行政制度の改革に関する件
閣議決定年
昭和28年2月24日 閣議決定
収載資料:行政管理庁史 行政管理庁史編集委員会編 行政管理庁 1984.6 pp.1042-1043 当館請求記号:AZ-333-23
行政機構の改革及び人員の整理は屡次之を実施して来たのであるが、独立第2年を迎え、わが国の自主自立態勢に即応して、昭和27年10月31日附政府声明並びに11月21日附新内閣の重要施策要綱に基き左の要領により、一層わが国力に相応しい簡素且つ能率的で、しかも民主的な行政制度を整序し、以って国民負担の軽減を図るものとする。
第1 行政事務の改廃・是正・整理とこれに伴う人員の縮減
1 戦前又は戦時中から引き続いて行われている施策で、今日においては最早わが国運の進展に寄与する所が少ないと思われるもの又はこれを廃止するも、国民生活に重大な支障を来す虞がないと認められるものについては、思い切って改廃を行うこと。
2 占領治下における施策であって、わが国力及び国情にふさわしくないと認められるもの又は行き過ぎと認められるものについては、これを是正すること。
3 その他国政の重点主義の建前から検討して、不要と認められる事務はもちろん、少なくとも緊急性を認められない事務については大巾にこれを整理すること。
4 前3項の措置により各省(総理府を含む。以下同じ。)は原則として現在定員の1割以上を縮減すること。
第2 事務処理の改善、欠員不補充等による人員の縮減
1 行政機構が近時過度に分化して、複雑膨大となっている弊を改め、これを総合し簡素化すること。
2 左の各号により事務処理の改善を図り、もって事務能率の向上を期すること。
(1)事務処理方式の標準化を行うこと。
(2)事務処理を機械化すること。
(3)事務処理の権限と責任を明確にすると共になるべく権限の委任を行うこと。
(4)その他出来るだけ事務処理手続の簡素化を行うこと。
3 各省の共管事務及び類似事務の統合整理を強力に行うこと。
4 欠員不補充の措置を一層強化すると共に,配置転換の措置を推進すること。
5 前4項の措置により、各省は別に定めるものを除き現在定員の1割以上を目途としてその縮減につとめること。
第3 本措置の実施方法等
1 各省は,第1・第2各項に基き、行政事務の縮小・事務処理の改善並びにこれに伴う機構の改正及び職員の縮減等について立案すること。
2 人員の整理については、(1)余剰人員は一定期間内に縮減することとし、(2)極力各省間の配置転換に努力すると共に、民間への就職を図る等の方途を講じ、(3)退職手当については従来の特例を適用することとし、もって社会不安を起すことのないようこれが対策に万全の措置をすること。
3 なお、定員法の規定の適用を受けない常勤労務者又は非常勤職員についても、前各項の趣旨に鑑み適当な縮減措置を講ずること。
4 前各項の措置は、できるだけ速かに別途閣議決定の上実施に移すこと。
第4 府省の廃合
1 府省の廃合については、前各項の措置と睨み合せて、別途考慮すること。
(備考)国会・裁判所及び会計検査院についても、本措置に即応して事務整理・機構の簡素化及び人員の縮減を行うよう協力を求め、公共企業体等についても本措置に応じて措置すること。