行政並軍備整理又ハ軍制改革ニ伴フ人員整理実施要綱
閣議決定年
昭和6年11月27日 閣議決定
収載資料:国立公文書館所蔵公文別録 70 ゆまに書房 1997.5 195-225または325-341 当館請求記号:YC-98
第一、離職ノ方法
一 人員ノ整理ハ廃官廃庁二因リ自然退官者ト為ル場合ヲ除クノ外文官ニ在リテハ左ノ方法ヲ採ルコト但シ休職俸給ハ当該官庁ノ整理予算(昭和六年度ニ於テハ一般会計ニ於テ俸給ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年八月二十七日閣議決定ニ依ル実行額、特別会計ニ於テ俸給ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年十月二十四日閣議決定ニ依ル実行額)ノ範囲内ニ於テ之ヲ経理スルコト
(イ)諭旨ニテ免官(退職)ヲ願出シムルコト
(ロ)若シ諭旨ニ応ゼザル場合ハ文官分限令第三条第一項第三号ニ依リ免官シ又ハ同令第十一条第一項第三号若ハ第四号ニ依リ休職ヲ命ズルコト
(ハ)恩給年限ニ達セザル者ヲ整理スルニ当リ休職トセバ恩給年限ニ達スベキ者ニ付テハ文官分限令第十一条第一項第四号ニ依リ休職ヲ命ジ得ルコト
二 軍人ヲシテ其ノ職ヲ離レシムルニ付テハ現行ノ分限令又ハ服役令ノ範囲内ニ於テ之ヲ行フ但シ待命期間ハ成ルベク之ヲ短縮シ待命俸給ハ当該官庁ノ整理予算(昭和六年度ニ於テハ一般会計ニ於テ俸給ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年八月二十七日閣議決定ニ依ル実行額、特別会計ニ於テ俸給ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年十月二十四日閣議決定ニ依ル実行額)ノ範囲内ニ於テ之ヲ経理スルコト
志願ニ依リ現役者卜同一ノ職務ニ服スル予備役、後備役軍人ヲシテ其ノ職ヲ離レシムルニ付テハ文官ノ例ニ準ズ
第二、退職特別賜金其ノ他ノ給与
一 行政並軍備整理又ハ軍制改革ニ伴フ人員整理ニ因リ当該整理期間内ニ職ヲ離レシメラレタル者(待命若ハ休職ヲ命ゼラレタル者ヲ含ム以下同ジ)ニハ以下記載ノ要領ニ依ル賞与金又ハ手当金ノ外帝国議会ノ協賛ヲ経テ官吏、待遇官吏又ハ陸軍楽手補及海軍志願兵ニハ退職特別賜金ヲ、嘱託員、雇員、傭人及職工ニハ退職特別手当ヲ支給ス、職ヲ離レシメラルル諭旨二応ジ若ハ廃官ノ通知ヲ受ケタル者当該期間内ニ死亡シタルトキ亦同 (註)賞与金又ハ手当金ヲ受ケタル場合ニ於テハ退職特別賜金又ハ退職特別手当ハ其ノ金額中ヨリ右賞与金又ハ手当金ニ相当スル金額ヲ控除シ之ヲ支給スルモノトス(三ノ(七)参照)
諭旨ニ応ゼザル為休職ヲ命ゼラレ又ハ免官セラレ若ハ解職又ハ解傭セラレタル者並自己ノ便宜又ハ懲戒スベキ行為ニ基因シ職ヲ離ルル者ニハ前項ノ給与ヲ支給セズ
二 賞与金又ハ手当金ハ普通ノ年末賞与金ノ外俸給又ハ給料ノ三月半分ニ相当スル金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ昭和六年十一月中ニ職ヲ離レシムル者ニ対シテハ俸給又ハ給料ノ三月半分、同年十二月中ニ職ヲ離レシムル者ニ対シテハ俸給又ハ給料ノ二月半分、昭和七年一月中ニ職ヲ離レシムル者ニ対シテハ俸給又ハ給料ノ一月半分、同年二月中ニ職ヲ離レシムル者ニ対シテハ俸給又ハ給料ノ半月分ヲ下ラザル金額ヲ支給スルコトヲ要シ昭和七年三月中ニ職ヲ離レシムル者ニ付テハ之ヲ支給セザルコトヲ得
前項ノ金額ハ第二ノ三ニ依リ算出シタル退職特別賜金又ハ退職特別手当ノ額ヲ超過スルコトヲ得ズ
第一項ノ金額ハ昭和六年度ニ於ケル俸給又ハ事務費(給与ノ費目)若ハ事業費(給与ノ費目)予算(一般会計ニ於テ俸給又ハ給料ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年八月二十七日閣議決定実行額、特別会計ニ於テ俸給又ハ給料ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年十月二十四日閣議決定実行額)中ヨリ之ヲ支給スルコト
昭和七年度以降ニ於テ職ヲ離レシムルモノニ対スル賞与金又ハ手当金ニ関シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ムルコト
三 退職特別賜金及退職特別手当ハ左ノ各号ニ依リ算出シタル金額ノ合計額以内トス
(一)文官及待遇官吏
1.終身官又ハ準終身官以外ノ分
左ノ二種ノ金額ノ合計額以内トス
(イ)勤続賜金
其ノ勤続年数ニ対シ在職満一年毎ニ退官退職当時ノ俸給月額十分ノ五ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ勤続年数四十年ヲ超ユルトキハ賜金ノ計算ニ付テハ之ヲ四十年ニ止ム
(ロ)転職賜金
勤続賜金ト同一ノ金額但シ其ノ金額ハ俸給四月分ヲ下ラズ又八月分ヲ超エズ
退職ヲ命ゼラルル憲兵補ニ支給スル特別賜金ハ文官及待遇官吏ノ例ニ依ル
2.終身官及準終身官ノ分
一 行政整理期間中退職スル判事、検事、朝鮮総督府判事、同府検事、台湾総督府法院判官、同法院検察官、関東庁法院判官、陸軍法務官及海軍法務官ニハ左ノ区別ニ依リ退職特別賜金ヲ支給ス
(イ)退職ノ際現ニ普通恩給ヲ受クベキ資格ヲ有スル判事又ハ検事ニシテ定限年齢ニ達スル迄在職ストセバ大正十年法律第百二号ニ依リ恩給ヲ受クベキ資格アル者定限年齢ニ達セズシテ退職スル場合ニ於テハ一般文官ノ受クベキ退職特別賜金ノ金額ニ対シ左ノ金額ヲ加ヘタルモノトス
勤続年数十五年ヨリ十八年迄 退職当時ノ俸給一月分ニ相当スル額
同 十九年ヨリ二十二年迄 同 一月半分ニ相当スル額
同 二十三年ヨリ二十五年迄 同 二月分ニ相当スル額
同 二十六年ヨリ二十九年迄 同 二月半分ニ相当スル額
同 三十年ヨリ三十二年迄 同 三月分ニ相当スル額
同 三十三年ヨリ三十五年迄 同 三月半分ニ相当スル額
同 三十六年以上 同 四月分ニ相当スル額
(ロ)前号ニ該当セザル者ニハ一般文官ニ給スベキ退職特別賜金ノ額但シ転職賜金ノ額ハ最低ヲ四月半分トシ最高ヲ九月分トス
二 定限年齢ニ達シ退職スル者ニハ退職特別賜金ハ之ヲ支給セズ
(二)陸海軍軍人ノ分
1.現役ヲ退カシメラルル准士官以上ノ分
左ノ二種ノ金額ノ合計額以内トス
(イ)勤続賜金
其ノ勤続年数ニ対シ在職満一年毎ニ現役ヲ退カシメラルル当時ノ俸給月額十分ノ五ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ勤続年数四十年ヲ超ユルトキハ賜金ノ計算ニ付テハ之ヲ四十年ニ止ム
(ロ)転職賜金
其ノ官階ノ区分ニ依ル左記金額但シ転職賜金額ト現役ヲ退カシメラルル日ヨリ現役定限年齢ニ達スル日迄ニ受クベキ普通恩給金額トヲ合算シタル金額ガ其ノ期間ニ於テ受クベカリシ俸給額ヲ超過セザル限度ニ止ムルコト
大将、中将同相当官 退職当時ノ俸給 八月分ニ相当スル額
少将同相当官 同 九月分ニ相当スル額
大佐同相当官 同 十三月分ニ相当スル額
中佐同相当官 同 十六月分ニ相当スル額
少佐同相当官 同 十九月分ニ相当スル額
大尉同相当官 同 二十一月分ニ相当スル額
中尉同相当官、少尉同相当官 同 二十四月分ニ相当スル額
特務大尉、特務中尉、特務少尉 同 十二月分ニ相当スル額
陸軍補充令第百五条ニ依リ
補充セラレタル士官、准士官 同 十二月分ニ相当スル額
2.現役ヲ退カシメラルル陸海軍下士官、憲兵上等兵、陸軍楽手補、海軍志願兵ノ分
左ノ二種ノ金額ノ合計額以内トス
(イ)勤続賜金
其ノ勤続年数ニ対シ在職満一年毎ニ現役ヲ退カシメラルル当時ノ俸給月額十分ノ五ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ勤続年数四十年ヲ超ユルトキハ賜金ノ計算ニ付テハ之ヲ四十年ニ止ム
(ロ)転職賜金
其ノ勤続年数ニ対シ在職満一年毎ニ現役ヲ退カシメラルル当時ノ俸給月額ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ其ノ金額ハ最低ヲ六月分トシ最高ヲ十二月分トス
前項ノ金額ハ其ノ額ト現役ヲ退カシメラルル日ヨリ現役定限年齢ニ達スル日迄ニ受クベキ普通恩給金額トヲ合算シタル金額ガ其ノ期間ニ於テ受クベカリシ俸給額ヲ超過セザル限度ニ止ムルコト
3.志願ニ依リ現役者ト同一ノ職務ニ従事スル予備役、後備役ニ在ル陸軍武官及憲兵上等兵ニハ其ノ再就職ノ年数ニ対シ文官ノ例ニ準ジテ計算シタル退職特別賜金ヲ支給ス
(三)嘱託員、雇員及傭人
1.嘱託員及雇員ノ分
左ノ二種ノ金額ノ合計額以内トス
(イ)勤続手当
其ノ勤続年数ニ対シ在勤満一年毎ニ解職当時ノ俸給月額十分ノ四ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ勤続四十年ヲ超ユルトキハ手当ノ計算ニ付テハ之ヲ四十年ニ止ム
(ロ)転業手当
勤続手当ト同一ノ金額但シ其ノ金額ハ俸給三月分ヲ下ラズ又六月分ヲ超エズ
2.傭人ノ分
左ノ二種ノ金額ノ合計額以内トス
(イ)勤続手当
其ノ勤続年数ニ対シ在勤満一年毎ニ解傭当時ノ給料月額十分ノ三ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ勤続年数四十年ヲ超ユルトキハ手当ノ計算ニ付テハ之ヲ四十年ニ止ム
(ロ)転業手当
勤続手当ト同一ノ金額但シ其ノ金額ハ給料二月分ヲ下ラズ又四月分ヲ超エズ
(四)職工(陸海軍職工及之ニ準ズベキモノヲ除ク)ノ分
左ノ二種ノ金額ノ合計額以内トス
(イ)勤続手当
其ノ勤続年数ニ対シ在勤満一年毎ニ解傭当時ノ給料月額十分ノ四ニ相当スル金額ヲ乗ジタル額但シ勤続四十年ヲ超ユルトキハ手当ノ計算ニ付テハ之ヲ四十年ニ止ム
(ロ)転業手当
勤続手当ト同一ノ金額但シ其ノ金額ハ給料二月半分ヲ下ラズ又五月分ヲ超エズ
定限年齢ニ達シタル者ニハ転業手当ハ之ヲ支給セズ
(五)陸海軍職工ノ分
其ノ勤続年数ニ従ヒ別表ニ依ル金額以内トス
(別表省略)
製鉄所職工(鉱夫ヲ含ム)又造幣局職工ハ陸海軍職工ニ準ズ
(六)退職特別賜金又ハ退職特別手当ノ額ハ算出上円位未満ノ端数ヲ生ジタルトキハ之ヲ円位ニ満タシム
(七)第二ノ二ニ定ムル賞与金又ハ手当金ヲ受ケタル場合ニ於テハ退職特別賜金又ハ退職特別手当ノ全額中ヨリ之ニ相当スル全額ヲ控除シ支給スルモノトス
(八)普通恩給ヲ受クベキ年限ニ達セシムル為ニ休職ヲ命ズル場合ニ支給スル退職特別賜金ハ休職満期迄ニ受クベキ俸給額ヲ休職ノ日迄ノ勤続年数ニ依リ算出シタル賜金額中ヨリ控除シタル額トシ若シ休職満期前ニ辞職又ハ死亡スルトキハ満期迄ニ受クベキ俸給額ト実際受ケタル休職俸給トノ差額ヲ追給スルコト
(九)退職特別賜金ノ支給ニ付通算セラレタル在職期間ニ対シ過去ニ於テ退官、退職、休職、傭聘、転官、転職、解職又ハ解傭ニ付受ケタル賞与金若ハ慰労金(年末賞与ノ類ヲ除ク)又ハ退職特別賜金若ハ退職特別手当ニ相当スル金額ハ之ヲ退職特別賜金額中ヨリ控除ス
(一〇)本要綱ノ適用ニ付テハ製鉄所職工(鉱夫ヲ含ム)及造幣局職工ハ陸海軍職工ニ準ズ
四 退職特別賜金又ハ退職特別手当(賞与金又ハ手当金ヲ含ム)ノ基礎ト為ルベキ俸給又ハ給料ハ左記各号ニ依ルモノトス
(一)官吏及待遇官吏ニ在リテハ職ヲ離レシムル当時ノ本俸及之ニ準ズベキモノ(年功加俸、勤続加俸、精勤加俸、功労加俸、府県知事指定地加俸、帝国大学及官立大学ノ教授及助教授ノ職務俸)ニ依リ在勤俸ヲ含マズ
(二)判事ニシテ昭和六年勅令第九十九号高等官官等俸給令中改正ノ件ニ依ル減俸ヲ承諾セザリシ者ニ対シテハ之ヲ承諾シタル場合ニ於テ受クベキ俸給額トス
(三)陸軍下士、憲兵上等兵及陸軍楽手補ニ在リテハ営外加俸ノ額ヲ、海軍下士官及兵ニ在リテハ其ノ俸給ニ月額十八円ヲ加ヘタル額トス
(四)嘱託員、雇員、傭人及職工ノ手当、俸給又ハ給料トハ加給手当、加俸、在勤手当、在勤俸又ハ之ニ相当スベキ金額ヲ控除シタル基本額ヲ謂フ
前項ノ基本額ニ付テハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ム
(五)日給者ニ対スル給料ノ月額ニ付テハ日曜日及休日ニ出勤セザル場合ニ於テハ給料ヲ受ケザル日給者ニ在リテハ二十五日分、之ヲ受クル日給者ニ在リテハ三十日分トス
五 退職特別賜金又ハ退職特別手当算定ノ基礎ト為ルベキ勤続年数ハ左ノ通計算スルコト
(一)官吏、待遇官吏、陸軍楽手補、海軍志願兵ノ引続キタル在職年数ハ勤続年数ノ計算ニ付テハ之ヲ通算ス
(二)俸給ヲ受ケザシリ高等官試補又ハ判任官見習ノ在職期間ハ本規定ノ適用ニ付テハ俸給ヲ受ケタル期間ト看做ス
(三)(一)ニ掲グル官職ニ在リタル者退官又ハ退職シタル当日又ハ翌日再ビ之等官職ニ就キタル場合ニ於テハ退職特別賜金ノ支給ニ関シテハ之ヲ勤続者ト看做スコトヲ得
(四)待命又ハ休職中再ビ勤務ヲ命ゼラレタル者ハ退職特別賜金ノ支給ニ関シテハ之ヲ勤続者ト看做スコトヲ得但シ俸給全額ノ支給ヲ受ケザル待命中ノ期間ニシテ一年ヲ超ユル部分及休職中ノ期間ハ之ヲ在職期間中ニ算入スルコトヲ得ズ
前項ノ休職ニ関スル規定ハ在職ノ官吏又ハ待遇官吏許可ヲ得テ外国政府又ハ之ニ準ズベキモノニ傭聘セラレタル場合ニ付之ヲ準用ス
兵役ニ服スル為退官退職シタル者ハ又待命若ハ休職ト為リ服役中期間満了ニ因リ退官退職シタル者除隊ノ日ヨリ七十日以内ニ同一官庁所管内ノ文官又ハ待遇官吏ニ再ビ任用セラレタルトキハ其ノ前後ノ在職期間ハ之ヲ通算スルコトヲ得
(五)官吏又ハ待遇官吏ガ宮内官其ノ他国庫ヨリ俸給ヲ受ケザル官吏又ハ待遇官吏ト為リタル後再ビ官吏又ハ待遇官吏ト為リタル者ニ在リテハ其ノ前後ノ勤続期間ハ之ヲ通算スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前二号ノ規定ヲ準用ス
(六)嘱託員、雇員、傭人又ハ職工ニシテ解職解傭ノ当日若ハ翌日同一官庁所管内ノ文官又ハ待遇官吏ニ任用セラレタル者ニ在リテハ其ノ嘱託員、雇員又ハ職工タリシ年数ニ付テハ其ノ十分ノ八(但シ陸海軍職工又ハ之ニ準ズベキ職工ニ在リテハ十分ノ十)傭人タリシ年数ニ付テハ其ノ十分ノ六ヲ以テ文官又ハ待遇官吏タリシ年数ト看做シ勤続年数ヲ通算スルコトヲ得
(註)官吏、待遇官吏、陸軍楽手補又ハ海軍志願兵ガ嘱託員、雇員、傭人又ハ職工ニ転ジタルトキハ其ノ勤続年数ハ嘱託員、雇員、傭人又ハ職工ノ勤続年数ニ通算セズ
(七)嘱託員、雇員、傭人及職工ノ勤続年数ハ同一官庁所管内ノ勤務ニ付相互通算シテ之ヲ定ム但シ傭人ヨリ嘱託員又ハ雇員ト為リタル場合ニ於テハ傭人タリシ勤務年数ハ其ノ百分ノ七十五、嘱託員、雇員ヨリ陸海軍職工又ハ之ニ準ズベキ職工ト為リタル場合ニ於テハ嘱託員又ハ雇員タリシ勤務年数ハ其ノ百分ノ八十、傭人ヨリ陸海軍職工又ハ之ニ準ズベキ職工ト為リタル場合ニ於テハ傭人タリシ勤務年数ハ其ノ百分ノ六十ヲ以テ嘱託員、雇員又ハ職工ノ勤務年数ニ通算スルコトヲ得
官制改正等ノ為其ノ所属庁ヲ管轄スル官庁ノ変更アリタル場合ニ於テハ其ノ変更前ノ勤務ハ之ヲ変更後ノ官庁所管内ノ勤務ト看做ス
(八)嘱託員、雇員、傭人及職工ニシテ解職又ハ解傭セラレ其ノ当日又ハ翌日再ビ同一官庁所管内ニ採用セラレタルトキハ前号ノ適用ニ関シテハ之ヲ勤続者ト看做スコトヲ得
(九)嘱託員、雇員、傭人及職工ニシテ兵役ニ服スル為解職又ハ解傭セラレタル者除隊ノ日ヨリ七十日以内ニ再ビ同一官庁所管内ニ採用セラレタルトキハ其ノ前後ノ勤続年数ハ之ヲ通算スルコトヲ得
(十)勤続年数ハ実役年数トシ加算年ノ類ヲ含マズ
(十一)勤続年数ハ日計算トセズ月計算ニ依ル
六 退職特別賜金又ハ退職特別手当交付ノ方法
(一)退職特別賜金又ハ退職特別手当ハ公債端金ニ相当スル金額ヲ除クノ外国債ヲ以テ之ヲ交付スルコト但シ殖民地以外ノ特別会計負担ノモノニ在リテハ経理上ノ都合ニ依リ現金ヲ以テ交付スルコトヲ認ム(実行方法トシテハ大蔵省預金部又ハ国債整理基金ヨリ公債買入ノ上交付スルモノトス)
(二)公債端金ハ昭和七年度予算ニ計上シ之ニ依リ支給スルコト
(三)退職特別賜金又ハ退職特別手当トシテ交付スル国債ハ五分利附公債トシ大蔵大臣ニ於テ時価ヲ斟酌シ定メタル価格ヲ以テ支給スルコト
(四)第二ノ二ニ依リ支給スル賞与金又ハ手当金ノ額ガ退職当時ノ俸給又ハ給料ノ三月分(傭人ハ二月分、職工ハ二月半分)ニ相当スル金額ニ満タザル場合ニ於テハ其ノ差額ヲ退職賜金国債ノ起債法律成立ノ上速ニ之ヲ国債ヲ以テ支給スルコト
備考
退職特別賜金又ハ退職特別手当支給ノ方法トシテ国債ノ交付ヲ受ケタル者ガ国債ヲ売却スル必要アル場合ニ於テハ其ノ時価ニ依ル換価ヲ容易ナラシムル為政府ハ相当ノ方法ヲ考慮スル見込ナリ
七 退職特別賜金又ハ退職特別手当支出ノ標準及整理人員ノ範囲
(一)文官及待遇官吏ニ関シテハ左記ニ依ルコト
(イ)整理ニ依ル退職人員ノ総数ハ各会計ヲ通ジ各省所管毎ニ計算シ其ノ省所管整理人員ノ合計ヲ限度トス但シ対支文化事業、造幣局、製鉄所、簡易生命保険、郵便年金、帝国鉄道、朝鮮総督府、朝鮮簡易生命保険、台湾総督府、関東庁、樺太庁、南洋庁各特別会計ニ在リテハ其ノ会計毎ノ整理人員ヲ限度トス(朝鮮鉄道用品資金特別会計ハ朝鮮総督府特別会計ニ、台湾官設鉄道用品資金特別会計ハ台湾総督府特別会計ニ合併通算ス)
整理人員ノ限度ニ関シ其ノ計算ヲ区分スベキ特別会計ヲ所管スル省ニ在リテハ或会計ニ属スル整理人員ヲ減少シタル場合ニ於テハ其ノ限度ニ於テ他ノ会計所属ノ整理人員ヲ増加スルコトヲ得但シ勅、奏、判ノ各階級別ハ同一ナル場合ニ限ル
各省所管相互間ニ於テモ前項ニ準ジ其ノ整理人員ヲ増減スルコトヲ得
(ロ)前号ノ整理人員トハ一般会計ニ在リテハ閣議決定ニ依ル昭和七年度歳出予算整理額ニ於ケル昭和七年度予算人員ガ昭和六年度予算人員ニ対シ減少シタル員数ヲ限度トス但シ昭和七年度予算案ニ於テ同年度歳出予算整理額ニ依ル昭和七年度予算人員ヨリ増加シタルモノアルトキハ其ノ増加員数ヲ差引クモノトス
前項但書ノ差引計算ニ関シテハ特ニ已ムヲ得ザル事由ニ依リ例外ヲ認ムル必要アル場合ニ於テハ所管大臣大蔵大臣ト協議ノ上閣議決定ヲ経ルモノトス
特別会計ニ在リテハ一般会計ニ準ジ之ヲ定ムルモノトス
(註)本号ノ適用ニ付テハ昭和七年度ニ在リテハ大蔵省所管拓務院及移民収容所ヲ拓務省所管ト看做ス
(ハ)勅、奏、判各階級別整理人員ノ計算ニ付テハ各階級別予算整理人員若ハ俸給予算総額ノ整理歩合ニ依リ算出シタル各階級別整理人員ヲ基礎トシテ其ノ二割宛ハ之ヲ各上級ニ振替計算スルコトヲ得
(二)陸海軍武官及海軍志願兵ニ支給スル退職特別賜金ハ前項ニ準ジ之ヲ支出スルコト但シ前号(ハ)ノ適用ニ付テハ所管大臣大蔵大臣ト協議シ閣議ヲ経テ別ニ之ヲ定ムルコト
(三)嘱託員、雇員、傭人又ハ職工ニ関シテハ左記ニ依ルコト
(イ)整理ニ依ル解職又ハ解傭人員ノ総数ハ文官又ハ待遇官吏ノ例ニ依リ之ヲ算出ス
(ロ)前号ニ定メタル雇員整理人員中其ノ二割宛ヲ判任官ニ振替計算スルコトヲ得
八 退職特別賜金又ハ退職特別手当ノ会計別負担区分
退職特別賜金又ハ退職特別手当支給ノ為発行交付スル公債ノ元利償還金其ノ他附属諸費ニ要スル経費及公債端金ハ対支文化事業、造幣局、製鉄所、簡易生命保険、郵便年金、帝国鉄道、朝鮮総督府、朝鮮簡易生命保険、台湾総督府、関東庁、樺太庁、南洋庁各特別会計ニ在リテハ当該特別会計ノ負担トシ其ノ他ハ一般会計ノ負担トス但シ朝鮮鉄道用品資金特別会計ハ朝鮮総督府特別会計ノ、台湾官設鉄道用品資金特別会計ハ台湾総督府特別会計ノ負担トス
第二ノ七ノ(一)ノ(イ)ノ第二項ニ依リ同一省所管内ニ於テ或会計所属ノ整理人員ヲ減少シ其ノ為ニ他ノ会計所属ノ整理人員ヲ増加シタル場合ニ於テハ其ノ増加シタル整理人員ニ関スル退職特別賜金又ハ退職特別手当ハ整理人員ヲ減少シタル会計ノ負担トス
(註)
第二ノ八ノ第二項ニ依リ他ノ会計所属ノ整理人員ニ関スル退職特別賜金又ハ退職特別手当ヲ負担スルハ左ノ一号及二号ノ条件ヲ具備スル場合ニ限リ其ノ負担額計算ノ方法ハ同三号及四号ニ依ル(甲会計トハ他会計ノ為ニ整理人員ヲ増加スル会計ヲ謂ヒ乙会計トハ他会計ノ整理人員ヲ増加スルニ因リ其ノ整理人員ヲ減少スル会計ヲ謂フ)
一 甲会計所属ノ実際整理人員ガ整理人員ノ制限ヲ超過シ乙会計ニ於ケル実際整理人員ガ整理人員ノ制限ヨリ減少シ且勅、奏、判ノ階級ニ於テ同一ナルコトヲ要ス
二 乙会計所属ノ人員ガ此際甲会計所属ノ人員ニ転ジタル事実アルコトヲ要ス但シ勅、奏、判ノ階級ハ同一ナルコトヲ要セズ
三 乙会計ノ退職特別賜金又ハ退職特別手当ヲ負担スベキ員数ハ甲会計ニ於テ実際整理人員ノ制限ヲ超過シタル員数乙会計ニ於テ実際整理人員ガ整理人員ノ制限ヨリ減少シタル員数乙会計ヨリ甲会計所属ニ転ジタル員数ノ第三者ノ内最モ少キモノニ依ル
四 乙会計ノ負担スル退職特別賜金又ハ退職特別手当ノ額ハ甲会計ノ所属ノ同階級ノ整理人員ノ平均額ニ依ル
第三、帰郷旅費
(一)朝鮮、台湾、樺太又ハ千島国ニ在勤スル内地人ニシテ職ヲ離レシメラレタル者其ノ離職ノ日ヨリ三月以内(嘱託員、雇員、傭人、職工ニ在リテハ二月以内)ニ出発帰郷スルトキハ本人及妻子ニ対シ帰郷旅費ヲ支給スルコト
前項ノ帰郷旅費ハ官吏又ハ待遇官吏ニ付テハ本人ニ対スル離職前ノ官職相当ノ鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料及食卓料、妻ニ対スル本人相当ノ鉄道賃、船賃、車馬賃及食卓料ノ全額及日当、宿泊料ノ半額、子ニシテ十二歳以上ノ者ニ在リテハ本人相当ノ鉄道賃、船賃、車馬賃及食卓料ノ全額、四歳以上十二歳未満ノ者ニ付テハ其ノ半額トシ計算シタル金額ヲ、嘱託員、雇員、傭人及職人ニ付テハ鉄道賃及船賃ノ実費トス
本籍地以外(内地ニ限ル)ニ移転セントスル者ニ対シテハ前項ノ規定ニ準ジ目的地迄ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得但シ其ノ額ハ前項ノ場合ニ於テ支給スベキ金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
(二)陸海軍職工及之ニ準ズル職工ニ在リテハ内地ニ於テ解雇セラレタル場合ト雖一月以内ニ出発帰郷スルトキ亦前号ニ準ジ帰郷旅費ヲ支給スルコト
(三)陸海軍職工又ハ之ニ準ズベキ職工以外ノ職工ト雖未成年者又ハ女子ナルトキハ解雇ノ日ヨリ一月以内ニ帰郷スル場合ニ於テハ(一)ニ準ジ帰郷旅費ヲ支給スルコト
(四)帰郷旅費ハ当該官庁ノ整理予算(昭和六年度ニ於テハ一般会計ニ在リテハ昭和六年八月二十七日閣議決定ニ依ル実行額、特別会計ニ在リテハ昭和六年十月二十四日閣議決定ニ依ル実行額)ノ範囲内ニ於テ之ヲ経理スルコト
第四、行政整理ニ因リ職ヲ離レシメラルル者ノ陞等、昇格又ハ昇給等ニ関スル件
一 行政整理ニ因リ退官退職又ハ休職ヲ命ゼラルル者ノ陞等、昇格、昇級又ハ増給ニ付テハ左ノ取扱ヲ為スコトヲ得
(一)高等文官
(1)陞等 高等官官等俸給令所定ノ陞等年限ヲ経過セル者ハ一等ヲ陞スコトヲ得但シ七等以下ノ者ニ在リテハ二年未満ノ者ト雖一等ヲ陞スコトヲ得
(2)昇級 一級ノ昇級ヲ為スコトヲ得但シ勤続十五年以上ニシテ且前回昇級後八箇月ヲ経過シ成績優秀ナル者ハ特ニ二級ノ昇級ヲ為スコトヲ得
前項ノ勤続年数中ニハ判任官待遇以上ノ在職年数ヲ通算ス
(二)判任文官
(1)昇格(高等官ニ昇任)判任官五級俸以上ノ者在職十五年以上ニシテ成績優秀ナルトキハ任用令ノ許ス範囲内ニ於テ高等官ニ昇任セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
(イ)官等 判任官二級俸以上ニシテ在職二十年以上ノ者ニ在リテハ高等官六等ニ叙スルコトヲ得其ノ他ノ者ニ在リテハ高等官七等又ハ八等ニ叙ス
(ロ)俸給 現在判任官トシテ受クル俸給額ニ相当スル級俸(相当級俸ナキトキハ最モ近キ上級ノ級俸)ノ一級上級ノ級俸ト為スコトヲ得
前項ノ在職年数中ニハ判任官待遇以上ノ在職年数ヲ通算ス
(2)昇級 左ノ各号ニ依ルコト
(イ)五年以上一級俸ヲ受クル者ニシテ昇格ヲ為サザルトキハ百八十円迄ニ増給スルコトヲ得
(ロ)五級俸以上ニシテ昇格ヲ為サザルトキハ一級ノ昇級ヲ為スコトヲ得但シ勤続十五年以上ニシテ且前回ノ昇級後八箇月ヲ経過シ成績優秀ナル者ハ特ニ二級ノ昇級ヲ為スコトヲ得
(ハ)六級俸以下ノ者ニハ一級又ハ十円以内ノ昇級又ハ増給ヲ為スコトヲ得但シ勤続五年以上ニシテ且前回昇級又ハ増給後六箇月ヲ経過シ成績優秀ナル者ハ特ニ二級又ハ二十円以内ノ昇級又ハ増給ヲ為スコトヲ得
前項ノ勤続年数中ニハ判任官待遇又ハ雇員ノ在職年数ヲ通算ス
(三) 其ノ他ノ者
(1)待遇官吏ニ付テハ各其ノ本官ノ取扱ニ準ジ取扱ヲ為スコトヲ得
(2)雇員ニシテ成績優秀ナル者ハ文官任用令ノ許ス範囲内ニ於テ特ニ判任官ニ昇任スルコトヲ得此ノ場合ノ俸給ハ雇員トシテ増給セシメタル場合ニ支給スル金額ニ相当スル判任官ノ俸給トス但シ七十五円以上ニシテ相当級俸ナキトキハ最モ近キ上級ノ級俸ト為スコトヲ得
(3)嘱託員、雇員、傭人及職工ニ対シテハ解職ノ際増給ヲ行ハズ但シ事情ニ依リ嘱託員及雇員ニ限リ左ノ範囲内ニ於テ増給ヲ為スコトヲ得
(イ)手当又ハ俸給月額(日曜日及休日ニ給料ヲ受ケザル日給者ニ在リテハ日給二十五日分、之ヲ受クル日給者ニ在リテハ日給三十日分ヲ為テ月額トス以下同ジ)五十五円未満ノ者ニ在リテハ五円以内
(ロ)手当又ハ俸給月額八十五円未満ノ者ニ在リテハ十円以内
(ハ)手当又ハ俸給月額百五十円未満ノ者ニ在リテハ十五円以内
(ニ)手当又ハ俸給月額百五十円以上ノ者ニ在リテハ二十五円以内
二 本決定ニ依ル退官者等ノ陞等、昇格又ハ昇級ニ関スル勤続又ハ在職ノ年数ハ日計算トス
三 昭和六年十一月九日以後定期ノ昇級又ハ昇格ヲ為シタルトキハ行政整理ニ因ル退官退職又ハ休職ノ際ニ於ケル昇格又ハ昇級ヲ其ノ際実行シタルモノトシテ取扱ヒ尚前記各項ニ規定セル昇級増給又ハ昇格ノ余地アルトキ其ノ残部ヲ退官退職又ハ休職ノ際ニ実行スルコトヲ得但シ昭和七年五月以降整理ニ依リ退官退職又ハ休職ヲ命ゼラルル者ニシテ其当日ヨリ遡リ六月前ニ定期ノ昇級又ハ昇格ヲ為シタル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
四 退官、退職シ又ハ休職ヲ命ゼラルル文官及待遇官吏ニシテ現官職ニ対スル最高俸給額ヲ受クル者高等官ニ在リテハ年功加俸ヲ、判任官ニ在リテハ特別俸又ハ加給俸給ヲ受クル資格ナキ場合ニ於テ高等官ハ二年以上、判任官ハ八箇月以上其ノ最高俸給ヲ受ケタルトキニ限リ俸給月額ニ年功加俸ノ月割額以内若ハ加給俸給ニ相当スル金額以内ヲ加ヘタル額又ハ特別俸ニ相当スル金額ヲ以テ退職特別賜金算定ノ基礎ト為スコトヲ得但シ其ノ金額ハ奏任官、判任官並其ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ現俸給額ニ対シ其ノ一割五分ヲ加ヘタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
五 第二ノ七ニ定ムル制限人員ヲ超ユル場合ト雖本項ニ依ル退官者等ノ陞等、昇格、昇級等ニ関スル決定ノ範囲内ニ於テ身分及恩給等ノ関係ニ付優遇ヲ与フル為判任官ヲ奏任官ニ、奏任官ヲ勅任官ニ昇格セシムルコトヲ妨ゲズ
前項ニ依リ昇格シタル者ニ支給スベキ退職特別賜金ノ額ハ判任官ヲ奏任官ニ昇格セシメタル場合ニ於テハ判任官トシテ受ケタル俸給額ニ依リ、奏任官ヲ勅任官ニ昇格セシメタル場合ニ於テハ奏任官トシテ受ケタル俸給額ニ依リ算出シタル金額以内トス但シ前回昇級後八箇月ヲ経過シ成績優秀ナル者ニ付テハ各其ノ一級上級ノ俸給額ニ依ルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依リ支給スベキ退職特別賜金額ハ第一項ニ依リ昇格シタル者ガ第二ノ七ニ定ムル制限人員ノ範囲内ニ於テ昇格セラレタリトセバ受クベカリシ退職特別賜金ノ額ヲ超ユルコトヲ得ズ
六 勅任官ニ付第二ノ七ニ定ムル制限人員ヲ超エ職ヲ離レシムル場合其ノ超ユル人員ニ対シテハ奏任官ノ整理制限人員ヲ減少シタル人員ノ限度ニ於テ現ニ受クル俸給額ニ相当スル額又ハ其ノ額ニ比シ直近下位ノ奏任官ノ俸給(年功加俸ヲ除ク)ヲ基礎トシ算出シタル退職特別賜金ヲ支給スルコトヲ得
第五、雑則
一 退職特別賜金又ハ退職特別手当(賞与金又ハ手当金ヲ含ム)並帰郷旅費ノ支給ヲ受クベキ者死亡シタルトキハ其ノ金額ヲ遺族ニ支給ス
前項ノ遺族トハ配偶者並同一戸籍内ニ在ル直系卑属、直系尊族及兄弟姉妹ヲ謂フ但本人死亡ノ当時胎児タル子出生シタルトキハ死亡ノ当時既ニ生レタルモノト看做ス
退職特別賜金等ヲ受クベキ遺族ノ順位ハ前項ニ掲グル順位ニ依リ同順位内ニ在リテハ民法第九百七十条及九百八十四条ノ規定ニ準ジ之ヲ定ム
二 常時一定ノ手当ノ支給ヲ受ケザル嘱託員及一時傭入ノ雇員、傭人又ハ職工ニハ本規程ニ依ル給与ヲ支給セズ但シ其ノ勤続期間六月以上ノ雇員、傭人及職工ニハ解職又ハ解傭当時俸給又ハ給料月額一月分以内ヲ限リ之ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ金額ハ整理予算(昭和六年度ニ於テハ一般会計ニ於テ俸給又ハ給料等ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年八月二十七日閣議決定ニ依ル実行額、特別会計ニ於テ俸給又ハ給料等ヲ支弁スルモノニ在リテハ昭和六年十月二十四日閣議決定ニ依ル実行額)ノ範囲内ニ於テ支弁スルモノトス
三 政府ノ経営ニ係ル事業ニシテ整理ノ為地方公共団体又ハ民間事業者ニ其ノ事業ト共ニ引継ガルル者ニハ勤続賜金又ハ勤続手当ニ相当スル退職特別賜金又ハ退職特別手当ニ限リ之ヲ支給スルコトヲ得
四 本決定ニ依ル給与ヲ受クルモノニ対シテハ他ノ法律又ハ勅令ニ基クモノヲ除クノ外職ヲ離レシメラルル事由ニ依ル何等ノ給与ヲ為サザルコト
五 本決定ニ依ル給与支給上ノ雇員及傭人ノ区分ニ関シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ムルコト
六 昭和六年五月閣甲第五十七号又ハ同月鉄甲第八号退職賞与ニ関スル閣議決定ノ趣旨ニ従ヒ退職特別賜金又ハ退職特別手当ノ支給ニ関シ従来実行シタル支給率ニ依ラントスルモノニ在リテハ本決定ノ支給率ニ依ラザルコトヲ得但シ昭和六年六月一日以後ノ就職ノ者ニ対シテハ所管大蔵大臣ト協議シテ定ムル処ニ依ル
前項本文ニ依ル場合ニ在リテハ当該官庁又ハ部局ノ整理人員ノ全部ニ渉リ其ノ支給率其ノ他従来実行シ来リタルモノニ依ルモノトス
(備考)
(一)本決定ハ国庫ヨリ俸給又ハ給料ヲ受クル官吏以下ノ職ヲ離レシムル者等ニ適用シ地方経済ヨリ俸給又ハ給料ヲ受クル者ノ職ヲ離レシムル者ニ対シテハ別ニ決定スルモノトス
(二)帰郷旅費ハ勅令ノ制定ヲ俟テ、退職特別賜金又ハ退職特別手当ハ之ニ関スル法律並予算成立ノ上勅令制定ヲ俟テ初メテ支給シ得ルモノナルヲ以テ夫レ迄ハ単ニ政府ノ方針ニ止マルモノトス