アメリカ合衆国-外交文書
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議会官庁資料室 作成
アメリカ合衆国(米国)の外交文書は、記録作成から30年以内に機密指定を解除されて国務省(Department of State)から米国国立公文書館(National Archives and Records Administration)に移管・公開されますが、特に外交政策の決定や重要な外交活動に関するものについては、『アメリカ外交文書』、『米国外交文書史料集』、『米国対外政策歴史資料』などと訳される国務省公式の歴史記録"Foreign Relations of the United States"(略称FRUS)に収録されて公表されることになっています。
近年はFRUSを編さんする国務省広報局の歴史部(Office of the Historian)のウェブサイトを始めとして、FRUSのインターネット公開が進んでいます。ここでは、FRUSの概要とインターネット上でその本文を閲覧できるウェブサイトを紹介し、あわせて紙媒体のFRUSの当館における所蔵状況をご案内します。
【 】内は当館請求記号、インターネットの最終アクセス日は2020年2月12日です。
1. FRUS (Foreign Relations of the United States) の刊行状況と収録内容
米国の外交政策の決定や重要な外交活動を記録した外交文書は、1861年から現在のような資料集の形式で一般に公刊されるようになりました。これ以来、1869年を除いて毎年分の外交文書が刊行されており、1952年以降は年ではなく大統領の任期を単位として刊行されています。
外交文書の編さんからFRUS刊行までの間隔は徐々に拡大してきました。1991年以降、合衆国法典第22編53B章(米国対外政策歴史資料)に基づいて、国務省は記録作成から30年以内にFRUSを公表することを義務付けられていますが、実際には編さん・公表準備作業が遅れており、2013年から、カーター大統領任期(1977-1980)の刊行が順次進められています。
なお、FRUSデジタル化プロジェクト(ウィスコンシン大学との共同作業)の最新の進捗状況は、国務省広報局歴史部ウェブサイトの"Quarterly Releases"のページから確認できます。
FRUSの収録対象となる外交文書は国務省の記録に限らず、大統領図書館や国防総省などその他の外交に関係する政府機関からも幅広く集められます。各巻には当該期間の外交文書のうち、FRUS公刊の時点ですべての外交関係機関から機密指定をされていないものが収録されており、親書、条約、議会における大統領年頭教書、外交問題に関する特別教書等が含まれます。
2. FRUSを読むには
2-1. オンライン版をインターネット上で閲覧する
FRUSはすべての巻がインターネット上で閲覧可能です。
- Office of the Historian, Bureau of Public Affairs, United States Department of State(国務省広報局歴史部)
FRUSの編さんを行っている国務省広報局歴史部のウェブサイトです。1861年(リンカーン大統領任期)以降のFRUSのバックナンバーすべてがフルテキスト(HTML形式)と電子ブック(EPUB形式、Mobi形式)で公開されており、1969年(ニクソン大統領任期)以降については、紙媒体での発行がされないインターネット限定版(Vol. E-1等)も含まれています。
大統領任期ごとのページは「Foreign Relations of the United States」を、電子ブックは「Ebooks Initiative」をご覧ください。
「Search」ページからキーワード検索、日付による絞込み等ができるようになっています。大統領任期ごとのページ上部からSearchページへリンクされている場合もあります。 - Foreign Relations of the U.S., University of Wisconsin Digital Collections(ウィスコンシン大学)
ウィスコンシン大学マディソン校図書館を中心に大学図書館が所蔵する、1960年以前のFRUSを電子化したプロジェクトのウェブサイトです。ブラウジングとキーワード検索が可能で、紙媒体のFRUSの各ページを画像で閲覧でき、PDFをダウンロードすることもできます。
2-2. 紙媒体の国立国会図書館における所蔵状況
FRUSは長期間にわたって出版が続いているシリーズで、時期によってタイトルも変化しています。また、当館では同一のタイトルであっても、所蔵資料として受け入れた時期の違いによって別々の請求記号がつけられている場合があります。ここではタイトルの変遷について紹介し、主だった巻の当館の所蔵状況を紹介します。より詳細な所蔵一覧は、「Foreign Relations of the United States 国立国会図書館所蔵一覧(1861-1951)(PDF 0.1MB)」を参照してください。
- 1861年~1868年
"Papers relating to foreign affairs"
所蔵:1862-1868 【63-24】, 1862-1865 【A99-U-52】,1863-1866, 1866-1868 【特7-01346】ほか - 1870年~1931年
"Papers relating to the foreign relations of the United States"
所蔵:1870-1915, 1917-1918, 1901 app., 1902 app.1, 1902 app.2 【特7-01346】, 1872, 1888, 1896-1897, 1900, 1902, 1902 app., 1906-1909, 1912, 1918-1931 【A99-U-52】ほか - 1932年~1945年
"Foreign relations of the United States : diplomatic papers"
所蔵:1932-1945 【A99-U-52】ほか - 1946年~
"Foreign relations of the United States"
所蔵:1946-1957 【A99-U-52】, 1958-1960 【A99-U-A261】, 1961-1963 【A99-U-A251】,1964-1968 【A99-U-A267】, 1969-1976 【A99-U-B80】, 1977-1980 【A99-U-B331】ほか
3. 参考文献
林大輔「米国外交文書史料集FRUS (Foreign Relations of the United States)の公開状況」(東京財団, 2007年10月11日)
2007年当時のFRUSの公刊とインターネットでの公開の状況がまとめられたレポートです。永野秀雄「米国における国家機密の指定と解除 : わが国における秘密保全法制の検討材料として」『人間環境論集』(12(2) 2012年3月 pp. 1-102 【Z71-F408】)
「IV 国務省による対外政策歴史資料の公開」(pp. 57-65)で、国務省広報局歴史部におけるFRUS編さん事業について機密指定の解除と関連付けて論じられています。