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日本-登記関係先例の調べ方

ここでは、登記関係の先例の調べ方をご紹介します。【 】内は当館請求記号です。

1. 概要

1-1. 登記とは

登記とは、「登記所に備える登記簿に一定の法律事実又は法律関係を公示するために記載すること又はその記載そのもの」をいいます。登記の種類としては、不動産登記や商業・法人登記、債権譲渡登記、動産譲渡登記、成年後見登記などがあり、その事務は、法務省民事局の所管事項となっています。

1-2. 登記の先例とは

登記の先例とは、一般的には、登記事務を実行する上の指針として上級官庁から発せられる「通達」と、個々の具体的事件の処理方法に関する照会に応じて上級官庁が発する「回答」を合わせたものを指します。
登記関係事務は、全国一律に処理される必要があるため、抽象的な法令の解釈適用を統一的・具体的に示した先例を参照することは、実務上重要となっています。登記関係においては、先例が多く発出・公開されており、実際上、先例は実務を支配しているともいわれています。

2. 登記関係の先例の調べ方

2-1.先例を特定するには

先例を特定するには、①文書番号/文書記号、②発出日付/回答日付、③題名、④発令者名(回答者名)、⑤宛先(質問者名)等の情報が役立ちます。
特に、①文書番号/文書記号、②発出日付/回答日付の情報は、先例の検索に有用です。

2-2.特定した先例を資料から探すには

インターネット上では、会員登録を行うことで先例を検索できるサービス等が提供されていますが、ここでは、議会官庁資料室で所蔵する資料を使った調べ方をご紹介します。
一般的には、2-1の①~⑤までの情報をもとに、索引としての機能を有する下記資料などを用いて検索します。索引から、先例の本文が収録されている巻号・ページもしくはその他資料にアクセスすることができます。

  • 『登記関係先例要旨総覧 不動産登記関係、商業・法人登記関係 : CD-ROM版 : 明治7年11月-平成27年2月 第6版』(テイハン 2015 【YH111-M8】)
    収録期間は、明治7(1874)年11月~平成27(2015)年2月です。CD-ROM資料であり、発出年月日、文書番号、キーワード、項目一覧等から、各先例の要旨と収録されている資料名(『登記関係先例集』、『登記研究』、『民事月報』)を検索することができます。
  • 『登記関係先例年月日索引 : 明7.11~平4.10』(テイハン 1993 【CZ-2111-14】)
    『登記関係先例年月日索引 : 平4.11-平31.4』(テイハン 2023 【CZ-2111-M1】)
    明治7(1874)年11月~平成31(2019)年4月までの情報を調べることができます。発出年月日から、各先例が収録されている資料名(『登記関係先例要旨総覧』、『登記関係先例集』、『登記研究』、『民事月報』)を検索することができます。
  • 『登記関係先例集』(帝国判例法規出版社 1955 【CZ-856-4】ほか)
    収録期間は、明治7(1874)11月~平成18(2006)年12月です。収録範囲内のすべての先例が、発出年月日順に掲載されています。
  • 『不動産表示登記の実務』(新日本法規出版 1983.7- 【CZ-856-14】)
    加除式の資料です。第3-A巻末の索引では、発出年月日から、不動産登記についての先例を検索することができます。
  • 『法人登記総覧 改訂版』(新日本法規出版 2006.10- 【YU61-H31】)
    加除式の資料です。先例・判例編はCD-ROM資料に収録されており、発出年月日、文書番号、キーワード、項目一覧等から、法人登記に関する先例を検索することができます。

3. 登記関係の先例を掲載する主な資料

登記関係の先例の全文または要旨を収録する主な資料には、次のようなものがあります。

3-1. 登記全般

2で紹介した各種索引の収録範囲外となっている新しい先例については、下記の『登記研究』『民事月報』などに収録されている場合があります。

  • 『登記研究』(テイハン 1947- 【Z2-81】)
    総索引も随時発行されており、先例年月日索引により、年月日・文書番号からも検索することができます。
    また、平成12(2000)年12月までの資料はデジタル化され、館内限定で公開されています。
  • 『民事月報』(法務省民事局 1944- 【CZ-811-5】)
    法務省民事局の発行する月刊誌であり、所管分野の法令や先例等が掲載されています。年別の索引も発行されており、各年の先例を検索することができます。
  • 『詳細登記六法 : 判例・先例付』(金融財政事情研究会 2019 【CZ-856-M4】ほか)
    本冊と別冊からなり、登記関係の重要な法令、判例、先例が掲載されています。先例索引には、本冊と別冊掲載の先例がまとめて発出年月日順に掲載されています。

3-2. 分野別

不動産登記

  • 『不動産表示登記の実務』(新日本法規出版 1983.7- 【CZ-856-14】)
    不動産登記に関する法令、先例・判例、書式の全3編からなる加除式資料であり、先例と判例を合わせて参照することができます。先例・判例は第3編(第2、3、3-A巻)に収録されています。

  • 『不動産登記先例解説総覧 増補』(テイハン 1999 【AZ-856-G79】)
    上記の『登記研究』創刊号(昭和22(1947)年2月号)~596号(平成9(1997)年9月号)までに掲載された先例解説のうち、意義を失ったもの以外を収録しています。要旨、通達・照会・回答等、解説の順に掲載されており、項目ごとに分類、配列されています。巻末には、年月日順の索引が収録されています。

  • 『不動産登記重要先例集』(有斐閣 2013 【AZ-856-L8】)
    不動産登記に関する重要な110の先例を収録しており、一部には解説が付されています。また、各先例が収録されている資料(『登記関係先例集』、『登記研究』)の巻号・ページ等も掲載されています。国立国会図書館サーチ上でこの資料の目次を見ることができ、収録されている先例の題名や文書番号等から検索することができます。

商業・法人登記

  • 『法人登記総覧 改訂版』(新日本法規出版 2006.10- 【YU61-H31】)
    法人登記に関する法令、先例・判例、書式の全3編からなる加除式資料です。先例・判例編はCD-ROM資料に収録されており、実務上重要なものが掲載されています。
  • 『商業・法人登記先例解説総覧 増補』(テイハン 1992 【AZ-862-E48】)
    上記の『登記研究』創刊号(昭和22(1947)年2月号)~532号(平成4(1992)年5月号)までに掲載された先例解説のうち、意義を失ったもの以外を収録しています。要旨、通達・照会・回答等、解説の順に掲載されており、項目ごとに分類、配列されています。巻末には、年月日順の索引が収録されています。
  • 『商業登記・法人登記重要先例集』(有斐閣 2013 【AZ-862-L8】)
    商業・法人登記に関する重要な156の先例を収録しており、一部には解説が付されています。また、各先例が収録されている資料(『登記関係先例集』、『登記研究』)の巻号・ページ等も掲載されています。国立国会図書館サーチ上でこの資料の目次を見ることができ、収録されている先例の題名や文書番号等から検索することができます。

執筆にあたっての参考資料