主食価格改訂方針

昭和26年7月18日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 各論1 食糧管理史編集委員会 食糧庁 1970.4 pp.430-431 当館請求記号:DM173-3

1 政府は生産者に対し次の価格を支払うものとする。
(1)26年度産麦の価格は,5月末パリティ価格に5パーセントの特別加算額を加えた想定米価に対し小麦64,裸麦69,大麦57の対米価比率で決定する。
(2)26年産米の価格は,9月末パリティ価格に5パーセントの特別加算額を加えて決定する。
(3)25年産米麦に対する追加払は,既定方針で実施する。
2 以上の方針により生産者に支払い生ずる予算の不足額は,消費者価格改訂の日から1ケ年間に消費者から徴集するように消費者価格を改訂する。
右による消費者価格改訂の時期は,8月1日とする。
3 右による食管会計の年度末における現金収支上の赤字は,一般会計から繰り入れるものとし,これは補正予算に組み入れる。
4 本年度予算補正に当っては,財源をまず次の諸施策に優先的に充当するものとする。
(1)主食の消費者価格値上りその他の事情に鑑み,公務員の給与を引き上げる。
(2)個人所得税の軽減など,租税負担の調整を目途として税制を改正する。
5 右の方針に基き算出した結果次の通り,
(1)生産者価格(パリティ指数は,5月末238.34確定,9月末250と想定)
26年産米(石当裸)      7,030円
小麦(60キロ当裸)      1,714円
裸麦(  〃  )      1,848円
大麦(45キロ当裸)      1,145円
(2)消費者価格
内地精米  10キロ当     620円
外米     〃      555円
小麦粉    〃        485円
精麦     〃        485円
値上率       18.46%
(3)一般会計負担額
(イ)食管会計赤字        171億円
(ロ)輸入補給金増   (1)   13億円
(ハ)計             158億円
註 小麦協定による輸入補給金節約18億円を見込む。

備考
生産者価格の特別加算削減に対応し,農家の所得税の減額,農業融資及び財政支出の増加の措置を講じ,農家の再生産確保について遺憾なきを期す。