消費者物価対策について
閣議決定年
昭和35年9月30日 閣議了解
収載資料:最近に於ける物価安定政策 昭和56年版 経済企画庁物価局物価政策課 大蔵省印刷局 1981.8 pp.21-22 当館請求記号:DF66-24
消費者物価は、季節的影響もあって食料品価格を中心に上昇傾向を示し注目されていたが、最近になって落着きを取り戻しつつあるように見受けられる。
しかし消費者物価の安定を図ることは、国民生活の充実のためには極めて重要であると考えられるので、このために次の対策を推進する。
1 一般対策
(1)最近の一連の物価値上げの動きには、業者の価格申し合わせ等によるものも相当含まれていると思われるので、独占禁止法等の適正な運用により消費者物価の安定を図る。
(2)需給関係のひっ迫によって値上りをきたしているものについては、所要の輸入措置をとる等適切な行政措置を行なうほか、所要の行政指導の強化により消費者物価の高騰の抑制につとめ、その安定を図る。
(3)公共料金の引上げについては、この際これを極力抑制することとし、また、国民生活に密接な関係のある品目で政府の関与し得る物価の値上げについては、当分の間、すべて閣議に報告して了承を求めることとする。
(4)消費者物価に関する関係各省間の緊密な連絡を確保し、情報の交換および施策の総合調整と機動的推進をはかるため、経済企画庁に「消費者物価対策連絡協議会」を設置する。
2 個別対策
消費者物価に関しては、住居、食料に関する価格の安定を図ることが特に重要であると考えられるので、次の方向でこれに対処するものとする。
(1)住 居
住居費の値上りを抑えるため、宅地供給の拡大を図るとともに住宅建設を促進する。
(2)食料
(イ)野菜及び魚介
野菜については、品目別の需要の変化の動向に対応する所要の生産対策等を講ずるとともに計画出荷の指導につとめる。
又生鮮食料品の生産地および大消費地における貯蔵および加工設備を拡充し、輸送力の増強についても適切な配慮を行なう等、流通機構の整備、円滑化を図る。
(ロ)食肉
食肉については、極力国内生産の確保及び計画的出荷に努めるとともに、本年度下期における不足見込量を早期に輸入して当面の需給の緩和を図ることとし、今後はとくに消費増大のすう勢に即応して増産対策の推進と、価格安定策の強化および流通機構の整備を図る。
(ハ)牛乳
牛乳市販価格は、夏場の需要最盛期経過後における価格についてすみやかに検討を加えるとともに、需給の実勢に即応する乳製品の適期の輸入に配意するほか、牛乳の増産並びに価格の安定対策を講ずる。
(3)その他
その他については、「消費者物価対策連絡協議会」において、適宜適切な措置を推進する。