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著者やテーマで網羅的に資料を探すには

図書館の資料を探すとき、「タイトルが〇〇の本がほしい」など目的の資料を特定している場合もあれば、「★★というテーマの調査に有効そうな本を探したい」など対象となる資料を特定していない場合もあります。後者のように未知の資料を探索する際には、標目や典拠データを活用すると便利です。
本記事では、標目や典拠データを活用して、主に国立国会図書館における資料検索の利便性を向上させる方法を説明します。

1. 用語の意味

本章では、記事中に登場する用語の意味を説明します。

  • 典拠データ:資料の検索の手がかりとなる著者名、作品のテーマ、作品名などの情報を整理してまとめたデータ。本記事で取り上げる著者名典拠、件名典拠、ジャンル・形式用語典拠については以下の通り。
    • 著者名典拠:著者名を表す典拠で、著者名やタイトルを表す名称典拠のひとつ
    • 件名典拠:資料のテーマとなっている物ごとを表す典拠
    • ジャンル・形式用語典拠:資料の内容や様式を表す典拠
  • 標目:見出し語のこと。未知の資料を探索する際の手がかりとなり、一定のルールの下に付与される。タイトル標目、著者標目、件名標目、分類標目の4種類がある。本記事で取り上げる著者標目と件名標目については以下の通り。
    • 著者標目:著者名を統制した言葉。
    • 件名標目:資料のテーマを簡潔に表す言葉。
  • 件名標目表:件名標目をまとめた統制語彙表。通常、優先語である件名標目と非優先語である参照語が音順に排列されている。
  • 細目:普通件名に結びつけてテーマの地域や時代などを特定する語。
  • 統制語:情報検索において、索引語として使用する語について、同義語や類義語をある特定の用語に統一したもの。
    例)におい← 匂い、匂、臭い、臭、臭気、香気、香り、Odorsの統制語
  • 参照語:ある標目から他の標目へ導く指示。
    例)夏目金之助(夏目漱石の参照語)
  • シソーラスマップ:情報検索する際に用いられる統制語を階層的に整理した用語集で、同義語や統制語同士の上位/下位/関連関係を明示している。詳細は2-2.で後述。

2. 国立国会図書館が提供するデータベースでの使い方

標目と典拠データを用いた探索は、同じテーマを扱った資料群を通覧したい場合や、目的の資料を特定していない場合に便利です。ここでは、国立国会図書館が提供しているデータベースにおいて、どのように典拠データを活用できるか説明します。

2-1. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)

NDLサーチ内では、ある資料を1点見つけて、その資料の書誌データ内の著者標目及び件名標目を使うことが有効です。
例えば、アダム・スミスの国富論に関連する資料を調べたい場合、NDLサーチのタイトル欄に「国富論」、著者・編者欄に「アダム・スミス」と入力します。
ヒットした資料の中から、下記の書誌を選択します。
タイトル「国富論」、著者アダム・スミスの資料を選択しました
遷移した書誌詳細画面を下へスクロールしていくと、書誌情報欄に「著者標目」と「件名標目」の2種類の標目が表示されています。
「国富論」の著者標目欄です
「国富論」の件名標目欄です

著者標目または件名標目を用いて資料を検索する方法をご紹介します。

2-1-1. 著者標目

著者標目の欄には、文字列、識別子、「典拠」ボタンという3種類の要素があります。
著者標目欄に、著者名と生没年、著者名に付与された識別子、「典拠」ボタンが順に並んでいます
上図では、四角形で囲まれているものが文字列、下線が引かれているものが識別子、丸枠で囲まれているものが「典拠」ボタンです。

(ア)識別子をクリックする

著者標目の欄にある識別子をクリックします。
著者標目欄に並んでいる文字のうち、識別子部分が強調されています
新しい検索結果一覧画面に遷移しました。
資料の一覧が新しく表示されています
この手順によって、「Smith Adam,1723-1790」に付与された固有の識別子(00456871)を基に、同姓同名の別人を除いた正確な検索が実行されます。
※識別子が同姓同名を区別するのに対して、文字列をクリックする方法は同姓同名の区別がありません。今回は名前に生没年が付与される形で著者標目の文字列が構成されているためノイズは入りませんが、生没年や職業などで区別されていない同名異人がいる場合に文字列をクリックすると、同名異人の著作物まで含んだ検索結果一覧画面が表示されます。

(イ)「典拠」ボタンをクリックする

著者標目の欄にある「典拠」ボタンをクリックします。
著者標目欄に並んでいる文字のうち、「典拠」ボタンが強調されています
Web NDL Authoritiesの画面に遷移しました。この後の手順は、2-2-1.国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)著者名検索をご確認ください。

2-1-2.件名標目

件名標目は、資料のテーマを言葉で表すものです。例として扱っている「国富論」の場合、テーマは「古典学派(経済学)」となります。
著者標目と同様に、件名標目の欄も文字列、識別子、「典拠」ボタンがあります。
件名標目欄に、資料の主題、主題に付与された識別子、「典拠」ボタンが順に並んでいます

(ア)識別子をクリックする

件名標目の欄にある識別子をクリックします。
件名標目欄に並んでいる文字のうち、識別子部分が強調されています
新しい検索結果一覧画面に遷移しました。
資料の一覧が新しく表示されています
この手順によって、「古典学派(経済学)」に付与された固有の識別子(00565432)を基に、正確な検索が実行されます。
識別子をクリックする方法は、元の件名標目と完全一致で検索することができます。そのため、検索ノイズを排除してより効率的に資料を探したい場合は、この方法が有効です。関連性の高い件名標目も合わせてより広範な資料を探索したい場合は、(イ)の方法をお試しください。

(イ)文字列をクリックする

件名標目の欄にある文字列をクリックします。今回は下図の「古典学派(経済学)」の部分です。
件名標目欄に並んでいる文字のうち、主題の部分が強調されています
新しい検索結果一覧画面に遷移しました。
同一の主題をもつ資料一覧が新しく表示されています
この手順によって、「古典学派(経済学)」という件名標目を用いたより広範な検索が実行されます。
文字列をクリックする方法は部分一致での検索となります。例えば今回は、「古典学派(経済学)--論文集」のように細目を含む結果が表示されますが、その一方で「新古典学派(経済学)」という異なる件名標目が付与された資料も合わせて表示されます。このように、ノイズを含むがより広範囲に資料を探索したい場合は、文字列をクリックする方法が有効です。

(ウ)「典拠」ボタンをクリックする

件名標目の欄にある「典拠」ボタンをクリックします。
件名標目欄に並んでいる文字のうち、「典拠」ボタンが強調されています
Web NDL Authoritiesの画面に遷移しました。この後の手順は、2-2-2.国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)件名検索をご確認ください。

<コラム>雑誌記事索引の標目とは
一部の雑誌は雑誌記事索引が採録されており、特定の巻号に掲載されている記事の論題名、著者名、掲載箇所をNDLサーチ上で閲覧できます。
NDLサーチで雑誌記事索引の画面が表示されています
2-1.では、標目欄が文字列、識別子、「典拠」ボタンの要素から構成されていた一方で、雑誌記事索引の書誌情報の標目欄は文字列のみの場合があります。下記の図がその例です。
著者標目欄に「ずいの」という文字列だけ記載されており、識別子やボタンはありません
上図では、2-1-1.で引用した例で付与されていたような生(没)年の記載がなく、名前のみとなっています。しかし、下図のように単行本の書誌情報の著者標目欄では生年が記載されています。
単行本に付与されている著者標目では、文字列に加えて識別子が記載されています
単行本の書誌情報の著者標目欄にある識別子(031908063)や文字列(ずいの,1990-)をクリックすると、名前のみの標目が付与されている雑誌記事は表示されません。
(雑誌記事索引の個々の書誌情報にある著者標目欄の文字列をクリックすると、単行本も表示されますが、「洪水の会」[コウズイノカイ]等のノイズも含まれます。)
ノイズも含まれるが雑誌記事索引由来の記事も検索結果に含めたい場合は、NDLサーチの検索画面上の資料種別欄で「雑誌記事等」にチェックを入れ、キーワード欄または著者・編者欄に著者名をご入力ください。

2-2. 国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)

Web NDL Authoritiesは、国立国会図書館が維持管理する典拠データを一元的に検索・提供するサービスです。NDLサーチに比べて、体系的・網羅的な検索が可能です。
例として、夏目漱石の本名である夏目金之助を取り扱います。NDLサーチの著者・編者欄に「夏目金之助」と入力してヒットする夏目漱石の著作物数は少ないですが、Web NDL Authoritiesを活用することでより多くの著作物を検索結果に含めることができます。

2-2-1. 著者名検索

検索窓に「夏目金之助」と入力して検索を実行すると、1件のヒットがありました。夏目金之助が参照語として登録されているため、標目である「夏目漱石,1867-1916」が表示されています。
実行すると「夏目漱石」という件名がヒットしました
ヒットした標目をクリックして詳細画面に遷移します。
右上に表示されている「著者名検索」のボタンをクリックします。
Web NDL Authoritiesの検索結果一覧画面上で、右上にある「著者名検索」のボタンが強調されています
NDLサーチの新しい検索結果一覧画面に遷移し、夏目漱石の著作物やその関連書籍がヒットしました。
「門」や「草枕」といった夏目漱石の著作物がNDLサーチ上で表示されています

2-2-2. 件名検索

検索窓に「夏目金之助」と入力して検索を実行した後、ヒットした標目をクリックして詳細画面に遷移します。右上に出てきたボタンのうち、今回は「件名検索」の方をクリックします。
Web NDL Authoritiesの検索結果一覧画面上で、右上にある「件名検索」のボタンが強調されています
NDLサーチの新しい検索結果一覧画面に遷移し、夏目漱石を研究対象として取り扱った資料がヒットしました。
NDLサーチの画面で多数の書籍が表示されています

著者標目では夏目漱石が執筆した資料とその関連書籍(海外語訳版など)が表示され、件名標目では夏目漱石について執筆された資料が表示されるという違いがあります。

2-2-3. シソーラスマップを活用する

より体系的に標目を探してみましょう。
Web NDL Authoritiesの検索窓に「犬」と入力して検索を実行します。
Web NDL Authoritiesの検索窓に「犬」と入力した状態です
ヒットした標目のうち、普通件名の「犬」をクリックして詳細画面に遷移します。
詳細画面を下へスクロールしていくと、「上位語」「下位語」「関連語」などの欄が設けられています(ない場合もあります)。それらの統制語を視覚的に表現したものがシソーラスマップです。
統制語を中心として、その上位/下位概念の語や関連用語などが構造化されています
「犬」の例で言えば、犬科や食肉類などが上位語で、下位語は日本犬やプードルなど、関連語は闘犬やアジリティー(競技)が該当します。シソーラスマップを参照することで、調査したいテーマに関連する統制語を網羅的に閲覧でき、テーマに基づく資料探索が行いやすくなります。

<コラム>NDLサーチの検索項目を追加する方法
Web NDL Authoritiesを使って確認した件名標目は、NDLサーチの件名欄に入れて検索することができます。また著者標目は著者・編者欄に入れて検索することもできます。
初期状態のNDLサーチでは絞り込み条件に「著者・編者」はありますが、「件名」はありません。「項目追加」ボタンをクリックしてポップアップした画面を下方にスクロールすると、「件名、ジャンル」という項目があります。チェックを入れた後「決定」ボタンをクリックして追加します。
NDLサーチのトップ画面上にある「項目追加」ボタンが強調されています
「項目追加」ボタンを押すとポップアップされる「検索画面に出す項目」で、件名を絞り込み条件に追加します
絞り込み条件に「件名」と「ジャンル・形式用語」が追加されました。
NDLサーチのトップ画面に「件名」と「ジャンル・形式用語」の2種類の項目が追加されています
件名欄ではWeb NDL Authoritiesを用いて確認した識別子及び文字列を入力することができます。各標目に付与された識別子を入力すると完全一致で、文字列そのものを入力すると部分一致で資料が検索されます。
また、ジャンル・形式用語欄では、形態を指定して資料を探すことができます。例えば、ジャンル・形式用語欄でLLブックと指定すると、誰でもやさしく読める資料がヒットします。
「LLブック」のチェックボックスにチェックが入っています

3. 公共図書館が提供するデータベースでの使い方

第2章で紹介したデータベースは国立国会図書館件名標目表(NDLSH)に準拠しています。
しかし、公共図書館では基本件名標目表(BSH)を採用していることが多く、NDLサーチにおいても他館所蔵の書誌事項の多くはBSHに則って記載しています。
典拠データをデータベース上で利用できる公共図書館は多数存在しますが、依拠する件名標目表が異なるため利用できる典拠データも異なる場合があることにご注意ください。

4. 関連情報