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昭和26年度補正予算に伴う税制改正に関する要綱

昭和26年10月5日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.231-232 当館請求記号:DG15-19

最近における国民所得及び物価等の動向に鑑み、所得税の負担の軽減合理化を行うとともに、法人税の負担の適正を図るため、昭和二十六年度補正予算に関連して、次のとおり税制を改正するものとする。
一、所得税
(一)所得税の控除及び税率については、概ね昭和二十六年八月より次のとおり改正を行う趣旨により所得税法の臨時特例を設けるものとする。
(イ)基礎控除額を五万円(現行三万円)に引き上げること。
(ロ)扶養控除額を扶養親族三人までは、一人につき二万円(現行一万五千円)に引き上げること。
(ハ)税率適用上の階級区分の刻みを次の如く緩かにすること。
課税総所得
八万円以下の金額    百分の二十(現行五万円以下の金額
百分の二十
現行五万円をこえる金額
百分の二十五)
八万円をこえる金額   百分の二十五(現行十万円をこえる金額
百分の三十)
十二万円をこえる金額  百分の三十(現行十五万円をこえる金額
百分の三十五)
二十万円をこえる金額  百分の三十五(現行二十万円をこえる金額
百分の四十
三十万円をこえる金額  百分の四十(現行三十万円をこえる金額
百分の四十五)
五十万円をこえる金額  百分の四十五(現行五十万円をこえる金額
百分の五十)
百万円をこえる金額   百分の五十(現行百万円をこえる金額
百分の五十五)
二百万円をこえる金額  百分の五十五
(二)昭和二十七年一月一日以後支給される退職所得については、退職所得を他の所得と分別して課税し、十五万円程度の特別控除をした後の所得の半額に一般の税率を適用するものとする。
(三)昭和二十五年一月一日以後支払の確定する配当所得に対しては、支払の際百分の二十の税率により源泉徴収を行うものとし、この源泉徴収税額は申告の際現在の配当、控除の外に控除するものとする。
二、法人税
(一)昭和二十七年一月一日以後終了する事業年度分から税率を百分の四十二(現行百分の三十五)に引き上げる。但し特別法人等に対する税率は現行どおり据置くものとする。
(二)昭和二十八年九月一日以後終了する事業年度分に対する法人税については、その半額を申請により三月間徴収猶予するものとする。なお、徴収猶予する場合においては、日歩四銭の利子税を徴するものとする。
(三)青色申告書を提出する法人の退職手当積立金であって一定の条件を具備するものについては、これを積立てた年度の損金に算入するものとする。
(四)重要産業の近代化を一層促進するため特定の機械設備等を取得した場合の特別償却の制度を一層合理化するものとする。