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共産主義者等の公職からの排除に関する件

昭和25年9月12日 閣議了解

収載資料:レッド・パージ関係極秘公文書類 高倉金一郎 電産九州不当解雇反対同盟 1984.10 pp.29-32 当館請求記号:GB566-98

本年五月三日の憲法記念日に際し、連合国軍最高司令官から発せられた声明には、
「日本共産党が今や公然と国外からの支配に屈服し、かつ人心をまどわし、人心を弾圧するための虚偽と悪意にみちた煽動的宣伝を広く展開していること、さらに反日本的であるとともに、日本国民の利益に反するような運動方針を公然と採用している」
ことが指摘されるとともに、
「従って、現在日本が急速に解決を迫られている問題は、全世界の他の諸国と同様、この反社会的勢力をどのような方法で国内的に処理し、個人の自由の合法的行使を阻害せずに国家の福祉を危くするこうした自由の濫用を阻止するかにある。」
ことが示唆されており、更に本年六月六日附の連合国軍最高司令官より内閣総理大臣宛の書簡には、日本共産党について、
「然るに最近に至って新しい、そしてこれに劣らず有害な集団が、日本政界にあらわれたが、この集団は真理を歪曲し、大衆の暴力行為を煽動して、この平穏な国を無秩序と闘争の場所に変え、これをもって、代議制民主主義の途上における日本の著しい進歩を阻止する手段としようとし、また日本国民の間に急速に成長しつつある民主主義的傾向を破壊しようとした。彼等は同じ意図をもって、法令に基く権威に反抗し、法令に基く手続を軽視し、そして虚偽で煽動的な言論やその他の破壊的手段を用い、その結果として起る公衆の混乱を利用して、ついには暴力をもって日本の立憲政治を転覆するのに都合のよい状態を作り出すような社会不安をひき起そうと企てている。」
ことが明示されている。
これ等の声明等は、最近における日本の共産主義者が、国外における侵略主義的勢力の支配に屈服し、わが国における民主主義的復興を妨げ、国内に破壊と混乱をもたらそうとしていることが、もはや顕著な事実となっていることを指摘したものであるが、公務員が、元来、国民全体の奉仕者として公共の利益の擁護に任ずべきものである以上、この種の危険分子が公職に必要な適格性を欠くものであることはいうまでもない。
よって、政府は、民主的政府の機構を破壊から防衛する目的をもって、危険分子を国家機関その他の公の機関から排除するために、共産主義者またはその同調者たる公務員で公務上の機密を漏洩し、公務の正常な運営を阻害する等秩序をみだり、またはみだる虞があると認められるものを、国家公務員法その他当該法規の規定に基き公職に必要な適格性を欠くものとして、その地位から除去するものとする。
而して、この措置は、共産主義者又はその同調者に対し、制裁の目的をもってするものではなく、もっぱら破壊に対する防衛を目的とするものであるから、反省の余地ありと認められる者については、その反省の機会を与えつつ実施するよう留意するものとする。