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昭和25年10月14日附地方行政調査委員会議の「国庫補助金制度等の改正に関する勧告」の取扱いに関する件

昭和26年2月20日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.139-142 当館請求記号:DG15-19

一、国庫補助金制度の改正
(一)国庫補助金制度の改正国庫補助金については地方行政調査委員会議の勧告の趣旨を尊重してこれを整理する。
(註)政府は国庫補助金については地方財政平衡交付金制度採用の当初から整理の方針を堅持し、昭和二十五年度においては約三百四億八千万円を地方財政平衡交付金に繰入れをした。
(二)昭和二十六年度においてはとりあえず次の措置を講ずる。
(イ)別表に掲げる国庫補助金はこれを廃止して地方財政平衡交付金に繰入れる。
(ロ)(イ)以外の国庫補助金については、昭和二十五年十二月の地方行政調査委員会議からの「市町村、都道府県および国相互間の事務の配分の調整に関する勧告」に対する政府の方針の確定にともない、廃止可能のものは逐次これを廃止して地方財政平衡交付金に繰入れるものとする。
(表省略)
二、災害復旧費の国庫負担制度の改正
災害復旧費の国庫負担制度については、地方行政調査委員会議の勧告の趣旨と現在の国家財政事晴とを勘案し次のとおり改める。
(一)本制度の対象とする災害復旧事業は
(イ)災害を受けた施設を原形に復旧する場合および
(ロ)災害を受けた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合にこれに代るべき最少限度の施設をする場合であって
(ハ)一箇所の工事の費用が十五万円以上のものとする。
(二)(一)の災害復旧事業の対象となる施設の範囲は概ね現状どおりとする。
(三)災害復旧費の国庫負担のために予算に計上する金額の算出方法および特別会計の新設に関する地方行政調査委員会議の勧告は、国家財政の現状からして、時期尚早と認められ実施し難い。
(四)災害復旧費の予算の配分は工事施行の緊急度を勘案し、当該工事の優先順位に応じて行うことができるものとする。
(五)河川、海岸堤防、砂防施設(山林砂防を含む)、道路、港湾および漁港の施設のうち地方公共団体又はその機関等が維持管理の責に任ずる公共土木施設にかかる災害復旧事業に対する国庫負担率は、当該地方公共団体の財政力とその区域内の発生災害規模との関連において、次のとおり整理を加えつつ、これを決定するものとする。
(イ)災害の復旧事業費所要額は各主務官庁において査定確定する。この場合年度の区分は暦年による。
(ロ)当年発生の災害についての(イ)による査定確定は、翌年三月末日までに終了し、その額の当該年度の標準税収入見込額に対する比率が
二分の一以下に相当する額の 三分の二
二分の一を越え二倍に達するまでの額の 四分の三
二倍を越える額の 全額
を国庫において負担するものとして、地方公共団体毎の国庫負担率を定める。
ただしこの負担率は原形復旧に代るべき最少限度の施設をする場合において、その事業費の原形復旧事業費相当額を超過する部分については適用しない。この部分に対する国庫負担率は一般改良工事の例による。
(ハ)(ロ)の場合において国庫負担率が確定するまでは、とりあえず三分の二の負担率により概算交付し、負担率が確定したときに当該年度内にその差額を精算交付する。
(ニ)昭和二十五年度以前において発生した災害の残事業については、(ロ)の制度に準じて各年災害にその国庫負担率を定める。
(六)公共土木施設以外の施設にかかわる災害復旧費の国庫負担については、概ね従前の制度によるが、定率補助を原則とする。
(七)災害復旧費の国庫負担額は、市町村等の分も含めて都道府県に交付し、市町村等に対しては都道府県がこれを交付するものとする。
(八)以上の趣旨により「都道府県災害土木費国庫負担に関する法律」および「昭和二十五年における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律」に代るべき法律を制定し、ならびに「農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律」に所要の改正を加えるものとする。
三、地方債制度の改正
地方行政調査委員会議の勧告の趣旨を尊重して明年度以降における地方債の許可制度および融資手続を簡略にするため、次の措置をとる。
(一)地方債を許可するに当っては、地方財政委員会と大蔵省との協議によって別に定める起債許可方針により行うものとする。
(二)当該年度の地方債発行総額を定め、これを一般公共事業分(失業対策事業分を合む。以下同じ。)、災害復旧事業分(公共及び単独分を含む。以下同じ。)および単独事業分に区分する。
(三)一般公共事業分と災害復旧事業分とについては、事業別の審査は行わないが、単独事業分に限っては、その性質上事業別の審査を行うものとする。
(四)都道府県(五大市を含む。)の起債の許可は、地方財政委員会が、次の方法により、大蔵大臣と協議して決定する。
イ、一般公共事業分については、一般公共事業費の負担額と財政状態とを考慮して、都道府県毎の起債許可予定額を決定する。
都道府県は、その起債許可予定額の範囲内で、適宜、事業別の起債額を定め地方財政委員会の許可を受ける。
ロ、災害復旧事業分については、災害復旧事業費の負担額を考慮して、都道府県毎の起債許可予定額を決定する。
都道府県は、その起債許可予定額の範囲内で、適宜、事業別の起債額を定め、地方財政委員会の許可を受ける。
ハ、単独事業分は、当該事業の緊急度及び財政状態並びに過去の起債実績等を勘案して、事業別に許可額を決定する。
大蔵省預金部は、地方財政委員会の大蔵大臣に対する起債許可の協議に当り、予め承諾をしたものについては起債許可あり次第速かに融資を実行するものとする。
(五)市町村(五大市を除く。)の起債の許可は、次の方法による。
1、地方財政委員会は、大蔵大臣と協議して、都道府県毎に、
イ、一般公共事業分
ロ、災害復旧事業分
ハ、単独事業分
の各事業区分につき、それぞれ、(四)のイ、ロ、ハ、の方法に準じて、起債許可額を決定する。
2、個々の市町村に対する許可は、右の各事業区分の起債許可予定額の範囲内において、且つ起債許可方針に基き、都道府県知事が(四)のイ、ロ、ハ、の方法に準じて決定する。
3、一市町村に、二以上の一般公共事業又は二以上の災害復旧事業がある場合において当該市町村が都道府県知事より割当てられた事業区分毎の起債許可予定額の範囲内において、適宜事業別の起債額を定め、許可を受け得ることは、都道府県の起債の場合と同様とする。
4、大蔵省預金部(地方財務局)は、都道府県知事が起債許可をするに当り、予め融資の承諾をしたものについては、速かに融資を実行するものとする。
(六)公募公債及び交付公債を許可額の枠外とすることは、当分の間困難である。