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主食の統制撤廃に関する措置要綱

昭和26年10月25日 閣議決定

収載資料:食糧管理史 V 制度篇 各論(下) 食糧庁食糧管理史編纂室・統計研究会食糧管理史研究会編 統計研究会 1958 pp.245-247 当館請求記号:611.31-Sy9576s-T

一、主食の統制撤廃は、左の順序によつてこれを実施する。
(一)麦は、二十七年一月一日以降自由販売とすること。
(二)本年産米の供出割当数量の供出完了後は、自由販売とすること。
(三)米の配給は、二十七年三月まで現行の基準量及び配給様式によつて配給を継続すること。
二、当面の配給操作のためとるべき措置
当面の需給操作に支障を生ぜしめないように、本年産米の集荷については左の措置を講ずる。
(一)本年産米は、概ね、二千五百万石の供出割当をすること。
(二)供出の督励には、格段の努力をするとともに、ヤミ米の移動取締を厳重にすること。
三、撤廃後の措置については左の方針による。
(一)食糧需給調整法の制定並びに穀物市場の設置
(1)新たに食糧需給調整法を制定し、食糧管理法は、これを廃止するものとする。
食糧需給調整法の主要な内容は次の通りとする。
(イ)国内産米麦について、生産者の売渡申込があるときは、政府は一定価格でこれに買応ずるものとすること。
(ロ)政府は需給調整上必要ありと認めるときは、米穀を買入れることができるものとすること。
(ハ)米麦及び小麦粉の輸出又は輸入は、政府の許可を受けなければならないものとすること。
輸入した米麦は、政府に売渡さなければならないものとすること。
(ニ)輸入米麦については、輸入補給金を支出するものとすること。
(ホ)政府は、買入れた米麦を米麦の需給及び価格の安定のため売渡すものとすること。
(2)食糧管理特別会計法を食糧需給特別会計法と改め、新会計は旧会計の内容を引き継ぐものとすること。
(3)実物取引を行うため穀物市場の育成を計るが、清算取引は行わしめないものとする。
(二)金融対策
(1)生産金融
肥料等の生産資材購入のため必要な資金については、現行の農業手形制度に所要の改善を加え融資の円滑を図ること。
(2)流通金融
米麦の出荷を円滑にし、価格の季節的変動を調節するため、農協の買付運転資金及び保管資金を確保することとし、農林中央金庫の活用、日本銀行の金融市場調整の機能の発揮を図る外、農林中央金庫に対する財政資金の融通等の措置を講ずること。
米穀商等が必要とする資金については、市中銀行、商工中金等の活用、日本銀行の金融市場調整の機能の発揮を図る等の措置を講ずること。

閣議了解事項
「主食の統制撤廃に関する措置要綱」の決定に関連し左の通り了解する。
一、本年産米価は、概ね石七、〇三〇円程度に決定し、供出されたものに対して今後パ
リテイ指数が上昇すれば当然来年度追加払を行うこと。
二、明年度食糧証券の発行限度は、概ね現行通りとすること。
三、農業倉庫の新設改修のために融資を行うこと。
四、主食の消費者価格の安定については差当り食糧輸入の増強を図る(約三〇万トン)等特別の措置を考慮すること。

なお、供出割当数量は、当初は二、五〇〇万石としたが、その後ルース台風等による被害を見込んで二、三五〇万石とすることとした。