企業合理化促進法案に関する件
閣議決定年
昭和26年11月26日 閣議了解
収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.590-591 当館請求記号:DG15-19
右については、別紙一要綱案により別紙二(II)法案のとおり自由党の議員提出で本臨時国会に提出されることとなりましたので、御了知願います。
(別紙 一)
企業合理化促進法案要綱(昭二六、二、二通商産業省・大蔵省)
一、目的
本法は、技術の向上及び重要産業の機械設備等の急速な近代化の促進並びに原材料、動力の原単位の改善を指導勧奨すること等によって企業の合理化を促進し、日本経済の自立達成に資することを目的とすること。
二、技術向上の促進
(一)鉱工業等に関する技術の研究、工業化試験又は新規の機械設備等の試作のため、政府の助成を受けようとする試験研究者は、申請書を政府に提出することを要するものとすること。
(二)政府は、前項の申請書を受理した場合においてこれを適当と認めるときは、左の各号に掲げる措置をとることができるものとすること。
(1)予算の範囲内において、その経費の一部を補助金として交付すること。
(2)政府の所有する施設を貸与すること。
(3)(一)の試験研究のための設備の取得が緊急を要する試験研究のために必要である旨の証明書を交付すること。
(三)前項の証明を受けた設備を一定期間内に取得した試験研究者に対しては、当該設備の取得のために支出した金額は、所得税法又は法人税法の規定による所得の計算上、必要な経費又は損金に算入するものとすること。
(四)特定の試験研究施設については、条例の定めるところにより固定資産税を減免することができるものとすること。
三、機械設備等の近代化の促進
(一)機械設備等を緊急に近代化する必要のある重要産業に属する事業で政令で定めるものを営む者が取得し又は製作した特定の機械設備等については、租税特別措置法の定めるところにより特別償却を行うことができるものとすること。
(二)(一)の特定の機械設備等については、条例の定めるところにより固定資産税を減免することができるものとすること。
四、産業関連施設の整備
(一)事業者は、企業の合理化に資するため必要な道路又は港湾施設の建設、改良、維持又は復旧を道路又は港湾の管理者に対して申請することができるものとすること。
(二)前項の申請に基き、国又は道路若しくは港湾の管理者は、必要があると認めるときは、予算の範囲内において、道路法、港湾法又は漁港法の定めるところによりその工事を行うことができる。この場合においては、事業者にその受益の限度において工事に要する費用の一部を負担させることができるものとすること。
(三)国は、前項の規定により道路又は港湾の管理者の行う工事に要する費用については、道路法、港湾法又は漁港法の定めるところにより予算の範囲内において、その全部若しくは一部を負担し又は補助することができるものとすること。
五、原単位の改善
(一)政府は、鉱工業品について、工場等における原材料又は動力の原単位の改善を促進するため必要があると認めるときは、目標となるべき原単位を公表することができるものとすること。
(二)政府は、必要があると認めるときは、定期的に或いは随時、事業者に対し、原単位の状況を報告させることができるものとすること。
(三)政府は、原単位の改善を促進するため、必要があると認めるときは、工場等に対し、必要な指導勧奨を行うことができるものとすること。
六、中小企業に対する診断及び勧告等
(一)地方公共団体は、中小企業者の申出により、当該企業の診断を行い、その合理化に関して必要な勧告をすることができるものとすること。
(二)政府は、前項の診断及び勧告を行う地方公共団体に対して、予算の範囲内において、その経費の一部を補助金として交付することができるものとすること。
七、租税特別措置法による特別償却
租税特別措置法の一部を改正して、三、の特定の機械設備等を取得して事業の用に供した専業者等は、その取得したときに、一般の償却に替え、取得価額の二分の一以下に相当する金額を特別償却することができるものとすること。
(別紙二 省略―編者)