出入国管理機関設置に関する件

昭和25年8月29日 閣議決定

収載資料:行政機構年報 第2巻 行政管理庁管理部 1951 pp.29-30 当館請求記号:317.2-G98g

本年2月20日附スキャピン2,083号「税関、出入国及び検疫事務に関する件」に基く出入国管理機構については左の措置をとるものとする。
(1)新に外務省の外局として「出入国管理庁」(仮称)を設置する。
(2)出入国管理庁の所掌事務は、概ね左の通りとする。
(イ)出入国に関する記録を整備すること
(ロ)入国管理官が現に行っている事務に関すること。
(ハ)外国人の登録に関すること。
(ニ)不法入国(正規の手続きを経ない避難のための渡航を含む。以下同じ。)の疑いある者の収容及び審査に関すること。
(ホ)不法入国をした者等の収容及び送還(送還船内の警備を除く。)に関すること。
(へ)その外、出入国の管理に関すること。
(3)出入国管理庁は、不法入国の疑いある者を収容し、その審査を行い、強制送還するべきものと認められる者に対して強制送還令書を発する権限を有するものとす。
(4)正規の出入国者の現場事務は、出入国管理長官の指揮監督をうけ税関の職員たる入国管理官が行うものとする。
(5)不法入国及び外国人登録令違反の疑いある者の逮捕は、従来通り警察官警察吏員又は海上保安官が行うものとし、その収容所までの護送は出入国管理庁の職員が行うものとする。
(6)送還船内の警備は、海上保安庁の担当とする。
(7)出入国管理庁に内部部局として2部を置き、且つ所要の地に出張所(4ヶ所を予定)及び収容所(収容人員差し当り1,600名)を置く。
(8)出入国管理庁の職員中、その必要があるものについては、武装を認めるものとする。
(備考)
(1)以上諸措置のうち立法的措置を要するものはポツダム政令による。
(2)本件実施に必要な予算的措置については、特に考慮するものとする。
(3)出入国管理庁の設置に伴い、関係各省庁の機構定員に所要の改正を行うものとする。
(4)本年6月6日附閣議決定「針尾収容所及び出入国管理機構に関する件」は廃止する。