駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱

昭和27年7月4日 改正 昭和27年7月4日  閣議了解
昭和35年7月1日  閣議了解
昭和37年10月26日 閣議了解

収載資料:防衛施設庁関係法令集(訓令編) 平成3年版 防衛施設庁総務部総務課 第一法規 1993.3 pp.522-536 当館請求記号:CZ-675-5

(目次省略)

第1章 総則
(目的)
第1条 コノ要綱ハ、日本国トアメリカ合衆国トノ間ノ安全保障条約第3条ニ基ク行政協定オヨビ日本国トアメリカ合衆国トノ間ノ相互協力及ビ安全保障条約第六条ニ基ヅク施設及ビ区域並ビニ日本国ニオケル合衆国軍隊ノ地位ニ関スル協定ノ実施ニ伴イ土地等ヲアメリカ合衆国軍隊(以下「駐留軍」トイウ。)ノ用ニ供スルコトニヨリ生ズル賃借料、買収価額オヨビ損失ノ補償額ナラビニ駐留軍ノ用ニ供シナクナツタ土地等ノ返還ニ伴ウ損失ノ補償僕額オヨビ利得ノ納付額ノ算定基準ニツイテ定メルコトヲ目的トスル。
(定義)
第2条 コノ要綱ニオイテ「土地等」トハ、日本国トアメリカ合衆国トノ間ノ相互協力及ビ安全保障条約第六条ニ基ヅク施設及ビ区域並ビニ日本国ニオケル合衆国軍隊ノ地位ニ関スル協定ノ実施ニ伴ウ土地等ノ使用等ニ関スル特別措置法(昭和27年法律第140号)ノ第2条ニ規定スル財産ヲイウ。
2 「使用」トハ、当該土地等ヲ駐留軍ノ用ニ供スルタメ国ガ賃借スルコトヲイウ。
3 「使用等」トハ、土地等ヲ駐留軍ノ用ニ供スルタメ国ガ賃借マタハ買収スルコトヲイウ。
(評価ノ時期オヨビ価格)
第3条 コノ要綱ニヨル土地等ノ使用等ニ伴ウ賃借料、買収価格マタハ損失補償額ハ、賃借ニヨルモノニアツテハ使用開始時ノ時マタハ契約更改ノ時、買収ニヨルモノニアツテハ買収ノ時、使用中ノ中間補償、測量、調査等オヨビ使用ノ廃止マタハ変更ニヨルモノニアツテハソノ損失発生ノ時ノ価格ニヨリ算定スル。
2 使用サレタ土地等ノ形質変更ニヨル損失補償額オヨビ建物ノ形質変更ニヨル利得納付額ハ、ソノ土地等ノ返還ノ時ノ価格ニヨリ算定スル。
3 価格ニツイテ地代家賃統制令ソノ他法令ニ定メノアルモノニツイテハ、ソノ法令ノ定メル額ノ範囲内ノ価格ニヨル。
4 コノ要綱ニヨツテ算定シタ土地等ノ賃借料マタハ買収価格ハ、前項ニヨルモノヲ除キ、ソノ土地等オヨビ近傍類似ノ土地等ノ地代、家賃、売買価額等ヲ考慮シテ適正ニ補正シナケレバナラナイ。
(本庁協議)
第4条 防衛施設局長ハ、賃借料、買収価額、損失補償額マタハ利得納付額ノ算定ニツキ、コノ要綱ニソノ基準ガナイモノマタハ特殊異例ニワタルモノニツイテハ、防衛施設庁長官ニ協議ノ上決定シナケレバナラナイ。

第2章 土地等ノ使用ニヨル賃借料オヨビ損失補償額
第1節 賃借料
(算定ノ基準)
第5条 土地等ヲ使用スル場合ニハ、コノ節ニ定メル基準ニヨリ1箇年分ノ賃借料相当額ヲ算定シ、使用期間ニ対応スル額ヲ賃借料トスル。タダシ、収穫季節ノアル土地ヲ1箇年未満使用スルトキハ、コノ節ニヨリ算定シタ額ヲ当該使用期間ニ対スル賃借料トスル。
(土地)
第6条 土地(農地オヨビ営業用土地ヲ除ク。以下コノ条ニツイテ同ジ。)ノ賃借料ハ、統制額ノナイ場合ニオイテハ、使用時ノ属スル年度ノ固定資産課税台帳ニ登録サレタ価格(以下「登録価格」トイウ。)ニ、土地資本ニ対スル年利回リヲ乗ジテ得タ額ト固定資産税額トノ合計額トスル。
2 固定資産税ガ賦課サレテイナイ土地ニツイテハ、近傍類似ノ土地ノ坪当リ価格ニ準ジテ算定シタ土地価格ニ、土地資本ニ対スル年利回リヲ乗ジテ得タ額トスル。
3 駐留軍ノ用ニ供スルタメ登録価格ヲ特別ニ減価シテイル場合ハ、前項ニ準ジテ算出シタ額ト固定資産税額トノ合計額トスル。
4 地方公共団体ノ条例ニヨリ坪当リ地代ガ規定サレテイル場合ハ、ソノ坪当リ地代ニソノ土地ノ坪数ヲ乗ジテ得タ額ノ範囲内トスル。
(農地)
第7条 農地ノ賃借料ハ、次ノ各号ニヨリ算定シタ額トスル。
一 土地台帳ノ地目ニ関係ナク農耕地、採草地、放牧地等トシテ利用サレテイル土地デ、使用ニヨリ農業経営ガ不能トナル場合ハ、使用スル土地ノ農業経営カラ得ラレル一切ノ推定農業収入カラ、支出スべキ推定農業経営費ヲ控除シタ推定年間農業所得ノ80%ノ額
1 農業収入ハ、農業経営カラ得ラレル全収入デ、農作物ノ販売代金、養畜、養蚕オヨビソノ他ノ農業雑収入ノ合計額トスル。
2 農業経営費ハ、農業収入ヲ挙ゲルニ要スルスベテノ費用デアツテ、ソノオモナモノハ次ノトオリデアル。
(1) 種苗費(2)肥料費(3)雇用労務費(4)防除費(5)農具ノ減価償却費等 (6)水利費(7)畜力費(8)動力費(9)農業用建物オヨビ工作物ノ減価償却費等
二 使用スル土地ノ一部マタハ全部ニツイテ農業経営ガ可能デアルトキハ、前号ノ推定農業所得額ヨリソノ農業経営ニヨツテ得ラレル推定農業所得額ヲ控除シテ得タ額ノ80%ノ額
(建物)
第8条 建物(附帯設備ヲ含ム。以下同ジ。)ノ賃借料ハ、統制額ノナイ場合ニオイテハ、次ノ各号ニヨリ算定シタ建物ノ純家賃ト地代相当額トノ合計額トスル。
一 建物ノ純家賃借ハ、登録価格ニ建物資本ニ対スル年利回リヲ乗ジテ得タ額ト固定資産税額ト減価償却費オヨビ火災保険料相当額トノ合計額
二 固定資産税ガ賦課サレテイナイ建物ノ純家賃ハ、近傍類似ノ建物ノ坪当リ価格ニ準ジテ算定シタ建物価格ニ建物資本ニ対スル年利廻リヲ乗ジテ得タ額ト減価償却費オヨビ火災保険料相当額トノ合計額
三 駐留軍ノ用ニ供スルタメ登録価格ヲ特別ニ減価シテイル建物ノ純家賃ハ、前号ニ準ジテ算出シタ額ト個定資産税額トノ合計額
四 地代相当額ハ、ソノ建物ノ敷地ニツイテ第6条ニヨリ算定シタ額
(建物ノー部)
第9条 建物ノ一部ニツイテノ賃借料ハ、前条ニヨリ算出シタ建物全部ニツイテノ賃借料ニ建物全部ノ専用面積ニ対スルソノ一部ノ専用面積ノ比率ヲ乗ジテ得タ額トスル。
(工作物オヨビ設備)
第10条 工作物オヨビ設備ノ賃借料ハ、第8条ニ準ジテ算定シタ額トスル。
(動産)
第11条 動産ノ賃借料ハ、必要経費ト火災保険料トノ合計額トスル。タダシ、事業用動産デ固定資産税ガ賦課サレテイル場合ハ、ソノ税額ヲ加算スル。
2 動産ノ必要経費ハ、時価ニ動産資本ニ対スル利廻リヲ乗ジテ得タ額ト減価償却額トノ合計額トスル。
(営業用ノ土地等)
第12条 営業用ノ土地等ノ使用ニヨリ使用期間中他ニ転ジテ営業ヲ行ナウコトガ客観的ニ不能トナル場合ノ当該土地等ノ賃借料ハ、第6条、第8条ナイシ第11条ニ準ジ算出シタ額ニ当該営業ノ推定年間純益額ノウチ、当該営業用土地等ガ挙ゲ得ベキ部分ノ額ヲ加算スル。タダシ、自家営業ノ場合ノ推定年間純益額ニハ、自家労務費ノ80%ノ額ヲ含ム。
第2節 使用開始ニ伴ウ損失補償額
(立毛)
第13条 使用スル土地ニオケル立毛ニ対スル損失補償額ハ、次ノ各号ニヨリ算定シタ額トスル。
一 農作物ニツイテハ、当該農作物ノ粗収入見込額カラ、使用開始時以後ニ通常投下サレルベキ当該農業経営費ヲ差シ引イタ額
二 移植可能ノ果樹、桑樹マタハ茶樹等ノ永年生作物ニツイテハ、移植ニ要スル費用(堀起シ、運搬オヨビ植付費用)ト収穫ノ減損予想額トノ合計額
移植不能ノモノニツイテハ、前号ヲ準用シテ算出シタ額
三 採草地、放牧地ニオケル牧草、落葉ニツイテハ、前3年間ノ平均採草量ヲ基礎トシタ粗収入見込額カラ使用開始時以後ニ通常投下サレルベキ経営費ヲ差シ引イタ額
四 移植不能ノ特産物(松茸等)ニツイテハ、第一号ニ準ジテ算出シタ額
移転可能ノ特産物(椎茸等)ニツイテハ、移転ニ要スル荷造費、運搬費オヨビ収穫ノ減損予想額、ソノ他必要ナ経費ノ合計額。タダシ、当該特産物ノ榾木等ノ価格ヲコエナイ額トスル。
(立木竹オヨビ永年生作物)
第14条 使用スル土地ニアル立木竹ヲ伐採、除却スル場合ノ損失補償額ハ、次ノ各号ニヨリ算定シタ額トスル。
一 用材林ノ立木
1 伐期(地方慣行ノ最低伐期。以下同ジ)以上ノ森林ノ立木価格ハ、樹種別ニ定メル評定単価ヲ当該樹種材積ニ乗ジテ得タ額ト未木、枝条、樹皮等ノ副産物ノ価格トノ合計額トスル。
(註)
(数式省略)
X=評定評価   A=素材ノ最寄市場単価
P=伐採事業ノ総資本月収益率
F=利用率 n=資本回収期間
B=素材ノ単位材積当リノ事業費ノ合計額
2 伐期未満ノ森林ノ立木価額ハ、当該林令マデノ毎年ノ造林等ノ経費ノ、当該森林ノ収益率ニヨル当該林令マデノ元利合計額トスル。タダシ、用材トシテノ市場価格ノアル場合ハ、前号ニヨル。
二 薪炭林ノ立木価格ハ、幹、枝条部オヨビ台木ニツイテ、ソレゾレ算出スル。
1 伐期以上ノ森林ノ幹、枝条部ニツイテハ、前号1ニ準ジテ算出シタ額。
2 伐期未満ノ森林ノ幹、枝条部ニツイテハ、当該立木ノ伐期ニオケル収入見込額ニ現在林令卜伐期林令トノ比ヲ乗ジテ算出シタ額
3 台木ノ価格ハ、耐用年数ニ応ジテ将来ノ各伐期ニオケル純収益見込額ヲ、年利廻リニヨツテ除シテ得夕額ノ合計額
三 対象林分ノ立木ガ用薪混合シテ存在スルトキハ、用薪別ニ、ソレゾレ前各号ノ規定ヲ準用シテ算出シタ額ノ合計額
四 竹林ノ価額ハ、竹林、筍オヨビ根茎ニツイテ、ソレゾレ算出スル。
1 竹材オヨビ筍ニツイテハ、ソノ採取ノ時期ニアルモノニツキソノ山渡価格
2 根茎ニツイテハ、当該竹林ヨリ挙ゲ得べキ1年間ノ平均純収益ヲ年利廻リデ除シテ得タ額
五 果樹、桑樹マタハ茶樹等ノ永年生作物ニツイテハ、富裕税課税ノ場合ノ評価方法ニヨリ算出シタ額
六 前各号ノイズレニモ属サナイ立木竹ニツイテハ、類似スル各号ノ規定ヲ準用シテ算出シタ額
七 前各号ノ立木竹伐採除却ノ際、ソノ所有者ガ伐採除却スルトキハ、伐採除却ニ要シタ費用ヲ加算シ、所有者ガ伐採除却ニヨリ発生スル材料ヲ取得スル場合ハ、当該発生材ノ価額ヲ控除スル。
(立木竹ノ移植)
第15条 使用スル土地ニアル立木竹ヲ移植スル場合ハ、移植ニ要スル費用(堀起シ、運搬オヨビ植付費用)ヲ損失補償額トスル。タダシ、当該立木竹ノ価額ヲコエナイ額トスル。
(建物、工作物オヨビ設備ノ移転マタハ移築)
第16条 使用スル土地ニアル建物、工作物オヨビ設備ヲ移転マタハ移築スルトキハ、ソノ移転マタハ移築ニ要スル費用ヲ損失補償額トスル。タダシ、移転マタハ移築ノ費用ハ、当該建物、工作物オヨビ設備ノ推定再建築費マタハ再取得価額ヲ使用開始時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額ヲコエナイ額トスル。
(建物、工作物オヨビ設備ノ除却)
第17 条使用スル土地ニアル建物、工作物オヨビ設備ヲ除却スルトキハ、次ノ第1号ト第2号ノ合計額カラ第3号ノ額ヲ控除シタ額ヲ損失補償額トスル。
一 建物、工作物オヨビ設備ノ価額ハ、推定再建築費マタハ再取得価額ヲ使用開始時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額
二 建物、工作物オヨビ設備ノ取リコワシト運搬ニ要スル費用トノ合計額。タダシ、前号ノ額ヲコエナイ額トスル。
三 建物、工作物オヨビ設備ノ除却ニヨリ生ズル残材ノウチ利用シ得ル部分ノ価額
(動産ノ移転)
第18条 使用スル土地等ニアル動産ヲ移転スル場合ハ、当該動産ヲ移転スルニ要スル荷造費卜運搬費オヨビソノ他必要ナ経費トノ合計額ヲ損失補償額トスル。タダシ、移転費ハ、当該動産ノ新品取得価額ヲ使用開始時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額ヲコエナイ額トスル。
(移転旅費)
第19条 使用スル土地等カラ人員ガ移転スル場合ハ、ソノ移転ニ要スル船、車馬賃等ヲ損失補償額トスル。
(漁業補償)
第20条 使用ニヨリ漁業権マタハ入漁権ガ行使制限ヲ受ケテ損失ガ生ズルトキハ、次ノ各号ニヨリ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
一 漁業権マタハ入漁権ニ基ヅク漁業ニツイテハ、当該行使制限期間ノ平年漁業所得額カラ推定漁業所得額ヲ差シ引イタ額ノ80%ノ額
1 平年漁業所得額トハ、権利ノ行使制限前ノ3年以上ノ平均漁獲数量ヲ権利ノ行使制限期間ニ対応スル期間ニツキ算定シ、コレニ使用開始時ノ魚価ヲ乗ジテ得タ額カラ使用開始時ノ価格ニヨルソノ期間ノ漁業経営費ヲ控除シタ額トスル。
2 推定漁業所得額トハ、使用開始時ニオケル権利ノ行使制限期間ノ推定漁獲数量ニ使用開始時ノ魚価ヲ乗ジテ得タ額カラ使用開始後ノソノ期間ニ対応スル推定漁業経営費ヲ控除シタ額トスル。
3 漁業経営費ノオモナモノハ、次ノトオリデアル。
(1) 漁船ノ減価償却費(2)漁船修理費(3)船具費 (4) 綿漁網綱、マニラ麻製品ソノ他ノ漁具費(5)燃油費(6)雇用労務費(7)建物オヨビ工作物ノ減価償却費(8)販売手数量(9)養殖ノタメノ稚貝ソノ他ノ種代
漁業経営費ハ、共同オヨビ区画漁業権等漁業協同組合ノ組合員各自ガ単独ニ権利ヲ行使シテ漁業ヲ営ムモノニツイテハ、組合単位ニ算定スル。
二 前号ノ業者ニ雇用サレル者ガ、使用ニヨリ就労ヲ制限サレ、ソノ支給サレル賃金ガ平均賃金ノ80%ニ達シナイ場合ハ、ソノ差額
三 制限水域デ養殖中ノモノヲ収穫スルコトガ不可能トナル場合ハ、ソノ養殖中ノモノノ粗収入見込額カラ使用始時以後ニ通常投下サレルべキ漁業経営費ヲ差シ引イタ額
四 制限水域デ養殖中ノモノヲ他ノ水域ニ移転スルコトガ必要トナル場合ハ、ソノ移転ニ用スル経費オヨビソノ収穫ノ減損予想額ノ合計額
(ソノ他ノ権利)
第21条 使用ニヨリ耕作権オヨビ漁業権、入漁権ヲ除キ、土地収用法第5条ニイウ権利ガ行使制限ヲ受ケテ損失ヲ生ズルトキハ、個々ノ実情ニ応ジテ適正ニ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(休業補償)
第22条 使用ニヨリ店舗、営業所マタハ事業場(以下「事業所」トイウ。)ガ一時休業スル場合ハ、事業所ガ移転ノタメ通常必要トスル休業期間ニ応ズル当該営業ノ予想純益額(自家営業ノ場合ハ、第12条ノタダシ書ニ同ジ。)ヲ営業上ノ損失補償額トスル。
(兼業オヨビ副業ノ休業補償)
第23条 土地等ガ、兼業マタハ副業ヲ営ムタメニ利用サレテイル場合ニ、使用ニヨリソノ兼業マタハ副業ヲー時休業スル場合ハ、ソノ移転ノタノ通常必要トスル休業期間ニ応ズル兼業マタハ副業ニヨツテ得ラレル予想純益額(自家営業ノ場合ハ、第12条ノタダシ書ニ同ジ。)ヲ損失補償額トスル。
(休業手当)
第24条 使用ニヨリ事業所ガ他ニ移転スル期間、事業主ガヤムヲ得ズ従業員ヲ就労サセルコトガデキナイ場合ニ、従業員ニ対シテ休業手当ヲ支給スルトキハ、当該従業員ノ平均賃金ノ80%ニ前条ノ休業期間ヲ乗ジテ得タ額ヲ損失補償額トスル。
(解雇予告手当)
第25条 使用ニヨリ事業ヲヤムヲ得ズ縮少マタハ廃止スルタメ、事業主ガ従業員ヲ解雇シ、解雇予告手当ヲ支給スルトキハ、事業主ガ従業員ニ対シテ支給スル解雇予告手当相当額ヲ損失補償額トスル。
2 前項ノ解雇予告ノ日ハ、防衛施設局長マタハソノ代理者ガ当該事業ノ事業主又ハ責任者ニ対シテ使用ノ通知ヲシ夕日カラ1週間ヲ経過シタ日トスル。
(退職手当)
第26条 労働基準法第8条ノ適用ヲ受ケル事業ガ使用ニヨリ当該事業所ニ替ワルベキ移転先ガナイタメ、事業ヲ縮少マタハ廃止スルコトニヨリ、ヤムヲ得ズ事業主ガ従業員ヲ解雇スル場合デ、事業主ガ退職手当ノ支給ニツイテ労働協約、就業規則等ニヨリ支払義務ヲ負担シテイルトキハ、事業主ガ当該従業員ニ対シテ支払ウベキ退職手当相当額ヨリ事業主ガ当該従業員ニ対シテ積立テテイル退職手当積立金相当額ヲ控除シタ額ヲ損失補償額トスル。タダシ、労働協約、就業規則等ガ使用サレルコトヲ見越シテ変要サレタト認メラレル場合ハ、変更前ノモノニヨル。
(仕掛品)
第27条 使用ニヨリ事業ノ継続ガ客観的ニ不可能トナリ当該事業所ノ生産オヨビ加工ノ過程ニアル仕掛品ノ完成ヲ妨ゲル場合ハ、当該仕掛品ノ原材料費ト加工費トノ合計額カラソノ残存価額ヲ控除シタ額ヲ損失補償額トスル。
(固定経費)
第28条 第22条ノ休業期間中、事業主ノ負担トナル当該事業所ノ公租公課、光熱オヨビ水道ノ基本料金マタハ従業員ノ法定福利費等ノ通常支出スベキ固定経費相当額ヲ損失補償額トスル。
(移転雑費)
第29条 使用ニヨリ移転スル場合ハ、広告費、交通費オヨビ仲介料等ノ経費ノウチ、必要ト認メラレル経費相当額ヲ損失補償額トスル。
第3節 使用中ノ中間補償額
(中間補償)
第30条 使用中ノ土地等ノー部(独立シタ物件ニ限ル。)マタハ立木竹オヨビ永年生作物ガ滅失(焼失、倒壊、除却、枯死)シタトキハ、次ノ各号ニヨリ算定シタ額ヲ損失補償額トスル。
一 独立シタ工作物ノ滅失シタモノニツイテハ、第17条ヲ準用シテ算出シタ額
二 動産ノ滅失シタモノニツイテハ、当該動産ノ新品取得価額ヲ滅失時マデノ期間経年減価シタ額
三 立木竹ノ滅失シタモノニツイテハ、次ノ各号ニヨリ算出シタ額トスル。
1 滅失シタ立木竹デ搬出可能ノ場合ハ、第14条ニ準ジテ算出シタ当該立木竹ノ価額ヨリ搬出可能ナ部分ノ価額ヲ控除シタ額
2 滅失シタ立木竹デ残存部分ノナイ場合オヨビ搬出不能ノ場合ハ、第14条ニ準ジテ算出シタ当該立木竹ノ価額。タダシ、立木竹ノ補償ヲシタ場合、当該補償金ニ対応スル残存物件ノ所有権ハ国ニ属スルモノトスル。
2 使用中ノ土地ニアル立毛マタハ永年生作物ニ対シ損失ガアツタ場合ハ、第13条ヲ準用シテ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
3 使用シタ土地ニアル被弾立木竹デ伐採搬出可能ナモノニツイテハ、ソノキ損ノ程度割合ニ応ジテ適正ニ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(工作物ノ修理費)
第31条 使用中ノ土地ニオイテ利用シテイル水路ソノ他ノ工作物ノキ損シタモノニツイテハソノ補修ニ要スル工事費ヲ損失補償額トスル。
第4節 返還ニ伴ウ損失補償額オヨビ利得納付額
(土地)
第32条 使用シタ土地ヲ返還スルトキ当該土地ヲ原状ニ回復スルコトヲ必要ト認メル場合ハ、現状回復ニ要スル費用ノ額ヲ損失補償額トスル。
2 使用シタ土地ヲ原状回復シナイデ返還時ノ現状ノママ引キ渡ストキハ、当該土地ノ形質変更ニヨツテ生ジタ損失ヲ適正ニ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(建物、工作物オヨビ設備)
第33条 使用シタ建物、工作物オヨビ設備ヲ返還スル場合ハ、当該建物、工作物オヨビ設備ニツキ次ノ各号ノ価額ヲ算定スル。
一 返還財産ヲ使用開始時ノ状態ニ回復スルコトヲ必要ト認メル場合、ソノ原状回復ニ要スル額(原状回復額)オヨビコノ場合ニ発生スル残材ノウチ、利用シ得ル部分ノ価額(発生材価額)
二 返還財産ヲ現状ノママ引キ渡スコトガ社会経済上合理的デアルト認メル箇所ニオケル次ノ価額
1 使用開始時ノ状況ニオケル返還時ノ価額(開始時価額)
2 返還財産ノ価額(返還時価額)
3 瑕疵アル場合ニオケル補修ニ要スル費用(補修費)オヨビコノ場合ニオケル発生材ノ価額(発生材価額)
2 前項各号ニ定メル原状回復額、開始時価額、補修費ノ合計額ガ返還時価額、発生材価額ノ合計額ヲコエル場合ハ、ソノ差額ヲ損失補償額トシ、返還時価額ト発生材価額トノ合計額ガ原状回復額、開始時価額オヨビ補修費ノ合計額ヲコエル場合ハ、ソノ差額ヲ利得納付額トスル。
(動産)
第34条 使用シタ動産ヲ返還スル場合ノ損失補償額ハ、当該動産ノ返還時ノ状況ニ応ジ、次ノ各号ニヨリ算定シタ額トスル。
一 滅失シタ動産ニツイテハ、第30条第2号ニ準ジテ算出シタ額
ニ 破損シタ動産ニツイテハ、返還時ノ価額ニ返還時ノ破損状況ニ基ヅキ算定シタ破損割合ヲ乗ジテ得タ額
(立木竹オヨビ永年生作物)
第35条 返還スル土地ニアル立木竹オヨビ永年生作物ガ使用中ニ除却マタハ滅失シテイル場合ハ、第14条ニ準ジ算定シタ額ヲ損失補償額トスル。
2 被弾等ノタメキ損シタ立木竹オヨビ永年生作物ニツイテハソノ程度割合ニ応ジテ適正ニ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(復帰移転)
第36条 使用シタ土地等ノ返還ニ伴イ必要ト認メラレル人員マタハ物件ノ復帰移転ヲ要スル場合ハ、次ノ各号ニヨリ算定シタ額ヲ損失補償額トスル。
一 物件ヲ移転スル場合ハ、第16条オヨビ第18条ニ準ジテ算出シタ額
二 人員ガ復帰スル場合ハ、第19条ニ準ジテ算出シタ額
(管理費)
第37条 使用シタ土地等ノ返還ニヨリ、当該土地等(動産ヲ除ク。)ノ原状回復マタハ補修ヲシナケレバ所有者マタハ賃借権者ガ従前ノ用途ニ利用デキナイ場合ハ、ソノ原状回復オヨビ補修ノ程度ニ応ジテ、当該土地等ノ3箇月分以内ノ賃借料ニ相当スル額ヲ損失補償額トスル。

第3章 土地等ノ買収マタハ消滅ニヨル買収価額オヨビ損失補償額
第1節 土地
(農地、採草地、放牧地以外ノ土地)
第38条 農地、採草地、放牧地以外ノ土地ヲ買収スル場合ハ、次ノ各号ニヨリ算出シタ買収価額トスル。
一 買収スル土地等ノ登録価格
二 近傍類似ノ売買価格ト登録価格トガ著シク相違スル場合マタハ登録価格ノナイ場合ハ、ソノ近傍類似ノ土地ノ坪当リ価格ニ準ジテ算定シタ額
三 使用中ノ土地ヲ買収スル場合ハ、使用開始時ノ原状ニオケル買収時ノ近傍類似ノ土地ノ坪当リ価格ニ準ジテ算定シタ額。タダシ、連合国軍ニヨリ接収サレタモノハ、接収時ノ原状ニヨル。
四 開拓地ニアル宅地ヲ買収スル場合ハ、第一号ニヨリ算出シタ額ニ宅地ノ造成ニ要シタ費用ヲ加算シタ額
(農地、採草地、放牧地)
第39条 農地、採草地、放牧地ヲ買収スル場合ハ次ノ各号ニヨリ算出シタ額ヲ買収価額トスル。
一 農地ヲ買収スル場合ハ、富裕税課税ノ場合ノ評価方法ニヨリ自作地、小作地オヨビ耕作権ニツキソレゾレ算出シタ額
二 自作農創設特別措置法ニヨリ受渡シヲ受ケタ開拓地ヲ買収スル場合ハ、自作農創設特別法ニ定メル政府売渡価額ニ、ソノ土地ノ開墾土地改良費(国ノ補助金ヲ除ク。)ヲ加算シタ額
三 採草地、放牧地ヲ買収スル場合ハ、富裕税課税ノ場合ノ評価方法ニヨリ自作採草地、自作放牧地、小作採草地、小作放牧地オヨビ利用権ニツキソレゾレ算出シタ額ニ当該土地ヲ利用シテ得ラレル年収益ヲ年利廻リデ除シテ得タ額ヲ加算シタ額
(離作料)
第40条 農地ヲ買収スル場合ハ、前条ニヨル買収価格ニ離作料ヲ加算スル。
離作料ハ、近傍ニオケル農地カイ廃ノ際補償金額ノ事例ヲ参酌シテ、ソノ農地ヲ利用シテ得ラレル推定年間農業所得額ノ4年ナイシ6年分トスル。
2 前項ニオイテ接収時ニ「イニシヤルコスト」トシテ離作料ノ補償ガナサレテイル場合ハ、買収土地ニ対応スル部分ノ額ヲ控除スル。
(永年生作物)
第41条 買収スル土地ニ永年生作物(果樹、桑樹マタハ茶樹等)ガアルトキハ、第13条第2号、第14条第5号ニ準ジテ算定シタ額ヲ買収価額マタハ損失補償額トスル。
(特産物)
第42条 買収スル土地ニアル特産物(松茸等)ニツイテハ、年間収益ヲ年利廻リニヨツテ除シテ得タ額ヲ買収価額トスル。タダシ、椎茸等ノ移転可能ノモノニツイテハ、第13条第4号ニ準ジテ算定シタ額ヲ損失補償額トスル。
第2節 建物、工作物、設備オヨビ動産
(建物)
第43条 建物ヲ買収スル場合ハ、当該建物ノ推定再建築費ヲ買収時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額ヲ買収価額トスル。
(工作物オヨビ設備)
第44条 工作物オヨビ設備ヲ買収スル場合ハ、当該工作物オヨビ設備ノ推定再建設費ヲ買収時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額ヲ買収価額トスル。
(動産)
第45条 動産ヲ買収スル場合ハ、当該動産ノ新品取得価額ヲ買収時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額ヲ買収価額トスル。
(使用中ノ建物、工作物、設備オヨビ動産)
第46条 使用中ノ建物、工作物、設備オヨビ動産ヲ買収スル場合ハ、使用開始時(連合国軍ニヨリ接収サレタモノハ接収時)ノ原状ニヨリ前3条ニ準ジテ買収価額トスル。
第3節 ソノ他
(営業権)
第47条 営業用ノ土地等ヲ買収スル場合ハ、第38条、第43条、第44条ニヨリ算出シタ当該土地等ノ価額ト当該事業所トノ営業1箇年間ノ超過純益ヲ基準トシテ、当該事業所ノ適正ナ超過純益獲得予想年限ニ対スル有期年金公式ニヨリ還元シタ額トノ合計額ヲ買収価額トスル。
(註) (計算式省略)
G=営業権ノ損失補償額
P=1箇年超過純益
n=超過純益獲得予想年限
i=還元利率
(兼業オヨビ副業)
第48条 土地等ガ兼業マタハ副業ヲ営ムタメニ利用サレテイル場合ニ、土地等ノ買収ニヨリ兼業マタハ副業ガ客観的ニ不能トナルトキハ、推定年間収益ノ1箇年分ヲ損失補償額トスル。
(ソノ他ノ権利)
第49条 耕作権ヲ除キ、土地収用法第5条ニイウ権利ヲ消滅サセル場合ハ、権利ノ内容ニ応ジ、適正ニ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(準用規定)
第50条 第13条ナイシ第29条ノ規定ハ、買収ニ伴ウ損失補償ニツキ準用スル。

第4章 ソノ他ノ損失補償額
(仮住居使用料)
第51条 建物ノ使用等ニヨリ他ニ一時仮住居マタハ仮校舎ヲ必要トスルトキハ、次ノ各号ニヨリ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
一 住宅ニツイテハ、使用等ヲナス建物ノ賃借料相当額ノ3箇月分以内ノ額
二 校舎ニツイテハ、使用等ヲナス校舎ノ賃借料月額相当額ニ必要ト認メラレル期間ノ月数ヲ乗ジテ得タ額
(通路、水路ノ移転費)
第52条 土地等ノ使用等ニヨリ通行不能モシクハ困難トナル場合、袋地ヲ生ズル場合マタハ用排水ノ利用不能モシクハ困難トナル場合ニツイテハ、当該通路オヨビ水路ニヨリ利益ヲ受ケテイル近傍ノ一定ノ地域ガ従前ノ利益ヲ受ケル限度ニオイテ通路モシクハ水路ノ路線ノ変更マタハ新設ヲ行ナウニ要スル費用ヲ損失補償額トスル。
(祭祠費)
第53条 使用等ヲナス土地ニアル神社、仏閣、教会、墓地等ノ宗教上ノ施設ヲ移転、移築マタハ除却スル場合ハ、第16条、第17条ノ損失補償額ノホカニ、移転、移築マタハ除却ニ伴ウ宗教上ノ儀式(供養、祭礼)ニ要スル費用ヲ損失補償額トスル。
(残存財産)
第54条 同一ノ土地マタハ建物所有者ニ属スル一団ノ土地ノー部マタハ建物ノー部ノ使用等ヲナス場合ニ残存財産ノ価額マタハ利用価値ヲ減ジタトキハ、ソノ減少額ヲ損失補償額トスル。
2 残存財産ニ通路、溝、垣、柵ソノ他工作物ヲ新築、改築、増築モシクハ修繕、マタハ盛土モシクハ切土ヲスル必要ガアルトキハ、コレニ要スル工事費ヲ損失補償額トスル。
(隣接財産)
第55条 土地等ノ使用等ニヨリ当該土地等オヨビ前条ノ残存財産以外ノ土地等ニ通路、溝、垣、柵ソノ他ノ工作物ノ新築、改築、増築モシクハ修繕マタハ盛土モシクハ切土ヲスル必要ガアルトキハ、コレニ要スル工事費ヲ損失補償額トスル。
(測量、調査等)
第56条 使用等ニサキダチ測量シ、調査シ、マタハ障害物ヲ除却、伐採シタトキハ、相手方ガコウムツタ直接ノ損失ヲ適正ニ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(使用等ノ廃止等)
第57条 土地等ノ使用等ノ廃止マタハ変更ニヨツテ生ズル損失ニツイテハ、個々ノ実情ニ応ジテ、第2章マタハ第3章ノ類似スル条項ニヨリ算出シタ額ヲ損失補償額トスル。
(国有財産ノ上ニアル権利)
第58条 国有財産ヲ個人、法人マタハ公共団体等ガ賃貸借契約マタハ一時使用許可ニヨリ使用収益シテイル場合、コレラノ権利ヲ消滅サセルタメノ損失補償額ハ、次ノ各号ニヨリ算出シタ額トスル。
一 借受人ガ当該国有財産ニ施設シ、残置ヲ余儀ナクサレル財産ニツイテハ、ソノ再取得価額ヲ権利ノ消滅時マデノ経過年数オヨビ維持保存ノ状況ニ応ジテ減価シタ額
二 ソノ他ノ損失ニツイテハ、当該賃貸借契約マタハ使用許可ノ条件ニ基ヅキ個々ノ事実ニヨリ、コノ要綱ノ類似スル条項ヲ準用シテ算出シタ額
前文(抄)(昭和35年7月1日閣議了解)
昭和35年6月23日から適用する。
前文(抄)(昭和37年10月26日閣議了解)
昭和37年11月1日から適用する。