本文に飛ぶ

日本-条約の調べ方(日本語資料を用いた調べ方)

ここでは、日本が締約国となっている条約の調べ方についてご紹介します。
なお、【 】内は当館請求記号です。

1. 条約の形式と公布

「条約」という法令形式は、明治40(1907)年2月1日に公布された「公式令」(明治40年勅令第6号)によって定められました。これによって「病院船ニ関スル条約」(明治40年条約第1号)から、官報に「条約」として掲載、公布されるようになり、現在まで続いています。
「公式令」制定より前は、明治19(1886)年2月25日までは「太政官布告」「太政官布達」として、明治19(1886)年2月26日の「公文式」(明治19年勅令第1号)以降は「勅令」(番号無し)として、官報に掲載されていました。
官報創刊前(慶応3(1867)年10月から明治16(1883)年6月まで)に締結されたいわゆる「条約」は、各年の法令全書の太政官布告・太政官布達の項や巻末附録に収録されています。
なお、江戸幕府が締結した条約は『法令全書 自慶応三年十月至明治元年十二月』の巻末にまとめて掲載されています。

2. 行政取極めと付属書

条約締結権を有する行政府が国会の承認を経ることなく締結するものを行政取極め(行政協定)と言います。
この行政取極めは、外務省告示の形式で官報に掲載されます。ただし、外国語文は併載されませんので、外国語文が必要な場合には『条約集』を見てください。
なお、『現行日本法規』などの総合法令集には、現行の行政取極め(円借款の取極めなど一回限りの性質のものを除く)の日本語文が収録されています。

国際ルールなどを定める条約の付属書(附属書)は、官報では公布されません。このため、付属書を調べるためには個別に刊行されている資料を探す必要があります。
例えば、国際民間航空条約の付属書は、航空振興財団から翻訳が刊行されていますし、国際海事機構(IMO)の条約の付属書は、国土交通省海事局(旧運輸省海上技術安全局)の監修で刊行されています。このように、国内の関連機関が付属書を掲載した資料を監修・刊行していることがあります。

3. 調べ方

日本が批准した条約について、具体的な調べ方を紹介します。

なお、日本が批准していない条約については、「わが国が未批准の国際条約一覧」(2013年1月現在)[pdf file:1.91MB]をご参照ください。2013年1月現在の未批准条約の条約名と関連情報が掲載され、日本語訳があるものについてはその書誌情報を提供しています。

3-1. 官報・法令全書

官報には、明治19(1886)年2月25日までは「太政官布告」「太政官布達」として、明治19(1886)年2月26日以降は「勅令(番号無し)」として(一部、勅令とされなかった条約があり、これは官報の彙報欄の「官庁事項」に掲載)、明治40(1907)年5月24日以降は「条約」として、掲載されています。
官報には、条約正文に用いられる言語に日本語が採用されている場合、日本語と外国語の条約正文が掲載され、採用されていない場合は日本政府による邦訳文と外国語の条約正文が掲載されます。
外国語文は大正11(1922)年の「失業ニ関スル条約」(大正11年条約第6号)から掲載されるようになりましたが、昭和16(1941)年から日本語のみのものが増え、昭和17(1942)年から昭和30(1955)年までは日本語のみの掲載となり、昭和31(1956)年以降、再び外国語文も掲載されるようになっています。

  • 『官報』(国立印刷局 明治16(1883)年7月~ 【CZ-2-2】)
    創刊から昭和27(1952)年4月までの官報は、国立国会図書館デジタルコレクション(官報)で画像を公開しています。
    「官報情報検索サービス」(国立印刷局)(当館契約のデータベース:館内限定)では、昭和22(1947)年5月3日以降当日までの官報を検索・閲覧することができます。東京本館では議会官庁資料室および科学技術・経済情報室の特定端末、関西館では総合閲覧室の特定端末で利用できます。
    直近90日分の官報は「インターネット版官報外部サイト」(国立印刷局)で全文が公開されています。条約については、平成15(2003)年9月以降の官報掲載画像を見ることができます(検索は不可)。
  • 『法令全書』(国立印刷局 慶応3(1867)年10月~ 【CZ-4-1】)
    官報から法令情報のみを編さんしたものです。
    官報創刊前(慶応3(1867)年10月~明治16(1883)年6月)の法令については遡って編さんされているため、この間の条約(太政官布告・太政官布達)を見る場合に有用です。
    慶応3(1867)年から明治期までの法令全書は、国立国会図書館デジタルコレクションで画像が公開されています。

3-2. 条約集・条約目録

外務省が編纂した条約集として、暦年で当該期間内に発効した条約を収録する『条約集』のほか、刊行当時までの条約を収録した『条約彙纂』『主要条約集』、条約目録である『条約便覧』などがあります。
『条約集』には外国語文も併載されます。

主に外務省が編纂した条約集・条約目録等の一覧は、政治・法律・行政「日本-条約集一覧」のページをご覧ください。

  • 江戸期から昭和38(1963)年頃までの条約を調べる場合
    この時代の条約はさまざまな資料に掲載されています。
    まず条約目録を確認し、探している条約を掲載する資料を特定して当該資料を参照してください。
    条約目録は政治・法律・行政「条約集一覧-条約目録」をご覧ください。
  • 昭和39(1963)年~現在までの条約を調べる場合
    『条約集』を参照してください。ただし、条約が発効した年の巻に収録されますので、発効年を調べる必要があります。
    条約集の当館所蔵一覧[PDF File 71.8KB]をご参照ください。

このほかに様々な条約集が刊行されていますが、これらを探す場合は、国立国会図書館サーチで「条約集」などをキーワードにして検索してください。

3-3. インターネット

  • 条約データ検索外部サイト(外務省)
    官報及び外務省が発行する条約集を基に作成された、現行の国会承認条約等を収録するデータベースです。
    条約名、事項別分類、地域・国名の条件から検索することができ、検索結果からは『条約集』の画像を表示させることができます。
  • 条約外部サイト(外務省)
    第154回国会(平成14(2002)年)以降に提出された条約について、条約文、発効等の履歴情報、説明書や概要などの関連資料を参照することができます。
  • 日本法令索引
    法令の制定・改廃を調べることができる、当館作成データベースです。
    条約名、制定年及び番号等から条約を検索した後、関連情報へのリンクをクリックすることにより、外務省の条約関連ページや、御署名原本、デジタルコレクション(官報)が表示され、本文等を見ることができます。