第2次防衛力整備計画について

昭和36年7月18日 閣議決定

収載資料:資料戦後二十年史 2 経済 有沢広巳・稲葉修三編 日本評論社 1966 pp.164-165 当館請求記号:210.76-Si569

1、第2次防衛力整備計画作成の趣旨
わが国内外の諸情勢の推移を見通し、わが国に対し起り得べき脅威に対処して、有効な防衛力の計画的、かつ、円滑な整備を図るため、国防の基本方針に則り、昭和37年度より昭和41年度に至る第2次防衛力整備計画を作成する。
2、防衛力整備の方針は下記のとおりである、
(イ)日米安全保障体制の下に、在来型兵器の使用による局地戦以外の侵略に対し、有効に対処しうる防衛体制の基盤を確立するため、昭和36年度末までに達成される骨幹的防衛力の内容充実を行ない、併せて科学技術の進歩に即応した精鋭な部隊建設のための基礎を培い、もって陸・海・空自衛隊の総合防衛力の向上を図るものとする。
(ロ)骨幹的防衛力の内容充実については、装備の近代化および損耗分の計画的更新、機動力の増強、後方支援態勢の強化、特に、基地等後方施設の整備充実、おおむね、1ヵ月分の弾薬等の備蓄等に重点をおくものとする。
(ハ)精鋭な部隊の建設に関しては、誘導兵器の進歩に即応し、対空誘導弾の導入を図るとともに、その他の近代的精鋭な装備の一部整備及び運用研究を行なうものとする。
(ニ)上のほか、防衛力の向上に資するため、情報機能を整備充実し、技術研究開発を推進するとともに、国土、国民に密着した防衛力とするため、災害救援、公共事業への協力等民生協力面の施策及び騒音防止対策を重視するものとする。
3、防衛力整備目標
(イ)以上の方針に基づく昭和41年度末における整備目標は陸上自衛隊については自衛官18万人、予備自衛官3万人、海上自衛隊については艦艇約14万t、航空自衛隊については航空機約1000機、そのほか地対空誘導弾部隊4隊とする。
(ロ)この計画実施のため、必要な防衛庁費については、年平均195億円増乃至250億円増程度と見込まれるが、各年度毎の予算は、その時々の財政経済事情を勘案し、民生安定その他一般の諸施策との均衡を考慮してこれを決定する。
(ハ)計画実施に際しては、内外情勢の推移等に伴って、戦略構想等に基づき、長期的見通しに留意しつつ、随時再検討せられるものとし、必要ある場合はすみやかにこれを修正する。