本文に飛ぶ

経済協力の促進に関する件

昭和26年11月16日 閣議了解

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.591-592 当館請求記号:DG15-19

講和条約の成立に伴い、わが国経済力を急速に充実整備し、且つ、国際経済に参加協力することが必要であるから、国際的経済協力に関する諸問題の統一的且つ急速な処理を図るため次の措置を講ずる。
一、経済安定本部における本件に関する総合企画及び調整の機能を充実するため部内の機構を整備強化する。
各省との施策の調整を円滑ならしめるため、経済安定本部に経済協力連絡会を置く。
経済協力連絡会は、経済安定本部、外務省、大蔵省、通商産業省、農林省、運輸省、労働省、外国為替管理委員会、日本銀行、目本開発銀行及び日本輸出銀行を代表する委員を以て構成し、会長は経済安定本部総務長官とする。その他必要に応じて関係各省の代表者、民間有識者等の出席を求めることとする。
二、本機構は、米国において本件に関する在日処理機関が設置される場合においては、これに対応するものとする。
三、本機構において処理する事務は、次の通りとする。
(一)日米経済協力に関する事項
(1)輸入期待物資の確保に関する事項
(例えば、需要調査、輸入要請量の決定、流用防止、使用制限等)
(2)米国その他民主自由国家に対する輸出物資の確保に関する事項
(例えば、輸出余力及びこれに関連して生産力の調査、仕向地域別数量の決定等)
(3)緊要輸出入物資の生産増強及び国内需要との調整に関する事項
(例えば、鉄鋼、アルミニューム等の増産及び内需等との調整等)
(4)緊要輸出入物資の価格の調整に関する事項
(例えば、鉄鋼、アルミニューム等の輸出価格の調整等)
(5)緊要輸出入物資の生産、輸出入等の規模の拡大に伴う資金の確保に関する事項
(6)その他日米経済協力の促進に関する事項
(二)東南アジア地域の開発に関する事項
(1)鉄鉱石その他鉱物資源及び食糧その他農林資源輸入量の増加に関する事項
(2)東南アジア向け輸出の増加、特に(1)に関連した鉱山機械、輸送用施設、肥料、農機具等の輸出の増加及び技術の提携に関する事項
(3)東南アジア開発資金の確保に関する事項
(4)その他東南アジア地域開発に関する事項
(例えば、輸出銀行の活用等)