融上に及ぼす影響の重要性に鑑み、連合国軍最高司令部と緊密な連絡をとり、敏速適切に運用し、経済の再建、金融市場の調整に対し積極的に寄与する如くつとめること。
(五)価格調整費については、経済の自主自立的態勢の確立と見合いつつ、できるだけ節減する方針をもって、関係各庁において全面的協力の上、その具体的計画を立案し、実行を確保すること。
(六)人件費の支出については、各省各庁の現員現給を基礎とするが、今後においても行政合理化並びに経済統制その他不急不用事務の縮減又は廃止による人員の縮減につき不断の検討を行うこと。
(七)終戦処理費・賠償施設処理費及び特殊財産処理費については、個々の実情及び最近の実績を勘案して、最低限度の所要額を支出するようつとめること。
(八)その他各種の経費については、その実体に即し、予算の合理的実行を行うことはもとよりであるが、一般会計計上の予備費の少額であることに鑑み、緊急止むを得ない需要を生ずる場合に備えるため、支出負担行為計画及び支払計画の弾力性を保持することにつとめること。
(九)民間企業に支障を与え、金融市場のこうそくを来さしめないよう、正常的、かつ、規則的な政府支払を促進すること。
(一〇)予算執行については、会計法第四十六条に基く監査を実施し、予算執行職員等の責任に関する法律の施行と相まって、一層予算使用を厳正、かつ、合理的ならしむること。
(一一)以上各項の方針は、一般会計のみならず、特別会計及び政府関係機関の予算実施について、当然適用又は準用すること。