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国民貯蓄奨励ニ関スル件

昭和13年4月19日 閣議申合

収載資料:国民精神総動員運動 第1巻 長浜功 明石書店 1988.6 p.33 当館請求記号:GB631-E3

今後発行セラルべキ巨額ナル国債ノ消化ヲ図リ且必要ナル生産力拡充資金ノ供給ヲ円滑ナラシメルタメニハ此ノ際資本ノ蓄積ヲ図ル要アリ、又将来支出セラルベキ巨額ナル政府資金ノ国内散布ニ依リ生ズル臨時的国民所得ガ消費ノ増加ニ振向ケラルルニ於テハ物資ノ不足物価ノ騰貴ヲ招来シ其ノ経済界ニ及ボス悪影響至大ニシテ延テハ軍需並ニ国民生活ニ支障ヲ生ズル虞大ナリト認メラルルヲ以テ此ノ際国民ヲシテ出来得ル限リ貯蓄ニ努メシムルハ最モ緊要ナリ、依テ政府ハ大体左記方針ニ依リ国民ノ貯蓄奨励ニ努ムルモノトス
一、国民一般ニ従来行ヒ来リタル程度ノ貯蓄ノ外
事変前ニ比シ所得ノ増加シタル者ニ対シテハ従来ニ比シ其ノ生計ヲ膨張セシムルコトナク、原則トシテ其ノ増加所得ノ全部ヲ出来得ル限リ貯蓄ニ向ハシムルコト
右ノ外国民全般ニ於テモ出来得ル限リ貯蓄ヲ増加スルコト
二、貯蓄ノ方法ハ確実ナルモノナラバ如何ナル方法ニ依ラシムルモ可ナルコト
三、各種金融機関ニ集積スル貯蓄額並ニ国債公債社債等ニ対スル直接投資額トシテ大体今後一年間ニ増加ヲ要スル国民貯蓄ノ額ハ約八十億円程度ヲ目標トスルコト、但シ政府資金散布ノ其ノ他経済状況等ニ依リ適当ノ斟酌ヲ加フルコト
四、貯蓄ノ大増加ヲ要スル理由並ニ其ノ経済界ニ及ボス影響等ニ付国民全般ニ充分徹底スル様説明ニ努メ以テ国民ノ心ヨリノ理解ニ基ク協力ヲ促進スルコト