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硫安工業対策

昭和37年12月25日 閣議決定

収載資料:農林行政史 第11巻 農林省大臣官房総務課編 1973.9 pp.489-490 当館請求記号:611.1-N955n4

硫安工業の再建の基礎を確立するとともに、今後における合理化近代化と体質の改善を一層強力に推進して健全な輸出産業としてこれを育成し、もって、肥料の合理的にして低廉かつ安定した供給を期するため、次の措置を講ずるものとする。
なお、現行肥料二法は法定期間内存置することとする。
一、日本開発銀行は、可及的速やかに、硫安生産業者が肥料生産のため銀行その他の金融機関から借入れている設備資金のうち一〇三億円について、その返済に必要な資金を融資し、又は当該借入金に係る銀行その他金融機関の貸付債権を譲り受けることとする。
この場合、融資期間は十三年(うち五年据置き)とし、硫安生産業者の負担する金利は、年六分五厘とする。
二、肥料形態の転換、アンモニアの多角利用等による硫安生産者の合理化近代化と体質改善のための設備資金(二六六億円)にあてるため一〇六億円を昭和三十八年度から昭和四十二年度までに、日本開発銀行および北海道東北開発公庫から工事計画の実体に即して融資する。
この場合、融資期間は十年以内とし、硫安生産業者が負担する金利は、肥料形態の転換工事に対する日本開発銀行融資については年六分五厘とする。
三、昭和三十八年一月一日以降、日本硫安輸出株式会社が硫安生産業者から買入れる硫安の価格は、実際の輸出手取価格(FOB価格)によるものとする。
四、昭和三十七年十二月三十一日現在における硫安生産業者の日本硫安輸出株式会社に対する輸出売掛金は、硫安生産業者において償却させるものとし、十年間の繰延償却を認めるよう措置するものとする。
政府としては、この措置をもって硫安の輸出赤字問題は解決したものとし、今後更に救済および再建のための財政的措置はとらないこととする。