食糧配給公団解散に伴う政府の食糧配給計画

昭和26年2月14日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(下) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.95-97 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

一、基本方針
近く現在の食糧配給公団に代つて、民営の卸売販売業者が業務を開始することとなるが、現在公団と政府の売買業務は、各府県の食糧事務所と公団支局との間において行われ、各府県ベースの運賃その他の採算上のプールは各支局毎に行われ、その全国ベースのプールは公団本部において行われていたのであるが、新規の卸売販売業者の業務開始と同時に政府の主要食糧を売却する対象は、約五〇〇乃至の六〇〇となり、その各々の卸売販売業者は各自自らの採算において業務を行うこととなる。従つて食糧管理特別会計を使用することによつて各卸売販売業者間の採算上の均衡をできる限り調整する方法の基本原則は、左によることとする。
(一)政府は、各卸売販売業者の小売販売業者への配分輸送のための運送賃の負担ができる限り均衡のとれるよう政府の行う運送を計画して一定の地点において主要食糧を売却する。
(二)政府の卸売販売業者に対する主要食糧の売却価格は、各府県別に各品目別に定めた一定の価格とする。 (同一府県内の各卸売販売業者に対する売却価格は同一であるが、各府県毎には異つた価格となる)
(三)各卸売販売業者は、右の一定の地点において政府より主要食糧を買受け小売店舗迄の輸送は自らこれを行う。
二、実施方法
(一)需給計画
食糧事務所長は、都道府県庁と協議して、管内の市町村毎に年間及び毎月の主食の需給見込を樹て、これに基づき米、外米、小麦粉、精麦等別にその供給計画を樹てる。
(二)運送計画及び運送
食糧事務所長は、(一)の供給計画に基づいて、現地の倉庫、工場に供給計画上必要な主食が保管されて居らない場合、予め又は随時これを補填するため、運送計画を樹て、運送を実施するものとする。この場合各卸売販売業者間の担当運送距離の均衡をはかるため、次の如き措置をとる。
(イ) 食糧事務所長は、管下の諸地域につき主食の主要集散駅を指定する。
この主要集散駅とは、過去における政府及び公団の運送操作実績に基づき、食糧事務所長が選定し、県当局及び業者登録せられた卸売販売業者の参加の下に公開的に決定する。
(ロ) (イ)により主要集散駅が決定した場合は、食糧事務所長は必要に応じ主要集散駅迄の運送を自ら行い、その最寄政府指定倉庫に倉入する。
(ハ) 船運送を必要とする地方については、主要集散港を指定して右に準じた措置をとる。
(三)売却の方法
(イ) 他県より搬入せられた主食、輸入食糧については、(二)により運送保管せられるようになつた主要集散駅(港)最寄政府指定倉庫において、各卸売販売業者に対し、その地域の配給に必要な分を売却する。
(ロ) 自県内において供出、加工せられ倉庫又は工場に保管せられている主要食糧については、最寄の配給対象地域向に売却するものは、当該倉庫又は工場渡とするが、配給対象地域が倉庫又は工場の所在地から著しく遠い場合は、(二)の主要集散駅(港)迄運送の上売却するものとする。
(ハ) 卸売販売業者に対する受渡は、食糧事務所担当官立会の上原則として指定倉庫において行う。
(ニ) 各卸売販売業者に対する主食の品質、等級の均衡は、食糧事務所の売却計画策定の際内地産食糧、輸入食糧(例、外米、カナダ小麦等)の配分の組合せについて可能な限りこれを行う。
(四)売却価格
政府の各卸売販売業者に対する売却価格は、各品目毎に、各府県別に定めた一本の価格とする。
右の各府県別政府売却価格を定める場合の卸売販売業者のマーヂンは、本計画に基づき各卸売販売業者が小売販売業者への売却操作を行うに必要なる各府県別の平均コストを基準にしてこれを定める。
三、実施の時期
卸売販売業者の業者登録の完了は、二月末日となるので、食糧事務所長は、三月上旬中に主要集散駅(港)の決定を行い、中旬より本計画に基き卸売販売業者への売却を行うものとする。
卸売販売業者は、三月下旬より小売販売業者(新設を含む)に対し主要食糧を売却し、新制度による小売販売業者の配給は四月一日以降とする