昭和37年度予算編成方針

昭和36年12月15日 閣議決定

収載資料:資料戦後二十年史 2 経済 有沢広巳・稲葉修三編 日本評論社 1966 p.447 当館請求記号:210.76-Si569

昭和37年度における財政運営は、さきに閣議の了解を経た「昭和37年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」にのっとり、国際収支の均衡を速かに回復することを主眼とし、
(1)健全財政を堅持し、経済情勢の推移に即応してその弾力的運用に配慮し
(2)長期にわたる国力発展の基盤を充実するため、ひきつづき既定の重要施策を重点的に実施し、新規の施策は特に緊要なものに限定する
ことをもって基本とする。
昭和37年度予算及び財政投融資計画はこの基本方針に基き、下記により編成する。

1 中小所得者の負担軽減を図るため、間接諸税及び所得税を中心とし、国税において平年度1200億円(初年度1000億円)程度の減税を行う。
なおこの際税源配分の適正化により、地方財源の充実強化を図るとともに、地方税においても負担の軽減合理化を図る。
2 国民生活の向上と社会福祉の充実を期するため、社会保障施設を拡充するとともに生活環境施設の整備を促進する。
3 産業構造の変化等に即応してエネルギー対策、雇用対策を強化し、事業の整備と労働力移動の円滑化に努める。
4 道路、港湾、国有鉄道、電信電話等を計画的に整備するとともに水資源の開発を促進し、産業基盤の充実強化、地域格差の是正を図る。
5 災害復旧の促進と治山治水対策の計画的実施により、国土保全施設の強化を図る。
6 文教の刷新充実と科学技術の振興を図り、特に科学技術教育を推進する。
7 貿易自由化に即応しつつ国際収支の改善を図るため、特に輸出振興、対外経済協力を強力に推進する。
8 農林漁業に関する基本的政策に基づき農林漁業の構造改善を推進し、その近代化、高度化に努める。
9 中小企業については、その近代化、合理化を促進し、経営基盤の安定強化に資する。
10 補助金及び旅費、庁費等一般行政費の節減合理化を行う。特に外貨払いを伴う不急不要経費についてはこれを抑制する。
11 行政機構の拡充、人員の新規増加は厳にこれを抑制することとし、欠員については原則としてこれを補充しない。
12 地方財政についても国の財政運営の方針と同一の基調によるものとする。