江戸時代の藩士を調べる
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人文総合情報室 作成
各藩の大名に仕えた家臣を調べるツールを紹介します。
幕臣については、リサーチ・ナビ「江戸時代の幕臣を調べる」を参照してください。
書誌事項末尾の【 】内は当館請求記号です。
1. 名前から調べる
1-1. 辞典・事典類
以下の辞典・事典類で調べられるのは、史料に事績を残した一部の著名な藩士のみです。その他の藩士を調べるための主なツールは、2. 家臣団に関する史料、参考文献を探すで紹介する、各地で所蔵している藩政史料(藩庁や大名家、家臣家で作成し、保管された文書など)となります。
- 家臣人名事典編纂委員会 編『三百藩家臣人名事典』第1-7巻(新人物往来社 1987-1989 【GB12-E4】)
慶長5(1600)年の関ヶ原の戦いから明治4(1871)年の廃藩置県までに存在した250余藩を収録。地域(例:九州)別に分冊され、国(例:肥後国)ごとに藩を五十音順(例:熊本藩、人吉藩の順)に排列しています。各巻末に藩主名の五十音順索引が付いています。 - 竹内理三 [ほか]編纂『角川日本姓氏歴史人物大辞典』既刊14冊(角川書店 1989- 【GB12-E14】)
県別に編纂されています。既刊は岩手、宮城、群馬、神奈川、富山、石川、山梨、長野、静岡、愛知、山口、鹿児島、沖縄の13県と京都市です。各巻とも主に人物編、姓氏編、資料編から成ります。姓氏編の出典に家臣団に関する史料(2.家臣団に関する史料、参考文献を探す参照)を含む場合が多く、資料編に藩士一覧が掲載されている巻もあります。
以下のような各地の人名辞典、県史の人物編などに、藩士の人名が掲載されている場合があります。
- 野口信一 編纂『会津人物文献目録』2冊(歴史春秋社 1980-1992 【GB2-278】)
- 菊田定郷『仙台人名大辞書』(続「仙台人名辞書」刊行会 1981 【GB12-47】)
※仙台人名大辞書刊行会 昭和8(1933)年刊 【640-3】の複製版。 - 牧田利平 編『越佐人物誌』4冊(野島出版 1972-1974 【GK13-174】)
- 名古屋市博物館 編『名古屋城下お調べ帳 デジタル版』DVD-ROM 1枚(名古屋市博物館 2013 【YH253-L88】)
- 『大分県人物志』(歴史図書社 1976 【GK13-399】)※昭和3年刊の複製版。
1-2. 文献目録
- 馬場万夫 編著 ; 国立国会図書館図書館協力部図書館研究所 編『日本人名情報索引』(改訂増補版 国立国会図書館 1990 研修教材シリーズ ; no.7 【GB1-E19】)
「第Ⅲ部 地域人名資料」で、各都道府県の人名を調べるための文献を紹介しています。
全国各地の図書館では、地元の人物を調べるためのツールを作成しています。藩士の名前を収録した資料(県史、市町村史、藩政史料など)を紹介するウェブサイトとして、例えば以下のものがあります。
- 三重の人名を探す(三重県立図書館)
- えひめ資料室ブックリスト(愛媛県立図書館)
伊予八藩の藩士名簿 1 西条・小松・今治・松山
伊予八藩の藩士名簿 2 大洲・新谷・宇和島・吉田
1-3. ウェブサイト
- 国立国会図書館サーチ
「キーワード」欄に藩士の名前を入力して、図書、雑誌記事などを検索することができます。 - 日本人名情報索引(人文分野)
人物の略歴を掲載した資料を収録しており、一部の資料は収録人物名から検索できます。 - 岡山大学 池田家文庫諸職交代データベースシステム(岡山大学附属図書館)
岡山藩主池田家の家臣の職歴を掲載しています。岡山大学 池田家文庫マイクロフィルム目録データベース(岡山大学附属図書館)と組み合わせて使うことができます。 - 近世大名(蜂須賀家)家臣団家譜史料データベース(徳島大学附属図書館)
徳島大学附属図書館所蔵「蜂須賀家家臣成立書并系図」掲載の人名を検索でき、本文の画像も見られます。 - 佐賀県立図書館データベース(佐賀県立図書館)
「分限帳(着到)索引データベース」があります。
2. 家臣団に関する史料、参考文献を探す
藩政史料のうち、藩士の人名が掲載されている文書として、大名家臣団の総合的な人名録である分限帳(ぶげんちょう)、家の由緒を略述した由緒書(ゆいしょがき)、家臣団の系図集である家中系図などがあります。
ここでは、家臣団に関するこれらの史料や参考文献を探す方法を紹介します。古文書の場合はさらに文書の所蔵機関や、文書が翻刻されているかどうかも調べる必要があります。
2-1. 文献目録
- 木村礎 [ほか]編『藩史大事典』第1-8巻(雄山閣出版 1988-1990 【GB8-E9】)
地域(例:関東)ごとに分冊。各藩の項目末尾にある「藩の基本史料・基本文献」に、公刊された史料、地方公共団体が編集・刊行した県史・市町村史(※「史料編」、「資料編」の類に史料が収録されていることが多い)、辞典・事典類、研究文献が掲載されています。 - 児玉幸多 [等]編『近世史ハンドブック』(近藤出版社 1972 【GB8-22】)
pp.56-129「諸藩の藩政」に文献一覧があります。 - 丸山浩一 編『系図文献資料総覧』(増補改訂 緑蔭書房 1992 【GB1-E34】)
第4部「系図文献目録」に、都道府県別に県立図書館などの所蔵資料が掲載されています。 - 学習院大学史料館 編『旧華族家史料所在調査報告書』5冊(学習院大学史料館 1993 【GB5-E106】)
旧華族には、かつての大名も含まれます。家ごとに史料名と所蔵機関が掲載されています。 - 馬場万夫 編著 ; 国立国会図書館図書館協力部図書館研究所 編『日本人名情報索引』(改訂増補版 国立国会図書館 1990 研修教材シリーズ ; no.7 【GB1-E19】)
「第Ⅲ部 地域人名資料」で、各都道府県の人名を調べるための文献を紹介しています。 - 荒居英次 編『日本近世史研究入門』(小宮山出版 1974 【GB311-4】)
「藩政史料刊行一覧」(pp.277-285)が付いています。
2-2. ウェブサイト
史料名は様々なため、「分限帳」、「由緒書」、「藩士録」、「家臣録」、「侍帳」などをキーワードとして検索します。
- 国立国会図書館サーチ
詳細検索画面の件名欄に、探している藩士が所属した藩名を入力して検索すると、藩政史料が見つかる場合があります。 - 日本人名情報索引(人文分野)
人物の略歴を掲載した資料を収録しており、一部の資料は収録人物名から検索できます。キーワード欄に「分限帳」、「侍帳」などと入力し、「追加条件を表示する」をクリックして、「分類(地域)」のプルダウンから探している藩が位置した都道府県を選び、同様に「収録年代」から「近世」または「幕末」を選んで検索します。 - 国書データベース(国文学研究資料館)
国立国会図書館で所蔵していない資料も検索できます。 - 所蔵史料目録データベース(Hi-CAT)(東京大学史料編纂所)
史料編纂所所蔵資料を検索できます。